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アキレス腱炎・アキレス腱症が治らない理由とは?

アキレス腱の痛みが長引くのはなぜ?

ランニングやスポーツをする方に多いのが、アキレス腱の痛みです。

数週間休めば治ると思っていたのに、数か月から1年以上痛みが続くこともあります。

なぜアキレス腱障害は長引きやすいのでしょうか。

慢性になると「炎症」だけではない

一般には「アキレス腱炎」と呼ばれますが、慢性例では単純な炎症だけではなく、腱の構造変化や変性が中心となっていることがあります。

そのため「アキレス腱症」という言葉が使われます。

付着部と中央部では別の病気として考える

アキレス腱症は大きく、踵の骨との付着部に起こる付着部アキレス腱症と、付着部から数cm上に起こる中央部アキレス腱症に分かれます。

この2つは治療反応も異なります。

治療の基本は適切な負荷

以前は「痛ければ休む」という考え方が中心でした。

しかし現在では、完全に休ませ続けるより、腱に適切な負荷を加えながら徐々に強くしていくことが治療の基本です。

カーフレイズなどを利用し、段階的に負荷を高めていきます。

PRPはどうか?

PRPはアキレス腱症にも使用されていますが、近年のRCTをまとめた解析では、プラセボと比較した明確な痛み・機能改善は示されていません。

したがって、現時点ではアキレス腱症にPRPを一律に第一選択とする根拠は十分ではありません。

ただし、保存治療で抵抗性がある方に対しては治療の選択肢として提案することがあります。多くの患者さんで効果を認めている経験はあります。

体外衝撃波はどうか?

体外衝撃波についても評価は変化しています。

以前の研究では、特に中央部アキレス腱症で運動療法に追加する効果が報告されていました。

しかし2026年に557人を含む9件のRCTを再解析したメタ解析では、中央部・付着部のいずれでも臨床的に意味のある明確な利益は確認されず、routine treatmentとして使用する根拠は乏しいと結論しています。
ただし、足底腱膜炎に附随したアキレス腱症などに関しては治療効果を認める例も経験しており、保存治療で効果を認めない方に提案することはあります。

TGOCでは治療法を一つに決めません

アキレス腱の痛みでは、付着部なのか中央部なのか、腱の肥厚や変性、部分断裂の有無、足関節の動き、下腿筋力、ランニング量、シューズなどを確認します。

そのうえで、リハビリテーションを中心に治療を組み立てます。

体外衝撃波やPRPについても「誰にでも行えばよい治療」とは考えず、これまでの治療や状態を確認して検討します。

まとめ

アキレス腱症が治りにくい理由は、単純な炎症ではなく慢性的な腱の変化が関係しているからです。

治療の中心は、腱に対する段階的な負荷とリハビリテーションです。

PRPや体外衝撃波については研究が続いていますが、最近の質の高い解析では効果に慎重な評価も出ています。

新しい治療だから必ず優れているのではなく、最新の研究を見ながら治療を選ぶことが重要です。

PRP療法について詳しくはコチラをご覧ください。

体外衝撃波治療について詳しくはコチラをご覧ください。

文責:高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニック 院長 松﨑 時夫

<参考文献>
・Korakakis V, et al. Shockwave Therapy for Midportion and Insertional Achilles Tendinopathy: A Systematic Review With Meta-Analysis. J Orthop Sports Phys Ther. 2026;56:282-299.
・Platelet-rich plasma vs placebo injections in Achilles tendinopathy: systematic review and meta-analysis. 2026.