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ストレートネックはリハビリで改善できる?

当院の治療例

朝や夜に強くなる首・肩の痛みとしびれに対して、リハビリを開始した一例をご紹介します。

首や肩の痛みは、筋肉の緊張や姿勢だけでなく、頚椎の変形や神経への刺激が関係していることがあります。

患者さまは、1年以上前から両側の首から肩にかけて、痛み、しびれ、こわばりを感じていました。特に朝起きたときや夜間の痛みが強く、睡眠にも影響していました。

以前の医療機関では、頚椎の狭窄による症状と説明され、痛み止めや湿布、葛根湯などが処方されていました。また、神経痛の薬を服用した際に顔や手が腫れたため、中止した経験がありました。

診察では、首を上下に動かしても症状の明らかな悪化はなく、ゴルフやウォーキングも継続できていました。一方で、長期間続く痛みや睡眠への影響があったため、レントゲン検査や身体評価を行い、首や肩の動き、姿勢、筋肉の緊張などを確認しながらリハビリを開始することとしました。

リハビリ開始後3ヶ月のレントゲン撮影では自然な首の位置として頚椎のアライメントが改善し、症状も大幅に減少しました。

※個人が特定されないよう、内容の一部を変更しています。また全員が同等の効果を得られるわけではありません。

エビデンスのある運動療法を解説

「ストレートネックと言われたので、首のカーブを元に戻したい」と考えて受診される方は少なくありません。

しかし、ストレートネックは一つの病気の名前ではなく、X線で頚椎の前弯が少なく、首の骨がまっすぐに近く見える状態を表す言葉です。

リハビリの目的は、X線上のカーブを無理に作ることではありません。首の痛みを減らし、首や肩を動かしやすくし、仕事や日常生活で疲れにくい身体を作ることが主な目的です。

姿勢を直せば治るとは限らない

頭が肩より前に出る前方頭位は、成人の首の痛みや日常生活上の支障と関連することが報告されています。

一方で、姿勢が悪く見えても痛みがない方や、姿勢が整っていても首が痛い方もいます。姿勢と首の痛みには関係がありますが、姿勢だけで症状のすべてを説明できるわけではありません。

そのため、リハビリでは首の角度だけではなく、首の可動域、筋力と持久力、肩甲骨や胸椎の動き、仕事やスマートフォンの使用状況、痛みに対する不安なども含めて評価します。

エビデンスがあるリハビリの基本は運動療法

慢性的な首の痛みに対しては、首、肩甲骨、肩周囲の筋力や持久力を高める運動が推奨されています。

特に、首だけをストレッチするよりも、筋力訓練、運動制御訓練、肩甲骨周囲の運動などを組み合わせることが重要です。

ただし、全員が同じ運動を行えばよいわけではありません。症状の出方や身体機能に合わせて、必要な運動を選ぶことが大切です。

頚部深層屈筋(インナーマッスル)の運動

首の前側の深い筋肉を使いやすくし、頭を少ない力で支えられるようにする運動です。慢性的な首の痛みでは、この筋肉の働きが低下していることがあります。

首の筋力・持久力トレーニング

首を前後左右から支える筋肉の持久力を高めることで、長時間のデスクワークや日常生活で疲れにくくすることを目指します。

肩甲骨周囲のトレーニング

肩甲骨を支える筋肉の機能を高め、首や肩へ負担が集中しにくい状態を作ります。デスクワークや腕を使う作業が多い方で重要です。

胸椎の可動性改善

胸椎が硬いと、前を見るために首の上部へ負担が集中しやすくなります。胸椎の伸展や回旋運動も首の症状改善に役立ちます。

作業環境の調整

モニターの高さ、前腕の支持、休憩の取り方などを調整することで、同じ姿勢を長く続ける負担を減らします。

1.頚部深層屈筋(インナーマッスル)の運動

首の前側の深い部分には、頭と頚椎を細かく支える筋肉があります。慢性的な首の痛みがある方では、この筋肉を適切に使えず、胸鎖乳突筋などの表層筋へ力が入りすぎている場合があります。

代表的な運動が、軽くうなずくように頭を動かす頭頚部屈曲運動です。

  • 仰向けになり、力を抜く
  • 顎を胸へ強く押し込まず、小さく「はい」とうなずく
  • 後頭部を床から持ち上げない
  • 首の前側に強く筋が浮き出ない程度の力で行う
  • 痛みやしびれが出ない範囲で数秒保つ

大切なのは、顎を最大限に引くことではなく、少ない力で頭を支えられるようにすることです。顎を強く引きすぎると、首の下部が曲がりすぎたり、首の前側に余計な力が入ったりする場合があります。

2.首の筋力・持久力トレーニング

頚部深層屈筋の運動だけでなく、首を前後左右から支える筋肉の持久力も必要です。首の痛みに対する運動療法では、筋力訓練と持久力訓練により、痛みや機能が改善する可能性が示されています。

  • 手で頭を押さえ、首を動かさずに力を入れる運動
  • 軽いゴムバンドを使用した首の運動
  • 四つ這いで頭を支える運動
  • 首の位置を保ったまま腕を動かす運動
  • 仕事やスポーツに近い姿勢で行う持久力訓練

一度だけ強い力を出すことよりも、頭を長時間安定して支えられることが重要です。

3.肩甲骨周囲のトレーニング

首の痛みがあっても、原因が首だけにあるとは限りません。肩甲骨を支える筋肉の持久力が低下していると、パソコン作業や腕を使う作業中に、僧帽筋上部や首の筋肉へ負担が集中しやすくなります。

肩甲骨を対象とした運動は、慢性的な首の痛みを軽減する可能性があります。

  • ローイング運動
  • 肩甲骨を軽く後ろへ寄せる運動
  • 壁を使った腕の挙上運動
  • 前鋸筋のトレーニング
  • 僧帽筋中部・下部のトレーニング
  • Y、T、W運動

ここでも、肩甲骨を常に強く寄せ続ける必要はありません。必要な場面で肩甲骨を安定させられることが目標です。

4.胸椎の動きを改善する運動

背中が丸くなり、胸椎を伸ばしにくくなると、前を見るために頭を前へ出したり、首の上部を強く反らしたりすることがあります。

そのため、首だけを動かすのではなく、胸椎の伸展や回旋運動も行います。

  • 椅子に座った胸椎伸展運動
  • 横向きで身体をひねるオープンブック運動
  • 四つ這いで行う胸椎回旋運動
  • フォームローラーを使った胸椎伸展運動

胸椎への徒手療法やモビライゼーションは、首の痛みや可動域を短期的に改善する可能性があり、運動を始めやすくする補助として使われます。

5.ストレッチ

首、肩、胸周囲の筋肉にこわばりがある場合には、ストレッチを行います。主な対象は大胸筋、小胸筋、肩甲挙筋、僧帽筋上部、胸鎖乳突筋、後頭下筋群などです。

ただし、ストレッチだけでストレートネックや慢性的な首の痛みを治すことは難しいと考えられます。筋力訓練や持久力訓練を行いやすくするための補助的な方法として用います。

※ 腕や手にしびれが広がる、めまいがする、吐き気がする、強い頭痛が出る場合には中止してください。

6.有酸素運動と全身運動

首の痛みがあると、首を動かすことだけに意識が向きやすくなります。しかし、ウォーキング、自転車、軽い筋力トレーニングなどの全身運動も、慢性的な首の痛みに対するリハビリの一部になります。

運動不足の方が、いきなり強い首の筋力訓練を始める必要はありません。まずは歩く時間を増やすなど、無理なく続けられる運動から始めます。

7.デスクワーク環境と休憩方法の調整

ストレートネックの方が、常に「正しい姿勢」を保ち続ける必要はありません。どのような姿勢でも、同じ姿勢を長く続ければ筋肉は疲れます。

そのため、姿勢の形だけでなく、姿勢をこまめに変えられる環境を作ることが重要です。

  • モニターを低くしすぎない
  • 文字が小さい場合は表示を拡大する
  • 肘や前腕を机や肘掛けで支える
  • スマートフォンを極端に低い位置で見続けない
  • 定期的に立ち上がる
  • 短時間でも首や肩を動かす
  • 長時間の作業を小分けにする

マッサージや徒手療法だけでは不十分

マッサージや関節への徒手療法によって、首の痛みやこわばりが一時的に軽くなることがあります。

しかし、受け身の治療だけでは、仕事や運動に必要な筋力や持久力は改善しません。徒手療法は、痛みを軽減して運動を行いやすくするための補助的な治療として使い、運動療法と組み合わせることが基本です。

頚椎のカーブを戻す牽引治療は必要か

頚椎を後ろへ反らす方向へ牽引し、X線上の前弯を増やす治療法も報告されています。

ただし、すべてのストレートネックに必要な標準治療とはいえません。画像のカーブだけを治療目標にするのではなく、痛み、神経症状、動作、生活上の困りごとが改善しているかを確認することが大切です。

効果が出るまでどのくらいかかる?

運動療法は、1回行っただけで首の形や筋力が大きく変わるものではありません。一般的には、6~8週間程度のプログラムで、痛みや機能の改善がみられることがあります。

ただし、症状の期間、年齢、仕事の負担、神経症状の有無などによって回復期間は異なります。まずは症状を悪化させない運動から始め、負荷、回数、運動の種類を段階的に増やしていきます。

リハビリを行う前に詳しい検査が必要な症状

次のような症状がある場合には、単純なストレートネックとして運動だけを行わず、医療機関で詳しい評価を受ける必要があります。

  • 腕や手の筋力が低下している
  • 物を落としやすくなった
  • ボタンや箸が使いにくい
  • 両手がしびれる
  • 脚がもつれる
  • 転びやすくなった
  • 排尿や排便に異常がある
  • 発熱や強い夜間痛がある
  • 外傷後から強い痛みが続いている
  • 突然の激しい頭痛やめまいがある

頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性神経根症、頚椎症性脊髄症などが隠れている可能性があるため、診察や画像検査が必要です。

まとめ

ストレートネックのリハビリでは、X線上の頚椎を無理に理想的な形へ変えることだけを目的にはしません。エビデンスが比較的そろっているのは、次のような方法です。

  • 頚部深層筋の運動制御訓練
  • 首の筋力と持久力のトレーニング
  • 肩甲骨周囲筋のトレーニング
  • 胸椎の可動性を改善する運動
  • 全身の有酸素運動
  • 作業環境と活動量の調整
  • 運動療法と徒手療法の組み合わせ

大切なのは、「顎を引けばよい」「姿勢を正せばよい」という一つの方法に偏らないことです。症状や身体機能を確認し、その方に必要な運動を段階的に組み合わせることが、ストレートネックに対するリハビリの基本となります。

当院ではプレミアムコンディショニングにてストレートネックに対する治療を行っております。

ストレートネックや姿勢改善を希望される方はこちらのプレミアムコンディショニングにてご予約お待ちしております。

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文責:高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニック 院長 松﨑 時夫