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手足のしびれは整形外科で相談できる?原因と検査の流れ
手足のしびれは整形外科で相談できます
手や足に現れるしびれは、「ピリピリする」「感覚が鈍い」「電気が走るように感じる」など、人によって感じ方が異なります。
正座をした後や、腕を枕にして眠った後など、一時的な圧迫によって起こるしびれであれば、姿勢を変えることで自然に治まることがほとんどです。
一方で、思い当たる原因がないまま続く、何度も繰り返す、少しずつ範囲が広がる、力が入りにくくなってきたといった場合には注意が必要です。
神経は脳や脊髄から手足までつながっているため、その経路のどこに問題が起きても、しびれが現れる可能性があります。
整形外科では、骨や関節だけでなく、首や腰の背骨、脊髄、神経根、手足の末梢神経も診察します。
実は「しびれる場所」だけでは原因は決まりません
神経には、それぞれ症状が出やすい範囲があります。そのため、しびれている場所から、どの神経に問題があるのかをある程度推測することができます。
しかし、実際のしびれや痛みは、必ずしも教科書に描かれている神経の範囲どおりに現れるとは限りません。
McAnanyらが単一神経根の頚椎神経根症患者を調べた研究では、痛みやしびれの分布が、教科書的な神経の分布と一致していたのは54%でした1)。
つまり、約半数では典型的な分布とは異なっていたことになります。
そのため、整形外科ではしびれている場所だけでなく、筋力、感覚、腱反射、首や腰を動かしたときの症状の変化などを組み合わせて、原因となっている神経を調べます。
首の病気による手のしびれ
手や腕のしびれは、首から腕へ向かう神経が圧迫されて起こることがあります。
代表的な病気が、頚椎椎間板ヘルニアや頚椎症性神経根症です。首の骨や椎間板の変化によって神経根が圧迫されると、肩から腕、手指にかけて痛みやしびれが現れます。
首の向きや姿勢によって症状が強くなったり、軽くなったりすることもあります。
両手のしびれ+手先の不器用さには注意
首から出る神経根ではなく、首の中を通っている頚髄そのものが圧迫される病気が、頚椎症性脊髄症などの変性性頚髄症です。
頚髄が圧迫されると、両手のしびれだけでなく、手指を使った細かな動作がしにくくなったり、歩行に影響が出たりすることがあります。
ボタンを留めにくい
指先を使った細かな操作が以前より難しくなることがあります。
箸を使いにくい・字を書きにくい
手指の動きがぎこちなくなったり、物を落としやすくなったりすることがあります。
足がもつれる・歩きにくい
進行すると脚にも症状が現れ、階段や歩行が不安定になることがあります。
変性性頚髄症では、診断までに時間がかかることが問題となっています。Popeらの研究では、診断の遅れが大きいほど、機能障害も強いことが報告されています3)。
手のしびれに加えて「手先が使いにくい」「歩きにくい」といった変化が出てきた場合には、早めの診察が重要です。
腰の病気による足のしびれ
腰椎椎間板ヘルニアでは、腰から脚へ向かう神経が圧迫され、臀部から太もも、すね、足先にかけて痛みやしびれが現れます。
片脚に症状が出ることが多く、姿勢や動作によって症状が変化する場合があります。
また、腰部脊柱管狭窄症では、立ったり歩いたりすると脚の痛みやしびれが強くなり、座ったり、しゃがんだり、前かがみになったりすると軽くなることがあります。
このように、歩いているうちに脚が痛くなったり、しびれて歩けなくなったりする症状を間欠性跛行と呼びます。
歩ける距離が以前より短くなった場合や、脚に力が入りにくくなってきた場合には、整形外科での評価をおすすめします。
手首や肘などの末梢神経が原因となることも
首や腰だけでなく、神経が手首や肘などで圧迫されることでもしびれが起こります。
手根管症候群
手首を通る正中神経が圧迫され、親指、人差し指、中指、薬指の一部を中心にしびれが現れます。夜間や明け方に症状が強くなることがあります。
肘部管症候群
肘の内側を通る尺骨神経が圧迫され、小指と薬指の一部を中心にしびれが現れます。進行すると指の筋力が低下することがあります。
脚の末梢神経障害
膝の外側を通る腓骨神経や足首周辺の神経などが圧迫されることで、足の甲や足裏などにしびれが現れることがあります。
MRIに異常があれば、そこがしびれの原因?
しびれがあると、「MRIを撮れば原因がすぐ分かる」と思われることがあります。
しかし、MRIに異常が写っていることと、その異常が実際にしびれを起こしていることは同じではありません。
Nakashimaらが、首に症状のない1,211人を対象に頚椎MRIを調べた研究では、87.6%に椎間板の膨隆が認められました2)。
さらに20代でも、男性の73.3%、女性の78.0%に椎間板膨隆が確認されています2)。
つまり、MRIで「椎間板が出ている」「神経の近くが狭くなっている」と指摘されたとしても、それだけで現在のしびれの原因とは断定できません。
画像だけではなく、症状と診察所見が一致しているかが重要です。
しびれの場所、筋力、感覚、腱反射、症状が変化する姿勢などとMRI所見を合わせて判断します。
整形外科以外の原因にも注意
すべてのしびれが整形外科の病気によるものではありません。
糖尿病、ビタミン不足、甲状腺の病気、アルコール、薬剤の影響などによって、末梢神経が障害されることがあります。
特に、両足の指先から左右対称にしびれが始まり、徐々に上の方へ広がっていく場合には、全身性の病気による末梢神経障害も考える必要があります。
整形外科以外の原因が疑われる場合には、必要に応じて脳神経内科や内科などと連携して診断を進めます。
突然の片側のしびれは救急受診を
突然、顔や手足の片側だけがしびれた場合には注意が必要です。
脳梗塞や脳出血など、脳の病気によって突然しびれが現れることがあります。
次のような症状が突然現れた場合は、通常の外来受診を待たず、速やかに救急車を呼んでください。
- 顔の片側が下がる
- ろれつが回らない
- 片側の手足に力が入らない
- 急に言葉が出にくくなった
- 突然の強い頭痛がある
- 急に歩けなくなった
整形外科ではどのような検査をする?
診察では、しびれが始まった時期、症状の範囲、悪化する姿勢、首や腰の痛み、筋力低下の有無などを確認します。
そのうえで、感覚検査、筋力検査、腱反射、歩行状態などを調べ、神経が障害されている場所を推測します。
必要に応じて、X線、MRI、CTなどの画像検査を行います。
末梢神経障害が疑われる場合には、神経伝導検査や筋電図検査を行うこともあります。また、糖尿病、甲状腺疾患、ビタミン不足などが疑われる場合には、血液検査を追加することがあります。
しびれの治療は原因によって異なります
しびれの治療は、原因となっている病気や神経障害の程度によって異なります。
神経への圧迫が軽い場合には、薬物療法、装具療法、リハビリテーションなどを行い、首や腰、手足に負担をかけにくい姿勢や動作を身につけていきます。
一方で、筋力低下や歩行障害が進行している場合や、神経・脊髄への圧迫が強い場合には、手術を検討することもあります。
大切なのは、「しびれ」という症状だけを治療するのではなく、どこで、なぜ神経に問題が起きているのかを確認することです。
まとめ
手足のしびれには、首や腰の病気、手首や肘などの末梢神経障害、全身性の病気など、さまざまな原因があります。
また、しびれている場所だけで原因が決まるわけではなく、MRIに異常が見つかっただけで原因が決まるわけでもありません。
整形外科では、しびれの範囲に加えて、感覚、筋力、腱反射、歩行、画像検査などを組み合わせて原因を調べます。
しびれが長引いている、何度も繰り返す、範囲が広がっている、手足に力が入りにくくなってきた場合には、我慢せず整形外科へご相談ください。
文責:高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニック 院長 松﨑 時夫
<参考文献>
・McAnany SJ, Rhee JM, Baird EO, et al. Observed patterns of cervical radiculopathy: how often do they differ from a standard, “Netter diagram” distribution? Spine J. 2019;19(7):1137–1142.
・Nakashima H, Yukawa Y, Suda K, et al. Abnormal findings on magnetic resonance images of the cervical spines in 1211 asymptomatic subjects. Spine (Phila Pa 1976). 2015;40(6):392–398.
・Pope DH, Mowforth OD, Davies BM, Kotter MRN. Diagnostic Delays Lead to Greater Disability in Degenerative Cervical Myelopathy and Represent a Health Inequality. Spine (Phila Pa 1976). 2020;45(6):368–377.