強剛母趾
強剛母趾について
強剛母趾(きょうごうぼし)は、母趾の付け根にある「母趾中足趾節関節(母趾MTP関節)」の関節軟骨がすり減り、痛みや腫れ、動かしにくさを生じる病気です。
母趾MTP関節は、第1中足骨と母趾基節骨によって構成される関節です。歩行時に母趾を上へ反らし、足で地面を蹴り出す際に重要な役割を担っています。
関節をつくる骨の表面は、滑らかな関節軟骨で覆われています。関節軟骨には、骨同士の摩擦を減らし、歩行や運動で加わる衝撃を分散する役割があります。
強剛母趾では、この関節軟骨が徐々に傷み、すり減ります。軟骨の損傷が進むと、骨同士の隙間が狭くなり、関節の縁に骨棘と呼ばれる骨の突出が形成されます。
特に母趾MTP関節の背側、足の甲側に骨棘が形成されやすく、母趾を上へ反らした際に骨同士がぶつかることで、強い痛みや動きの制限が現れます。
初期には母趾の動きが少し制限される程度であることから、「母趾制限症」や「hallux limitus」と呼ばれることがあります。変形が進行して関節の動きが著しく低下した状態が、強剛母趾です。
ただし、母趾が完全に動かなくなっていなくても、母趾MTP関節の変形性関節症をまとめて強剛母趾と呼ぶことがあります。
強剛母趾は、歩く、走る、階段を上る、しゃがむ、つま先立ちをするといった日常動作やスポーツに影響します。
初期には靴や活動量の調整、足底挿板、薬物療法、リハビリテーションなどによって痛みの軽減を目指します。関節の変形が進み、保存療法を行っても日常生活への支障が強い場合には、手術治療を検討します。
母趾MTP関節の構造と役割
母趾には、母趾基節骨と母趾末節骨という2つの骨があります。
母趾の付け根では、第1中足骨と母趾基節骨によって母趾MTP関節が構成されています。
母趾の先に近い関節は、母趾趾節間関節または母趾IP関節と呼ばれます。
母趾MTP関節の足裏側には、種子骨と呼ばれる2つの小さな骨があります。内側種子骨と外側種子骨があり、母趾を曲げる腱などに包まれながら、第1中足骨頭の下を滑るように動きます。
種子骨には、母趾を動かす筋肉や腱の力を効率よく伝え、歩行時の蹴り出しを助ける役割があります。
歩行時には、かかとが地面についた後、足裏全体へ体重が移動します。その後、かかとが持ち上がり、体重が前足部と母趾へ移動します。
身体が足より前へ進む際には、母趾MTP関節が上へ反ります。この動きを背屈または伸展と呼びます。
母趾が上へ反ることで、足底腱膜が巻き上げられ、足のアーチが高まり、足部が地面を蹴り出しやすい硬い構造へ変化します。
この働きはウインドラス機構と呼ばれ、効率よく歩いたり走ったりするために重要です。
強剛母趾によって母趾MTP関節の背屈が制限されると、歩行時に母趾で地面を蹴り出すことが難しくなります。
そのため、足の外側へ体重を移す、歩幅を小さくする、足を外側へ向けて歩くなどの代償動作が現れることがあります。
強剛母趾の原因
強剛母趾の原因は一つではなく、加齢に伴う関節軟骨の変化、繰り返す負担、外傷、足部の形、炎症性疾患などが関係します。
原因を明確に特定できない場合もあります。
繰り返す小さな外傷・使いすぎ
歩行、ランニング、ジャンプ、つま先立ちなどを繰り返すと、母趾MTP関節には大きな力が加わります。
母趾を上へ反らす動作を長期間繰り返すことで、関節軟骨や関節の縁に負担が蓄積し、変形性関節症が進行することがあります。
次のようなスポーツや活動で発症することがあります。
・ランニング、マラソン
・サッカー、フットサル
・ラグビー、アメリカンフットボール
・テニス、バドミントン
・バスケットボール、バレーボール
・ダンス、バレエ
・体操
・登山
・つま先立ちを繰り返す運動
・しゃがみ姿勢が多い作業
・長時間の立ち仕事や歩行
運動量を急に増やした場合や、硬い路面での練習が続いた場合、靴を変更した場合などに、症状が現れることがあります。
母趾MTP関節の外傷
母趾を強く反らした外傷、母趾をぶつけたけが、母趾MTP関節の捻挫などをきっかけに、関節軟骨が損傷することがあります。
人工芝などに母趾をついたまま、身体が前方へ進むことで母趾が強く反らされる外傷は、「ターフトゥ」と呼ばれます。
ターフトゥでは、母趾MTP関節足底側の関節包、靱帯、種子骨周囲の組織などが損傷します。
一度の強い外傷や、繰り返すターフトゥによって関節軟骨が傷むと、将来的に強剛母趾へ進行することがあります。
母趾MTP関節の骨折や脱臼後に、関節面の段差や骨の変形が残り、変形性関節症が進むこともあります。
加齢に伴う関節軟骨の変化
関節軟骨は年齢とともに弾力性や修復力が低下します。
明らかな外傷がなくても、長年の歩行や仕事、スポーツによる負担が蓄積し、関節軟骨が徐々にすり減ることがあります。
ただし、強剛母趾は高齢者だけに起こる病気ではありません。若年者や中年の方でも、スポーツ、外傷、足部の形などによって発症することがあります。
足部の骨格や配列
第1中足骨の長さや向き、母趾MTP関節の関節面の形などには個人差があります。
第1中足骨が比較的長い場合や、第1中足骨頭の形によって母趾を反らした際に関節背側へ負担が集中する場合には、強剛母趾を発症しやすくなる可能性があります。
第1中足骨が持ち上がった状態や、歩行時に第1中足骨が十分に下がらない状態では、母趾基節骨との間で関節背側がぶつかりやすくなります。
扁平足、凹足、足部の過回内などによって、母趾MTP関節へ加わる力が変化することもあります。
家族歴・体質
強剛母趾には、足の骨格や関節の形など、遺伝的な要素が関係することがあります。
両足に強剛母趾がある場合や、家族にも同じような母趾の変形・痛みがある場合には、体質や骨格が影響している可能性があります。
外反母趾などの足部変形
外反母趾では、母趾が第2趾側へ曲がり、第1中足骨が内側へ広がります。
母趾MTP関節にかかる力の方向が変化することで、関節軟骨へ負担がかかることがあります。
強剛母趾と外反母趾は別の病気ですが、両方を同時に発症することもあります。
ただし、強剛母趾では関節が硬くなるため、母趾が大きく外側へ曲がらず、むしろ比較的まっすぐなまま動きが悪くなることもあります。
炎症性疾患
関節リウマチ、乾癬性関節炎などによって母趾MTP関節に炎症が続くと、関節軟骨や骨が傷み、関節の動きが悪くなることがあります。
炎症性疾患では、母趾だけでなく、ほかの足趾、手指、手首、足首など複数の関節に症状が現れることがあります。
朝のこわばりが長く続く、左右の複数の関節が腫れるといった場合には、血液検査などを行います。
痛風・偽痛風
痛風では、血液中の尿酸からできた結晶が関節にたまり、急激な関節炎を起こします。
母趾MTP関節は痛風発作が起こりやすい場所です。
痛風発作を繰り返すことで関節軟骨や骨が傷み、慢性的な関節変形や可動域制限が残ることがあります。
偽痛風など、ほかの結晶性関節炎によって母趾の関節が傷む場合もあります。
感染性関節炎
傷口や血流などを通じて母趾MTP関節に細菌が入り、感染性関節炎を起こすことがあります。
感染によって関節軟骨が傷むと、関節炎が治まった後も痛みや可動域制限が残る可能性があります。
感染性関節炎では、関節の強い腫れ、赤み、熱感、発熱などが現れます。早急な検査と治療が必要です。
強剛母趾の主な症状
母趾の付け根の痛み
代表的な症状は、母趾の付け根に現れる痛みです。
特に母趾MTP関節の背側、足の甲側に痛みが現れやすくなります。
初期には、長時間歩いた後、走った後、つま先立ちをした後などに痛みを感じます。
症状が進行すると、普段の歩行や立ち仕事でも痛みが現れ、短い距離の移動にも支障が出ることがあります。
痛みは関節の背側だけでなく、関節の奥や足裏側に現れる場合もあります。
母趾を上へ反らしたときの痛み
強剛母趾では、母趾を上へ反らした際に痛みが強くなることが特徴です。
歩行時にかかとが持ち上がると、母趾MTP関節が背屈し、関節背側の骨棘や傷んだ軟骨へ負担がかかります。
次のような動作で症状が現れることがあります。
・歩行時の蹴り出し
・ランニング
・階段を上る
・坂道を上る
・つま先立ち
・深くしゃがむ
・正座から立ち上がる
・母趾で踏ん張る
・ハイヒールを履く
・スポーツで踏み込む
初期には、母趾を最大まで反らしたときだけ痛みが現れます。
関節軟骨のすり減りが進むと、母趾が中間の位置にあるときにも痛みが出るようになります。
母趾の動かしにくさ
母趾MTP関節の腫れ、骨棘、関節包の硬さなどによって、母趾の動く範囲が狭くなります。
特に母趾を上へ反らす背屈が制限されます。
初期には、反対側と比べて少し動きが悪い程度ですが、進行すると母趾をほとんど反らせなくなることがあります。
母趾を下へ曲げる動きも制限される場合があります。
患者さん自身は母趾の動きの低下に気づかず、「靴が合わなくなった」「歩き方が変わった」「足の外側が疲れる」と感じることもあります。
母趾MTP関節の腫れ
関節内に炎症が起こると、母趾の付け根が腫れます。
運動後や長時間歩いた後に腫れが強くなり、休むと軽くなることがあります。
症状が進むと、活動量にかかわらず関節が太く見えるようになります。
関節の腫れに加えて赤みや強い熱感がある場合には、痛風や感染性関節炎なども確認します。
足の甲側の硬い隆起
母趾MTP関節の背側に骨棘が形成されると、足の甲側に硬い隆起が現れます。
皮膚の上から骨の出っ張りを触れることがあり、靴の上部へ当たって痛みが生じます。
靴との摩擦によって皮膚が赤くなる、胼胝ができる、滑液包に炎症が起こるといった症状が現れることもあります。
外反母趾では母趾の付け根の内側が突出しますが、強剛母趾では主に関節の背側が突出する点が異なります。
靴を履いたときの痛み
骨棘や関節の腫れが靴へ当たり、圧迫痛が現れることがあります。
甲の部分が低い靴、硬い革靴、母趾の付け根を強く締めつける靴などで痛みが強くなります。
一方、靴底が柔らかすぎると、歩行時に母趾が大きく反り、関節痛が強くなる場合があります。
そのため、足先には余裕があり、靴底は適度に硬い靴が適することがあります。
歩行時の蹴り出しの困難
母趾MTP関節が痛むと、母趾で地面を蹴り出すことが難しくなります。
歩幅が小さくなる、歩く速度が遅くなる、痛い側の足に体重をかける時間が短くなるなどの変化が現れます。
歩行時に足の外側へ体重を逃がし、小趾側から蹴り出すようになることもあります。
この状態が長期間続くと、前足部外側の痛み、第2趾・第3趾の付け根の痛み、足裏の胼胝などが現れることがあります。
足の外側やほかの足趾の痛み
母趾への荷重を避けるために足の外側へ体重を移すと、第5中足骨付近や足の外側に痛みが現れることがあります。
第2中足骨や第3中足骨へ負担が集中すると、中足骨頭痛、胼胝、疲労骨折などにつながる場合があります。
母趾の痛みだけでなく、足裏の荷重の偏りやほかの足趾の状態も確認することが大切です。
足裏側・種子骨周囲の痛み
関節軟骨の変性が進むと、母趾MTP関節の足裏側や種子骨周囲にも負担がかかります。
歩行時やつま先立ちで、母趾の付け根の足裏側に痛みを感じることがあります。
種子骨自体の変形性関節症、種子骨炎、疲労骨折などを伴っている場合もあります。
引っかかり・ゴリゴリする感覚
関節面の凹凸や骨棘によって、母趾を動かした際に引っかかりやゴリゴリとした感触が生じることがあります。
関節内に遊離体がある場合には、突然関節が動かしにくくなることがあります。
動かした際の音だけで痛みがない場合には問題とならないこともありますが、痛みやロッキングを伴う場合には画像検査を行います。
安静時痛・夜間痛
初期には歩行や運動時だけ痛みが現れ、休むと軽くなることが一般的です。
変形や関節炎が進行すると、歩いていないときや就寝中にも痛みを感じることがあります。
安静時痛や夜間痛が強い場合には、進行した関節症だけでなく、痛風、感染症、疲労骨折、腫瘍なども含めて確認します。
母趾制限症と強剛母趾の違い
母趾MTP関節の動きが制限されているものの、ある程度の可動域が残っている状態を「母趾制限症」または「hallux limitus」と呼ぶことがあります。
関節の変形が進行し、母趾MTP関節の動きが著しく低下した状態が、強剛母趾です。
ただし、実際の診療では両者を明確に分けず、母趾MTP関節の変形性関節症をまとめて強剛母趾と呼ぶことがあります。
初期には、体重をかけていない状態では母趾がある程度動いても、立った状態や歩行時には十分に反らないことがあります。
このような状態は「機能的母趾制限」と呼ばれることがあります。
関節軟骨の変性や骨棘が進み、体重をかけていない状態でも動かない場合には、構造的な可動域制限が考えられます。
強剛母趾の進行と経過
強剛母趾は、関節軟骨の傷みや母趾の動きに応じて、初期、進行期、末期に分けて考えることがあります。
初期
初期には、母趾を最大まで上へ反らしたときに痛みが現れます。
ランニング、つま先立ち、坂道、階段など、母趾を大きく反らす動作で症状が出ます。
関節の動きはある程度保たれており、X線検査でも関節の隙間が比較的保たれていることがあります。
母趾MTP関節背側に小さな骨棘が形成され、靴に当たる痛みが現れる場合があります。
この段階では、靴や活動量の調整、足底挿板、リハビリテーションなどによって、症状を管理できることがあります。
進行期
関節軟骨のすり減りが進むと、関節の隙間が狭くなり、骨棘が大きくなります。
母趾の背屈だけでなく、底屈も制限されることがあります。
母趾を最大まで反らしたときだけでなく、中間の位置でも関節の奥に痛みが現れるようになります。
長時間の歩行や立ち仕事に支障が出て、母趾をかばった歩き方が目立つようになります。
関節背側の骨棘が靴へ当たり、赤み、胼胝、滑液包炎などを繰り返すこともあります。
末期
末期になると、母趾MTP関節の軟骨が広い範囲ですり減り、骨同士が接触するようになります。
母趾の動きが著しく低下し、わずかな動きでも強い痛みを感じることがあります。
短い距離の歩行、室内での移動、立ち上がりなどでも症状が現れ、安静時痛を伴う場合があります。
この段階では、骨棘だけを切除しても関節内の痛みが残る可能性が高いため、関節固定術などを検討します。
ただし、画像上の変形と症状の強さは必ずしも一致しません。
X線検査で変形が強くても痛みが軽い方や、変形が比較的軽くてもスポーツや仕事に大きな支障が出る方がいます。
治療方法は画像だけで決めず、痛みの場所、可動域、活動量、靴、生活への影響などを総合して判断します。
ほかの足部疾患との違い
母趾の付け根の痛みは、強剛母趾以外のさまざまな病気でも生じます。
外反母趾との違い
外反母趾では、母趾が第2趾側へ曲がり、母趾の付け根の内側が突出します。
突出した部分が靴へ当たって痛むことや、関節周囲に炎症が起こることがあります。
強剛母趾では、母趾の付け根の背側に骨棘が形成され、母趾を上へ反らしたときに痛みが出ることが特徴です。
ただし、外反母趾と強剛母趾を同時に発症することもあります。
母趾の曲がりだけでなく、関節の動きやX線所見を確認します。
痛風との違い
痛風発作では、母趾MTP関節が突然赤く腫れ、触れることも難しいほど強く痛むことがあります。
数時間から1日程度で急激に症状が強くなることが特徴です。
強剛母趾では、一般的に歩行や母趾の動きに伴う痛みが徐々に現れます。
ただし、強剛母趾のある関節に痛風発作が起こることや、痛風を繰り返した結果、変形性関節症が進むこともあります。
ターフトゥとの違い
ターフトゥは、母趾が強く上へ反らされることで、母趾MTP関節足底側の関節包や靱帯などが損傷する外傷です。
スポーツ中に受傷し、受傷直後から母趾の付け根に痛み、腫れ、皮下出血などが現れます。
強剛母趾は徐々に進行することが多い病気ですが、過去のターフトゥが原因となって発症する場合があります。
種子骨障害との違い
種子骨炎、種子骨疲労骨折、種子骨壊死などでは、母趾MTP関節の足裏側に痛みが現れます。
歩行、ランニング、つま先立ちなどで痛みが強くなり、種子骨を直接押すと痛みが再現されます。
強剛母趾でも足裏側が痛む場合がありますが、一般的には母趾を上へ反らした際の関節背側痛や可動域制限が目立ちます。
両者を同時に発症していることもあります。
母趾MTP関節の捻挫との違い
母趾をひねった、ぶつけた、強く反らしたなどの外傷後に痛みが現れた場合には、関節包や靱帯の損傷を確認します。
捻挫では受傷直後から腫れや痛みが現れますが、強剛母趾では明らかな受傷がなく、徐々に痛みが強くなることがあります。
外傷後に症状が長引いている場合には、軟骨損傷や小さな骨折が隠れている可能性があります。
母趾MTP関節の離断性骨軟骨炎・骨軟骨損傷との違い
母趾MTP関節の軟骨とその下の骨が局所的に損傷すると、関節の奥の痛み、腫れ、引っかかりなどが現れます。
若い方や外傷後に生じることがあります。
X線検査では分かりにくい場合があり、MRI検査やCT検査が必要になることがあります。
骨軟骨損傷から関節症が進行し、強剛母趾へつながることもあります。
関節リウマチとの違い
関節リウマチでは、母趾だけでなく、複数の足趾や手指などに腫れ、痛み、こわばりが現れます。
朝のこわばりが長く続く、左右対称に症状がある場合には、血液検査などを行います。
関節リウマチによる関節破壊によって、母趾MTP関節の可動域が低下することがあります。
感染性関節炎との違い
母趾MTP関節が急に赤く腫れ、熱を持ち、安静にしていても強く痛む場合には、感染性関節炎の可能性があります。
発熱、悪寒、傷口、膿などを伴う場合があります。
感染性関節炎は、短期間で関節軟骨を傷める可能性があるため、速やかな検査と治療が必要です。
第1中足骨疲労骨折との違い
ランニングや長時間の歩行をきっかけに、第1中足骨へ疲労骨折を起こすことがあります。
特定の骨を押したときに強い痛みがあり、足の甲が腫れることがあります。
強剛母趾では、母趾MTP関節を動かしたときに痛みが出ますが、疲労骨折では関節から離れた骨の部分にも圧痛が現れます。
発症初期にはX線検査で分かりにくいため、MRI検査が必要になることがあります。
足底板損傷との違い
足底板は、中足趾節関節の足裏側にある丈夫な組織です。
足底板が損傷すると、足趾の付け根の足裏側に痛みが現れます。
第2趾に多い病気ですが、母趾MTP関節足底側の支持組織が損傷することもあります。
母趾を強く反らした外傷歴や、関節の不安定性を確認します。
高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニックで行う検査
問診・触診
母趾の痛みが現れた時期、痛む場所、症状が出る動作などを確認します。
また、次のような点について詳しくお伺いします。
・母趾の付け根のどの部分が痛むか
・母趾を上へ反らすと痛むか
・歩行時の蹴り出しで痛むか
・階段、坂道、つま先立ちで痛むか
・靴が骨の出っ張りへ当たるか
・母趾の動きが悪くなっていないか
・関節の腫れや赤みがあるか
・足裏側にも痛みがあるか
・安静時や夜間にも痛みがあるか
・スポーツや仕事で母趾へ負担がかかるか
・母趾を強く反らした外傷があったか
・過去に母趾の骨折や脱臼をしたことがあるか
・痛風、関節リウマチなどの病歴があるか
・普段使用している靴の種類
・これまでに使用したインソールや装具
・これまでに受けた薬物療法、注射、リハビリテーション
母趾MTP関節の背側、内側、外側、足裏側を触診し、圧痛、腫れ、熱感、骨の隆起などを確認します。
種子骨、第1中足骨、母趾IP関節などにも痛みがないかを確認します。
身体検査
母趾MTP関節をゆっくり動かし、背屈と底屈の可動域を確認します。
反対側の足と比較し、動きの左右差や、どの角度で痛みが現れるかを評価します。
母趾を最大まで上へ反らしたときだけ痛むのか、動きの途中でも痛むのかを確認します。
最大背屈時だけ背側に痛みがある場合には、骨棘による背側インピンジメントが中心と考えられます。
母趾が中間の位置にあるときにも関節の奥に痛みがある場合や、関節を圧迫しながら動かすと痛む場合には、関節軟骨が広い範囲で傷んでいる可能性があります。
関節を圧迫しながら動かす検査は、グラインドテストと呼ばれることがあります。
母趾の動きだけでなく、足のアーチ、第1中足骨の動き、かかとの傾きなども確認します。
歩行、片脚立ち、つま先立ち、しゃがみ動作などを行い、母趾への荷重や痛みの出方を評価します。
母趾をかばって足の外側へ体重を逃がしていないか、歩幅が短くなっていないかなども確認します。
X線検査
X線検査は、強剛母趾の診断と進行度の評価に重要な検査です。
次のような状態を確認します。
・母趾MTP関節の隙間が狭くなっていないか
・関節背側に骨棘が形成されていないか
・関節軟骨の下の骨が硬くなっていないか
・骨の内部に嚢胞状の変化がないか
・関節面が不整になっていないか
・種子骨周囲に変形がないか
・母趾の配列や外反変形
・過去の骨折や骨軟骨損傷
・遊離体がないか
関節軟骨そのものはX線には写りません。関節の隙間の狭さから、関節軟骨のすり減りを推測します。
必要に応じて、立った状態で体重をかけて撮影します。
荷重した状態で撮影することで、実際に歩行するときに近い母趾や第1中足骨の配列を評価できます。
足の正面だけでなく、斜位や側面から撮影し、背側骨棘の大きさや位置を確認します。
超音波検査
超音波検査では、母趾MTP関節内の水、滑膜の腫れ、関節周囲の腱や靱帯などを確認します。
次のような状態を評価できます。
・関節液の貯留
・滑膜炎
・背側骨棘
・関節包の腫れ
・腱や靱帯の損傷
・種子骨周囲の炎症
・滑液包炎
・ガングリオンなどの腫瘤
母趾を動かしながらリアルタイムに観察できるため、骨棘と周囲組織の位置関係を確認する際に役立ちます。
関節内への注射を行う際にも、必要に応じて超音波で関節、腱、血管、針先の位置などを確認しながら行います。
CT検査
CT検査では、骨棘、関節面、種子骨などの骨の状態を、X線検査よりも詳しく確認できます。
次のような場合にCT検査を検討します。
・骨棘の位置や大きさを詳しく確認したい
・関節面の変形を立体的に評価したい
・過去の骨折による変形が疑われる
・遊離体が疑われる
・種子骨の変形や癒合を確認したい
・手術方法を検討している
・関節固定術後の骨癒合を確認したい
CT検査が必要と判断した場合には、提携医療機関をご案内します。
MRI検査
MRI検査では、関節軟骨、骨の内部、滑膜、靱帯、種子骨周囲などを詳しく評価できます。
次のような状態を確認します。
・関節軟骨の損傷
・骨軟骨損傷
・骨髄浮腫
・種子骨炎、種子骨壊死
・靱帯や関節包の損傷
・滑膜炎
・疲労骨折
・感染症
・腫瘍性病変
問診、身体検査、X線検査で診断できることが多いため、すべての方にMRI検査が必要となるわけではありません。
次のような場合には、MRI検査を検討します。
・X線検査で変形が軽いにもかかわらず痛みが強い
・若年者で関節内の痛みが続いている
・外傷後から痛みが改善しない
・骨軟骨損傷が疑われる
・種子骨障害が疑われる
・安静時痛や夜間痛がある
・感染症や腫瘍性病変を除外する必要がある
・手術治療を検討している
当院にはMRI装置は設置しておりません。MRI検査が必要と判断した場合には、提携医療機関をご案内し、そちらで撮影を受けていただきます。
血液検査・関節液検査
強剛母趾そのものを、血液検査だけで診断することはできません。
痛風、関節リウマチ、感染症などが疑われる場合には、尿酸値、炎症反応、自己抗体などを確認することがあります。
母趾MTP関節が急に赤く腫れた場合には、関節液を採取し、尿酸結晶、細菌、白血球などを調べることがあります。
痛風が疑われても、発作中の尿酸値が正常となることがあります。血液検査だけで否定せず、症状や関節液検査などを合わせて判断します。
診断を目的とした局所麻酔注射
母趾MTP関節内へ局所麻酔薬を注入し、歩行や母趾の動きによる痛みが一時的に軽くなるかを確認することがあります。
痛みが軽くなった場合には、母趾MTP関節内の病変が主な痛みの原因である可能性があります。
一方、靴が骨棘へ当たる痛みや、種子骨・腱など関節外の痛みは、関節内注射だけでは改善しない場合があります。
注射の結果だけで診断せず、身体検査や画像検査と合わせて判断します。
強剛母趾に対する治療
強剛母趾では、まず活動量の調整、靴の変更、足底挿板、薬物療法、リハビリテーションなどの保存療法を行います。
治療の目的は、関節へかかる負担を減らし、痛みや炎症を軽減しながら、歩行や日常生活の機能を維持することです。
すり減った関節軟骨や形成された骨棘を、薬やリハビリテーションだけで完全に元へ戻すことはできません。
そのため、母趾を過度に反らさずに歩ける靴や装具を使用し、痛みを起こす動きを調整することが重要です。
保存療法を行っても症状が改善せず、仕事、家事、歩行、スポーツなどに大きな支障がある場合には、手術治療を検討します。
活動量・動作の調整
痛みを引き起こす動作を一時的に減らし、母趾MTP関節への負担を軽減します。
特に、次のような動作で症状が悪化する場合には注意が必要です。
・長時間の歩行
・ランニング
・ダッシュ
・ジャンプ、着地
・つま先立ち
・坂道や階段
・深くしゃがむ
・母趾を強く反らすストレッチ
・母趾で強く踏ん張る動作
・ハイヒールの長時間使用
完全な安静を長期間続けると、足部や下肢の筋力が低下することがあります。
痛みの程度に応じて、自転車、水泳、上半身のトレーニングなど、母趾を大きく反らしにくい運動へ変更します。
運動中だけでなく、運動後や翌日に痛みや腫れが強くならないかを確認しながら活動量を調整します。
靴の変更・調整
母趾の付け根を圧迫せず、歩行時に母趾が過度に反らない靴を選びます。
靴を選ぶ際には、次のような点を確認します。
・つま先部分に十分な幅と高さがある
・母趾MTP関節背側の骨棘へ当たらない
・靴底が適度に硬い
・靴底が簡単に折れ曲がりすぎない
・かかとが靴の中で大きく動かない
・足の長さと幅が合っている
・インソールを入れる余裕がある
・ヒールが高すぎない
靴底が硬い靴は、母趾MTP関節の曲がりを抑えることで、歩行時の痛みを軽減します。
一方、つま先部分の幅が狭い靴や、甲の低い靴では、骨棘が圧迫されて痛みが強くなることがあります。
ロッカーボトムシューズ
ロッカーボトムは、靴底が前後に丸くなり、つま先部分が少し持ち上がった形状の靴です。
歩行時に靴底が転がることで、母趾MTP関節を大きく反らさなくても身体を前へ進めやすくなります。
強剛母趾では、母趾の動きを制限しながら歩行時の蹴り出しを補う目的で使用します。
靴底の丸みの位置や程度が合っていないと、歩きにくさやほかの部位の痛みが生じることがあります。
足の状態や歩き方を確認しながら選択します。
足底挿板・インソール
母趾MTP関節へかかる負担を軽減するため、足底挿板やインソールを使用します。
母趾の下から第1中足骨の範囲を硬い素材で支える「モートンエクステンション」を使用することがあります。
モートンエクステンションには、母趾MTP関節の背屈を抑え、歩行時の痛みを軽減する目的があります。
カーボン製のプレートや、靴底全体に入れる硬いプレートを使用する場合もあります。
足のアーチやかかとの傾きが関係している場合には、足部全体の配列を調整するインソールを作製します。
硬さや位置が合っていないと、第2趾・第3趾の付け根や足の外側へ負担が移り、新たな痛みが現れることがあります。
使用開始直後から長時間歩くのではなく、短時間から使用し、痛みの変化を確認します。
骨棘部の保護
関節背側の骨棘が靴へ当たって痛む場合には、シリコンパッドなどを使用して圧迫や摩擦を軽減することがあります。
靴の甲部分を広げる、靴ひもの通し方を変更する、骨棘に当たる部分を柔らかくするなどの調整を行います。
パッドが厚すぎると、靴の中が狭くなり、かえって圧迫が強くなることがあります。
薬物療法
痛みや炎症に対して、消炎鎮痛薬、アセトアミノフェン、外用薬などを使用します。
薬によって痛みを軽減し、歩行や日常生活の負担を減らします。
薬物療法は、すり減った軟骨や骨棘を元の状態へ戻す治療ではありません。
薬によって痛みが軽くなっても、急に歩行量や運動量を増やすと、症状が再び強くなることがあります。
薬の効果や副作用、胃腸・腎臓・心臓の状態、血圧、ほかに服用している薬などを確認しながら処方します。
ステロイド注射
靴、インソール、薬物療法、リハビリテーションなどを行っても関節内の炎症や痛みが強い場合には、母趾MTP関節内へのステロイド注射を検討することがあります。
ステロイド注射は、関節内の炎症を抑え、一時的に痛みを軽減することを目的としています。
必要に応じて超音波で関節、腱、血管、針先の位置を確認しながら行います。
注射によって症状が軽くなる場合がありますが、すり減った軟骨を再生したり、骨棘を小さくしたりする治療ではありません。
変形が進行している場合には、効果が得られにくいことや、効果が短期間にとどまることがあります。
繰り返し頻回に注射することで、関節軟骨や皮膚、皮下組織などへ影響する可能性があります。
症状、変形の程度、持病、これまでの治療経過などを確認し、必要性や回数を慎重に判断します。
体外衝撃波治療
強剛母趾に加えて、足底腱膜炎、腱付着部症、種子骨周囲の慢性的な痛みなどを伴っている場合には、合併している病変に対して治療を検討することがあります。
保険適用外の自費診療となります。
診察や画像検査によって痛みの原因を確認したうえで、適応を判断します。
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PRP療法
PRP療法は、患者さんご自身の血液から血小板を多く含む成分を抽出し、患部へ注入する自費診療です。
強剛母趾に対するPRP療法は、有効な場合があります。
PRP療法によって、進行した関節の変形や大きな骨棘、失われた関節の隙間を元に戻すことはできません。
治療を検討する場合には、変形の程度、活動量、これまでの治療経過、期待できる効果、治療の限界、費用などをご説明したうえで適応を判断します。
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理学療法・リハビリテーション
強剛母趾では、痛みのある母趾だけでなく、足部のアーチ、足首、膝、股関節、歩き方などを含めて評価します。
当院では、理学療法士が症状や生活状況を確認し、一人ひとりの状態に合わせたリハビリテーションを行います。
関節可動域訓練
初期で関節の動きがある程度保たれている場合には、母趾MTP関節が過度に硬くならないよう、痛みのない範囲で動かします。
ただし、骨棘によって骨同士がぶつかっている場合や、関節軟骨のすり減りが進んでいる場合には、無理に母趾を反らすことで痛みや炎症が悪化することがあります。
母趾を強く引っ張ったり、反動をつけて反らしたりすることは避けます。
痛みが関節背側だけにあるのか、関節の奥にもあるのかを確認し、関節の状態に合わせて運動範囲を調整します。
足首・ふくらはぎのストレッチ
ふくらはぎやアキレス腱が硬いと、歩行時にかかとが早く持ち上がり、前足部や母趾へ体重が集中しやすくなります。
ふくらはぎの柔軟性を改善し、歩行時に足首を適切に使える状態を目指します。
ストレッチを行う際に、母趾を床へ強く押しつけたり、母趾を過度に反らしたりすると痛みが強くなることがあります。
足の位置や姿勢を調整し、母趾に強い負担がかからない方法で行います。
足部の筋力トレーニング
足のアーチを支える筋肉を鍛え、歩行時の足部の安定性を高めます。
母趾を強く曲げたり反らしたりする運動ではなく、足趾を自然に伸ばした状態で足裏を支える練習などを行います。
痛みを我慢してタオルを強くたぐり寄せる運動や、母趾だけで床をつかむ運動を繰り返すと、関節へ負担がかかることがあります。
関節の状態や症状に合わせて運動内容を選択します。
足関節周囲の筋力トレーニング
前脛骨筋、後脛骨筋、腓骨筋、ふくらはぎの筋肉などを鍛え、歩行時の足部を安定させます。
足部全体で体重を支えられるようにすることで、母趾MTP関節の一部分へ負担が集中しにくい状態を目指します。
つま先立ちは母趾へ大きな負荷がかかるため、痛みが強い時期には避けます。
座った状態や両脚での軽い運動から開始し、症状を確認しながら段階的に進めます。
膝・股関節・体幹の筋力トレーニング
臀部や大腿部、体幹の筋力が低下していると、歩行時に足部が不安定になり、母趾へ負担が集中することがあります。
下肢全体で身体を支えられるよう、股関節や体幹を含めて筋力を整えます。
スクワットや片脚立ちを行う場合には、母趾を強く反らしたり、母趾だけへ体重を集中させたりしないように姿勢を調整します。
歩行・動作指導
歩行時の足の向き、かかとの接地、足裏への体重移動、蹴り出し方などを確認します。
母趾の痛みを避けるために足の外側へ体重を逃がしている場合には、ほかの足趾や足関節へ負担がかかることがあります。
母趾MTP関節を無理に大きく反らすのではなく、靴底の形や歩幅を調整し、痛みが少ない歩き方を練習します。
ロッカーボトムシューズや硬いインソールを使用している場合には、実際に装着した状態で歩行を確認します。
日常動作の指導
階段、しゃがみ動作、立ち上がり、家事、仕事など、痛みが現れる動作を確認します。
階段では手すりを使用する、深くしゃがまず椅子を使用する、つま先へ体重を集中させないなどの工夫を行います。
長時間立つ仕事では、こまめに休憩を取る、作業姿勢を変える、母趾を強く反らす姿勢を避けることが大切です。
スポーツ復帰支援
ランニングや球技などを行っている方では、踏み込み、蹴り出し、ジャンプ、着地、方向転換などを確認します。
痛みが軽くなっただけで急に元の運動量へ戻すと、再び炎症が強くなることがあります。
自転車、平地での歩行、軽いジョギング、競技練習などへ段階的に進めます。
靴、インソール、競技場所の路面なども確認し、運動後や翌日に症状が強くならない範囲で負荷を増やします。
変形の程度によっては、母趾を強く反らすスポーツを継続することで症状が悪化する可能性があります。
関節の状態と希望する活動を確認し、継続可能な運動方法を相談します。
手術治療・専門医療機関への紹介
多くの場合は保存療法から治療を開始しますが、次のような場合には手術治療を検討することがあります。
・靴やインソールを調整しても痛みが改善しない
・薬物療法や注射治療を行っても症状が続く
・歩ける距離が短くなっている
・母趾の可動域が著しく低下している
・骨棘が靴へ当たり続けている
・歩行や立ち仕事に大きな支障がある
・スポーツへの復帰が困難である
・安静時痛や夜間痛が続いている
・母趾をかばうことでほかの部位にも痛みが出ている
自宅でのセルフケア
強剛母趾では、母趾を繰り返し強く反らす動作を避け、関節への負担を減らすことが重要です。
日常生活では、次の点に注意します。
・痛みを我慢して長時間歩かない
・母趾を強く反らす動作を繰り返さない
・つま先立ちや深いしゃがみ動作を控える
・痛みが強い間はランニングやジャンプを控える
・ハイヒールを長時間使用しない
・母趾の付け根へ当たる靴を避ける
・靴底が柔らかすぎる靴を避ける
・つま先に十分な幅と高さがある靴を選ぶ
・すり減った靴を長期間使用しない
・痛みを我慢して母趾を強くストレッチしない
・自己判断で骨棘を強く押したりもんだりしない
歩行や運動後に腫れや熱感が強い場合には、タオルで包んだ保冷剤などを使用し、母趾の付け根を短時間冷やすと症状が軽くなることがあります。
保冷剤を皮膚へ直接当てたり、長時間冷やし続けたりしないよう注意してください。
骨棘が靴へ当たる場合には、靴の甲部分を緩める、靴ひもの通し方を変更する、保護パッドを使用するなどの方法があります。
ただし、厚いパッドを入れることで靴が狭くなり、圧迫が強くなる場合があります。
母趾を全く動かさない必要はありませんが、関節の奥に鋭い痛みが出る範囲まで強く動かすことは避けましょう。
運動後や翌日まで痛み・腫れが強く残る場合には、運動量や内容が現在の関節の状態に合っていない可能性があります。
医師や理学療法士の指導のもとで、足の状態に合った靴、インソール、運動方法を選ぶことをおすすめします。
強剛母趾でお悩みの方へ
母趾の付け根の痛みは、強剛母趾だけでなく、外反母趾、痛風、ターフトゥ、種子骨障害、疲労骨折、関節リウマチ、感染性関節炎などによっても起こります。
次のような症状がある場合は、早めにご相談ください。
・母趾の付け根が歩くと痛む
・母趾を上へ反らすと痛む
・母趾の動きが悪くなっている
・歩行時に母趾で蹴り出しにくい
・階段、坂道、つま先立ちで痛む
・母趾の付け根が腫れている
・足の甲側に硬い隆起がある
・骨の出っ張りが靴へ当たって痛む
・靴を履ける時間が短くなっている
・足の外側へ体重をかけて歩いている
・ほかの足趾や足の外側にも痛みが出ている
・安静時や夜間にも痛みがある
・仕事、家事、スポーツに支障が出ている
・靴やインソールを変更しても改善しない
・薬やリハビリテーションを続けても症状が改善しない
また、次のような症状がある場合には、骨折、感染性関節炎、痛風発作、血流障害などの可能性があります。
・外傷後から母趾を動かせない
・体重をかけて歩くことができない
・母趾が明らかに変形している
・関節が急に赤く腫れ、強い熱を持っている
・触れることも難しいほど急激に痛くなった
・発熱や悪寒を伴っている
・傷口や膿がある
・母趾が白い、紫色になる
・母趾が冷たい
・母趾の感覚が急に低下した
・安静時や夜間の強い痛みが続いている
・しこりが急速に大きくなっている
このような場合には、速やかに医療機関を受診してください。
強剛母趾は、早期であれば、靴やインソールによって母趾の動きを調整することで症状を管理できる場合があります。
痛みをかばった歩き方を長期間続けると、足の外側、第2趾・第3趾の付け根、足首、膝、股関節などへ負担がかかることがあります。
「年齢のせい」「靴が合わないだけ」と考えて痛みを我慢せず、症状が軽い段階から関節の状態や歩き方を確認することが大切です。
当院では、問診、身体検査、X線検査、超音波検査などによって、母趾MTP関節だけでなく、種子骨、足部のアーチ、靴、歩き方などを含めて評価します。
CT検査、MRI検査、手術を含めた専門的な治療が必要な場合には、提携医療機関や足の外科を専門とする医療機関と連携して対応します。
薬物療法、注射治療、靴やインソールの調整、リハビリテーション、セルフケア指導まで含め、関節の状態や生活状況に合わせた治療をご提案します。
監修:高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニック 院長 松﨑 時夫