変形性頚椎症
変形性頚椎症について
変形性頚椎症は、加齢などによって首の骨である頚椎や、その間にある椎間板に変化が起こり、首や肩の痛み、こり、動かしにくさなどを生じる状態です。
椎間板の水分が減って弾力性が低下すると、椎間板が薄くなったり、頚椎の縁に「骨棘」と呼ばれる骨のとげが形成されたりします。こうした変化は年齢とともにみられやすくなりますが、画像上の変化があっても、必ずしも症状が現れるとは限りません。
頚椎の変化によって周囲の筋肉や関節に負担がかかると、首や肩甲骨周囲の痛み、首の動かしにくさなどが生じます。また、変化が進み、腕につながる神経根や脊髄が圧迫されると、手や腕の痛み・しびれ、筋力低下、手先の使いにくさ、歩行障害などが現れることがあります。
変形性頚椎症の原因
変形性頚椎症の主な原因は、加齢に伴う椎間板や頚椎の変化です。椎間板は、頚椎にかかる衝撃を和らげるクッションのような役割をしています。しかし、年齢とともに椎間板の水分や弾力性が低下すると、頚椎にかかる負担が増え、骨棘の形成や関節の変形が起こりやすくなります。
次のような要因が症状に関係することがあります。
発症から数週間から2か月程度の時期です。
・長時間のデスクワークやスマートフォン操作
・前かがみの姿勢や猫背
・首を反らす、ひねる動作の繰り返し
・重い物を持つ仕事
・スポーツや仕事による首への負担
・過去のけがや交通事故
・首や肩周囲の筋力低下
・生まれつき脊柱管が狭いこと
生活習慣や姿勢だけが原因ではありませんが、首に負担のかかる状態が続くことで、痛みやこりが強くなることがあります。
変形性頚椎症の主な症状
変形性頚椎症の主な原因は、加齢に伴う椎間板や頚椎の変化です。椎間板は、頚椎にかかる衝撃を和らげるクッションのような役割をしています。しかし、年齢とともに椎間板の水分や弾力性が低下すると、頚椎にかかる負担が増え、骨棘の形成や関節の変形が起こりやすくなります。
首や肩甲骨周囲の痛み
首の後ろや肩、肩甲骨の周囲に、重だるさや鈍い痛みを感じることがあります。首を動かしたときに痛みが強くなったり、長時間同じ姿勢を続けた後に症状が現れたりすることがあります。
首のこり・動かしにくさ
首や肩周囲の筋肉が緊張し、首を回す、上を向く、横を向くといった動作がしにくくなることがあります。動かした際に引っかかる感じや、動く範囲が狭くなったように感じる方もいます。
頭痛
首の後ろから後頭部にかけての筋肉が緊張することで、後頭部を中心とした頭痛を伴うことがあります。ただし、頭痛にはさまざまな原因があるため、症状に応じた評価が必要です。
腕や手の痛み・しびれ
頚椎の変形によって神経根が刺激・圧迫されると、首から肩、腕、手指にかけて痛みやしびれが現れることがあります。この状態は「頚椎症性神経根症」と呼ばれます。
手先の使いにくさ・歩きにくさ
脊髄が圧迫された場合には、手指が動かしにくい、ボタンを留めにくい、箸を使いにくい、字を書きにくいといった症状が現れることがあります。
さらに進行すると、足がもつれる、階段の上り下りがしにくい、ふらつくといった歩行障害が生じることもあります。この状態は「頚椎症性脊髄症」と呼ばれ、早めの診断と治療が必要です。
変形性頚椎症の経過
変形性頚椎症による首や肩の痛みは、症状が強くなったり落ち着いたりを繰り返すことがあります。
神経が圧迫されていない場合は、薬物療法やリハビリテーション、生活動作の見直しなどによって症状の改善を目指します。画像上の変形そのものを元に戻すことは困難ですが、首にかかる負担を減らし、周囲の筋肉や関節の状態を整えることで、痛みや動かしにくさを軽減できることがあります。一方、手足のしびれや筋力低下、手先の使いにくさ、歩行障害などが進行している場合には、神経や脊髄が圧迫されている可能性があります。このような場合は、より詳しい検査や専門医療機関での治療が必要です。
高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニックで行う検査
問診・触診
首の痛みの場所、症状が出る動作、発症時期、手や腕のしびれの有無などを確認します。
デスクワークやスマートフォンの使用時間、仕事やスポーツでの負担、過去のけがや交通事故についてもお伺いします。また、首だけでなく、肩や肩甲骨周囲の筋肉の緊張、圧痛なども確認します。
身体検査・神経学的検査
首を前後や左右に動かした際の痛み、関節の動く範囲、姿勢などを評価します。
手や腕にしびれがある場合には、感覚、筋力、腱反射などを確認し、どの神経が影響を受けているかを調べます。手先の細かな動きや歩き方などを確認し、脊髄の圧迫を疑う症状がないかも評価します。
X線検査
頚椎の並び方、椎間板の狭まり、骨棘の形成、関節の変形、不安定性などを確認します。必要に応じて、首を曲げた状態と反らした状態で撮影し、頚椎の動きや不安定性を評価することがあります。
ただし、X線検査では神経や椎間板、脊髄を直接確認することはできません。画像上の変化と実際の症状を合わせて診断することが大切です。
超音波検査
超音波検査では、首や肩周囲の筋肉、腱、神経周囲などの状態を確認することがあります。変形性頚椎症そのものを診断するための中心的な検査ではありませんが、肩関節の病気や筋肉・筋膜、末梢神経など、首以外の原因が痛みに関係していないかを調べる際に役立ちます。
注射治療を行う場合には、必要に応じて超音波で神経や血管、周囲の組織を確認しながら行います。
MRI検査
手や腕の強いしびれ、筋力低下、手先の使いにくさ、歩行障害などがある場合には、MRI検査が必要となることがあります。MRI検査では、椎間板、神経根、脊髄、脊柱管の狭窄などを詳しく確認できます。
当院にはMRI装置は設置しておりません。MRI検査が必要と判断した場合には、提携医療機関をご案内し、そちらで撮影を受けていただきます。
変形性頚椎症に対する治療
変形性頚椎症の治療は、首の痛みが中心なのか、神経症状を伴っているのかによって異なります。
当院では、痛みを抑えるだけでなく、首の動き、姿勢、肩甲骨や胸椎の動き、仕事や日常生活での負担などを確認し、一人ひとりの状態に合わせて治療を行います。高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニックでは下記の治療を提案しています。
薬物療法
首や肩の痛みが強い場合には、消炎鎮痛薬、外用薬、筋肉の緊張を和らげる薬などを使用します。手や腕に神経痛やしびれがある場合には、症状に応じて神経障害性疼痛に対する薬を使用することがあります。
薬の効果や副作用を確認しながら、症状に合わせて処方します。
注射治療
首や肩周囲の筋肉の緊張や局所的な痛みが強い場合には、状態に応じて注射治療を検討します。
痛みの原因や部位を診察で確認し、必要に応じて超音波を使用しながら治療を行います。注射の種類や治療部位は、症状や身体所見に応じて判断します。
体外衝撃波治療
慢性的なくびの痛みや、椎間関節部の痛みなどに対して、状態に応じて体外衝撃波治療を検討します。保険適用外の自費診療となります。適応については、診察や画像検査を行ったうえで判断します。
体外衝撃波治療について詳しくはコチラ
PRP療法
PRP療法は、患者さまご自身の血液から血小板を多く含む成分を抽出し、傷んだ筋肉・筋膜の周囲へ注射する治療です。
血小板に含まれる成長因子などを利用し、頚椎の椎間関節など修復環境を整えることを目的とします。
慢性の変形性頚椎症に対して選択肢となることがありますが、治療効果に関する医学的根拠は十分に確立されておらず、すべての方に一律に推奨される治療ではありません。
PRPの調製方法、筋肉の状態、症状の期間などによって結果が異なる可能性があります。
注射後には一時的に痛みが強くなることがあり、効果が現れるまでに時間を要する場合があります。
当院では、症状、超音波所見、これまでの治療、仕事やスポーツへの影響などを確認し、期待できる効果や限界をご説明したうえで適応を判断します。PRP療法は保険適用外の自費診療です。
PRP療法について詳しくはコチラ
ハイドロリリース
筋膜や神経周囲の組織の滑走不良が、首や肩周囲の痛みに関係していると考えられる場合には、ハイドロリリースを検討することがあります。
超音波で神経や筋膜、血管などを確認しながら、生理食塩水などを注入し、組織の動きを改善することを目的とした治療です。
ハイドロリリースは頚椎の変形そのものを治す治療ではありません。診察や画像検査によって痛みの原因を確認し、適応がある場合に行います。
理学療法・リハビリテーション
変形性頚椎症では、首だけでなく、肩甲骨、胸椎、肩関節、体幹の動きが症状に関係していることがあります。
当院では、理学療法士が一人ひとりの姿勢や動作を確認し、症状に合わせたリハビリテーションを行います。
・関節可動域訓練
首や肩甲骨、胸椎などの動きを確認し、固くなっている部分を無理のない範囲で動かします。
痛みやしびれを我慢して強く動かすのではなく、神経症状や炎症の程度に合わせて進めます。
・ストレッチ
首、肩、胸、肩甲骨周囲の筋肉を整え、首に集中している負担を軽減します。
症状によっては、首を強く反らす動作や大きく回す動作を避けた方がよい場合があるため、適切な方法を指導します。
・筋力トレーニング
首を支える筋肉や、肩甲骨周囲、体幹の筋肉を鍛え、首に負担がかかりにくい状態を目指します。
症状に応じて、深部の頚部筋や肩甲骨を支える筋肉を適切に使うための運動を行います。
・姿勢・動作指導
デスクワーク、スマートフォン操作、家事、運転、仕事中の姿勢などを確認し、首に負担がかかりにくい姿勢や動作を指導します。
机や椅子、パソコン画面の高さ、枕の状態など、日常生活の環境についても必要に応じて助言します。
手術治療・専門医療機関への紹介
一般的な首の痛みだけで、すぐに手術が必要になるわけではありません。
ただし、手足の筋力低下、手先の使いにくさ、歩行障害などが進行している場合には、神経根や脊髄の圧迫を取り除く手術が必要となることがあります。
診察やMRI検査の結果から手術の検討が必要と判断した場合には、脊椎・脊髄疾患を専門とする医療機関へご紹介します。
自宅でのセルフケア
変形性頚椎症では、長時間同じ姿勢を続けないことが大切です。
デスクワークやスマートフォン操作の際には、こまめに休憩を取り、首や肩に負担が集中しないようにしましょう。画面を目線に近い高さへ調整し、頭が身体より前に出すぎない姿勢を意識します。
痛みが強い時期に、首を大きく回す、強く反らす、勢いをつけてストレッチすると、症状が悪化することがあります。また、手や腕に痛みやしびれが広がる動作は避けてください。
症状によって適切な運動が異なるため、自己判断で強い運動や首への矯正を行わず、医師や理学療法士の指導のもとで進めることをおすすめします。
変形性頚椎症でお悩みの方へ
首や肩の痛みは、変形性頚椎症だけでなく、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症、頚椎症性脊髄症、肩関節の病気などによって起こることがあります。
特に、次のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
・手や腕のしびれが続いている
・腕や手に力が入りにくい
・ボタンや箸などの細かな操作がしにくい
・足がもつれる、ふらつく
・歩きにくさが悪化している
・両手や両足に症状がある
・排尿や排便がしにくい
・転倒や事故の後から強い痛みが続いている
当院では、問診、身体検査、X線検査、超音波検査などによって首の状態を評価します。MRI検査や専門的な治療が必要な場合には、提携医療機関や専門医療機関と連携して対応します。
薬物療法、注射治療、リハビリテーション、セルフケア指導まで含め、症状や生活状況に合わせた治療をご提案します。
監修: 高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニック 院長 松﨑 時夫