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膝のヒアルロン酸注射はいつまで続ける?PRPとの違いも解説
ヒアルロン酸注射はいつまで続ける?
変形性膝関節症の治療として、日本ではヒアルロン酸注射が広く行われています。
一方、近年はPRP療法について相談される患者さんも増えています。
「ヒアルロン酸をずっと続けてもいいのか」「効かなくなったらPRPに変えた方がいいのか」という質問もよくあります。
ヒアルロン酸注射とは?
ヒアルロン酸はもともと関節液などに含まれている成分です。
関節内へ注射することで、関節の動きを滑らかにしたり、痛みを軽減したりする目的で使用されます。
日本では変形性膝関節症に対する一般的な保存治療の一つです。
何回まで続けてもいい?
「○回まで」という絶対的な回数があるわけではありません。
重要なのは、注射を続けることで実際に症状が改善しているかどうかです。
たとえば、注射後に痛みが軽くなり、歩行や運動がしやすくなるのであれば継続する意味があります。
一方で、何回行ってもほとんど変化がないのであれば、同じ治療だけを続けるのではなく、治療方針を見直す必要があります。
海外ではヒアルロン酸の評価が分かれている
ヒアルロン酸注射については、国や学会によって評価が異なります。
米国整形外科学会AAOSのガイドラインでは、症候性変形性膝関節症に対する「routine use」、つまり一律に行う治療としては推奨していません。
ただし、これは「すべての患者さんに無効」という意味ではありません。
患者背景や重症度によって治療反応は異なります。
PRPとの違いは?
PRPは患者さん自身の血液を採取し、血小板を多く含む血しょうを作製して関節内へ投与する治療です。
ヒアルロン酸が主に関節環境や症状の改善を目的として使用されるのに対し、PRPは血小板から放出されるさまざまな成長因子や生理活性物質を利用する点が異なります。
すべての研究でPRPが優れているわけではありませんが、複数の研究では、PRPはヒアルロン酸と比較して、特に6か月から12か月程度の疼痛や機能で良好な結果を示したものがあります。
私自身、PRP療法をはじめとする再生医療を1,000例以上経験してきた中で、この点は実感することがあります
PRP療法は、適切なタイミングで行うことが重要です
PRP療法は、変形性膝関節症に対する保存治療の選択肢として、近年多くの研究でその有効性が報告されています。
2024年のESSKA・ICRSのコンセンサスでは、特に運動療法などの一般的な保存治療を行っても痛みや症状が残る、KLグレード0〜3の変形性膝関節症に対して、PRP療法を検討することが支持されています。
つまりPRPは、膝の状態や変形の程度、これまでに行った治療を確認したうえで、適切な患者さんに行うことが大切な治療です。
一方で、まだ十分な保存治療を行っていない段階からPRPを第一選択として行うことや、KLグレード4まで変形が進行した重症例については、効果が限定的となる可能性もあるため慎重な判断が必要です。
PRP療法の効果をできるだけ引き出すためには、「PRPをするかどうか」だけではなく、「どの患者さんに、どのタイミングで行うか」まで考えることが重要です。
TGOCでは「効いている治療を続ける」ことを重視します
ヒアルロン酸注射によって十分に症状が改善している場合に、必ずPRPへ変更する必要はありません。
一方、ヒアルロン酸の効果が短くなってきた、何度行ってもほとんど変化しない、リハビリを続けても痛みが強い、手術以外の治療を検討したいといった場合には、治療の見直しを行います。
その選択肢の一つとしてPRP療法を検討することがあります。
まとめ
ヒアルロン酸注射に明確な「終了回数」はありません。
重要なのは、実際に痛みや生活機能が改善しているかどうかです。
効果が乏しい治療を漫然と続けるのではなく、リハビリ、生活習慣、注射治療、PRP、手術などを含め、その時点の状態に合った治療を選ぶことが大切です。
PRP療法について詳しくはコチラをご覧ください。
文責:高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニック 院長 松﨑 時夫
<参考文献>
・American Academy of Orthopaedic Surgeons. Management of Osteoarthritis of the Knee CPG.
・Kon E, et al. Platelet-rich plasma injections for the management of knee osteoarthritis: The ESSKA-ICRS consensus. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2024;32:2938-2949.