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腰椎分離症に体外衝撃波治療という新しい選択肢

腰椎分離症に体外衝撃波治療という新しい選択肢

腰椎分離症は、特に成長期のスポーツ選手に多くみられる腰の障害です。

「腰の骨が分離する病気」という名前ですが、実際には腰椎の関節突起間部に起こる疲労骨折と考えられています。

野球、サッカー、体操、テニスなど、腰を反らす動きやひねる動きを繰り返すスポーツでは、成長途中の骨に繰り返し負担が加わることで発症します。

従来はスポーツを一定期間休止し、硬性コルセットなどを使用しながら骨癒合を待つ治療が中心でした。近年では、体外衝撃波治療(ESWT)によって骨癒合を促進できる可能性が報告されています。

高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニック(TGOC)でも、成長期腰椎分離症に対する治療選択肢の一つとして、集束型体外衝撃波治療を組み合わせた治療に取り組んでいます。

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腰椎分離症は早く見つけることが重要

腰椎分離症は、骨折の状態によって超初期・初期・進行期・終末期などに分類されます。

超初期や初期で発見できれば骨癒合できる可能性は高い一方、骨折線が広がり、進行期、終末期となるにつれて骨癒合は難しくなります。

そのため、成長期のスポーツ選手に腰痛が続いている場合、「筋肉痛だろう」と長期間様子を見るのではなく、早い段階で腰椎分離症の可能性を確認することが大切です。

体外衝撃波治療(ESWT)とは?

体外衝撃波治療は、体の外から衝撃波という音響エネルギーを患部へ集中させる治療です。

これまで足底腱膜炎やアキレス腱障害、腱付着部障害などに使用されてきましたが、近年は骨折の遷延治癒や偽関節に対する骨癒合促進作用についても研究されています。

骨に衝撃波による機械的刺激を加えることにより、成長因子の働きや血管新生、細胞増殖、骨形成などを促す可能性があると考えられています。

そのため、単に痛みを軽減させるだけでなく、骨の修復過程そのものに働きかける可能性のある治療として注目されています。

2025年、日本から腰椎分離症に対するESWTの研究が報告

2025年の「Journal of Spine Research」に、岩田秀平先生らによる「腰椎分離症に対する体外衝撃波治療の安全性と有効性」という研究が報告されました。

この研究では、腰椎分離症の46名、64病変に対して集束型体外衝撃波治療が行われています。

分離部を正確に確認したうえで、0.15~0.25 mJ/mm²、1回3,000発を2週間に1回照射する方法が用いられました。

研究で行われたESWTの目安

・1回 3,000発

・0.15~0.25 mJ/mm²

・2週間に1回

・平均5.6回(3~20回)

・平均治療期間 約10週間

平均的には、2週間に1回の治療を5~6回程度、約2~3か月行ったイメージになります。

ただし、治療回数を一律に決めているわけではなく、病期や画像所見、骨癒合の状態などを確認しながら治療期間が調整されています。

病期によって骨癒合率は大きく異なる

研究では、全体の骨癒合率は78%で、骨癒合までの期間は平均約9.9週間でした。

病期別にみると、次のような結果でした。

病期 骨癒合率 骨癒合までの平均期間
超初期 100% 約7週間
初期 100% 約8.6週間
進行期 76% 約12週間
終末期 10% 約48週間

特に注目されるのは、超初期と初期で100%の骨癒合が確認されたことです。また、進行期でも76%で骨癒合が得られています。

一方、終末期では骨癒合率が10%であり、時間が経過して偽関節化した状態では、ESWTを行っても骨癒合が難しい可能性があります。

前回ご紹介した、通常のコルセット治療による骨癒合率と骨癒合までの平均期間は以下の通りです。研究によって病期分類や対象患者が異なるため単純な比較はできませんが、今回ご紹介した体外衝撃波治療(ESWT)の研究では、従来の保存治療と比較して骨癒合までの期間が短縮する可能性が示されています。

病期 骨癒合率 平均骨癒合期間
Ia−:超初期 100% 約9.6週
Ia:初期 95.2% 約14.4週
Ib:初期 87.5% 約21.7週
II:進行期 40.0% 約34.2週
III:終末期 0% 骨癒合は困難

従来より早く骨癒合できる可能性

この研究では、過去に報告されている一般的な保存治療と比較すると、超初期・初期では約3週間早く骨癒合し、進行期でも骨癒合までの期間が3週間以上短くなる可能性が示されました。

ただし、この研究は単施設で行われた比較対象のない研究です。そのため、「ESWTを行えば必ず早く治る」と結論づけることはできません。

今後、ランダム化比較試験など、より規模の大きな研究で効果を確認していく必要があります。

スポーツを完全に休まないという可能性も

今回の研究で興味深い点の一つが、硬性装具を使用せず、スポーツを継続しながらESWTを行った症例も含まれていたことです。

論文では、14歳の日本代表レベルの体操選手の症例も紹介されています。両側L4の進行期腰椎分離症でしたが、大会期間中であったため硬性コルセットを使用せず、競技を継続しながらESWTとリハビリテーションを行い、4か月後に両側とも骨癒合が確認されています。

ただし、「腰椎分離症でもスポーツを続けてよい」という意味ではありません。

病期、骨折部位、片側か両側か、MRIやCTの所見、痛み、競技種目、競技レベルなどを総合して判断する必要があります。

TGOCで考える腰椎分離症治療

TGOCでは、腰椎分離症を単に「コルセットを着けて数か月休む病気」として考えるのではなく、骨癒合と安全な競技復帰を同時に目指すことが重要だと考えています。

まず、MRIやCTなどを用いて現在の病期を評価し、骨癒合を目指すことができる状態なのかを判断します。

そのうえで、症例によっては集束型体外衝撃波治療を組み合わせ、骨癒合を促すことを目的とした治療を検討します。

  • 画像検査による病期の評価
  • 集束型体外衝撃波治療による骨癒合へのアプローチ
  • 股関節・胸椎・体幹機能などの評価
  • 腰椎へ過剰な負担がかかる動作の修正
  • 競技特性に合わせたリハビリテーション
  • 段階的なスポーツ復帰

体外衝撃波だけを行えばよいわけではありません。

股関節の可動域、胸椎の動き、体幹機能、下肢筋力などを評価し、腰椎に過剰な伸展・回旋ストレスが集中する原因を修正していくリハビリテーションも重要です。

TGOCでは、「骨がつながったら終わり」ではなく、再発を防ぎながら競技へ戻るところまでを腰椎分離症治療の一部と考えています。

ESWTはすべての腰椎分離症に有効なのか?

現時点では、すべての腰椎分離症にESWTを行うべきだとは言えません。

今回の研究でも、超初期・初期では良好な骨癒合が得られた一方、終末期では骨癒合率は低い結果でした。

そのため、ESWTを行うかどうか以上に重要なのが、「現在どの病期なのか」を正確に診断することです。

早い段階で診断できれば、従来の装具治療やリハビリテーションにESWTを組み合わせることで、骨癒合をより積極的に目指せる可能性があります。

腰椎分離症へのESWTは保険適用ではありません

日本では、体外衝撃波治療の保険適用となる疾患には制限があります。

腰椎分離症に対する体外衝撃波治療は、現時点では保険適用の治療ではありません。

今回紹介した研究についても、倫理委員会の承認と患者さんからの同意を得たうえで、研究目的の適応外使用として実施されています。

治療を検討する際には、期待される効果だけでなく、現在得られている医学的な根拠や、その限界についても理解したうえで判断することが大切です。

まとめ

成長期の腰椎分離症は、早期に発見できれば骨癒合を期待できる病気です。

近年では、従来の安静、装具治療、リハビリテーションに加えて、体外衝撃波によって骨癒合を促すという新しい治療の可能性が報告されています。

2025年に発表された国内研究では、46名64病変に対するESWTで全体78%の骨癒合が得られ、特に超初期・初期では100%の骨癒合が報告されました。

一方で、まだ大規模な比較研究が十分に行われているわけではありません。

TGOCでは、画像診断だけでなく、スポーツ動作や身体機能も評価しながら、早期診断・骨癒合を促す治療・リハビリテーション・段階的な競技復帰を組み合わせた腰椎分離症治療に取り組んでいます。

成長期のスポーツ選手で腰痛が続いている場合には、長期間様子を見るのではなく、早めに腰椎分離症の可能性を確認することをおすすめします。

文責:高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニック 院長 松﨑 時夫

<参考文献>
・岩田秀平, 畠山健次, 小島敦, 他. 腰椎分離症に対する体外衝撃波治療の安全性と有効性. Journal of Spine Research. 2025;16(6):905-911. doi:10.34371/jspineres.2025-3029.