扁平足

扁平足

扁平足について

扁平足は、足の内側にある「土踏まず」が低くなり、立ったときに足裏の広い範囲が地面へ接する状態です。
土踏まずは、医学的には足の「内側縦アーチ」と呼ばれます。足部には内側縦アーチのほか、外側縦アーチと前足部の横アーチがあり、複数の骨、関節、靱帯、腱、筋肉によって支えられています。
扁平足には、立ったときだけ土踏まずが低くなり、座った状態やつま先立ちではアーチが現れる「柔軟性扁平足」と、体重をかけていない状態でも土踏まずが形成されず、足部の動きが硬くなっている「硬直性扁平足」があります。
子どもの柔軟性扁平足は比較的よくみられ、多くの場合は成長とともに足のアーチが発達します。痛みや歩行障害がなく、足部に柔軟性が保たれている場合には、必ずしも治療が必要になるわけではありません。
一方、成人になってから土踏まずが低下し、足の内側の痛み、かかとの外反、歩行障害などが進行する状態は、これまで「成人期扁平足」や「後脛骨筋腱機能不全」と呼ばれてきました。
近年では、後脛骨筋腱だけでなく、ばね靱帯など複数の支持組織の障害によって足部全体の変形が進むことから、「進行性扁平足」または「Progressive Collapsing Foot Deformity(PCFD)」という名称が用いられるようになっています。
成人の進行性扁平足では、初期には内くるぶしの下の痛みや腫れが中心ですが、進行すると土踏まずが低下し、かかとが外側へ傾き、前足部が外側へ向くようになります。
さらに変形が進むと、足部の関節が硬くなり、足首の外側の痛みや、変形性足関節症を伴うことがあります。
扁平足そのものがあっても、すべての方に痛みが生じるわけではありません。治療が必要かどうかは、土踏まずの高さだけでなく、痛み、足の柔軟性、変形の進行、歩行への影響などを確認して判断します。

足のアーチの構造と役割

足は、片側だけで26個の骨と、多数の関節、靱帯、腱、筋肉によって構成されています。
足部のアーチは、主に次の3つに分けられます。
・母趾側にある内側縦アーチ
・小趾側にある外側縦アーチ
・前足部を横方向に支える横アーチ
一般的に「土踏まず」と呼ばれている部分は、内側縦アーチです。
内側縦アーチは、踵骨、距骨、舟状骨、楔状骨、第1〜第3中足骨などによって構成されています。
これらの骨を、ばね靱帯、足底腱膜、三角靱帯などの組織が支えています。また、後脛骨筋、前脛骨筋、長母趾屈筋、足部の細かな筋肉なども、動作中にアーチを保つ働きを担っています。
内側縦アーチの頂点付近にある距骨頭は、足部の骨格を支える重要な部分です。
ばね靱帯は、踵骨と舟状骨をつなぎ、距骨頭を下から支えています。ばね靱帯が伸びたり損傷したりすると、距骨頭が内側・下方へ移動し、土踏まずが低下します。
後脛骨筋腱は、内くるぶしの後方を通り、主に舟状骨などへ付着します。
後脛骨筋には、足を内側へ向ける、かかとを安定させる、歩行時に足のアーチを支えるといった役割があります。
歩行時には、かかとが地面についた後、足部が少し内側へ倒れ込み、地面からの衝撃を吸収します。その後、かかとが持ち上がる際には、足部が安定した構造へ変化し、地面を蹴り出します。
扁平足によって足が過度に内側へ倒れ込むと、後脛骨筋腱や靱帯へ負担がかかります。また、足部が十分に硬い構造へ変化できず、歩行時の蹴り出しが弱くなることがあります。
足のアーチには、歩行や着地の衝撃を吸収するだけでなく、足裏へかかる力を分散し、身体を前へ運ぶ役割があります。
アーチが低下しているからといって、必ず機能が悪いとは限りません。柔軟性があり、筋力が保たれ、痛みなく歩けている場合には、扁平な形であっても問題なく生活できることがあります。

子どもの柔軟性扁平足について

子どもの足は、骨や関節が柔らかく、足裏の脂肪組織も厚いため、幼児期には土踏まずが目立たないことが一般的です。
成長とともに骨格、靱帯、筋肉が発達し、徐々に足のアーチが形成されます。
柔軟性扁平足では、立って体重をかけると土踏まずが低くなりますが、座って足を浮かせた状態や、つま先立ちをした状態ではアーチが現れます。
多くの場合、左右両側にみられます。
痛みがなく、日常生活や運動に支障がなく、足の柔軟性が保たれている場合には、通常は特別な治療を必要としません。
足の形だけを理由に、必ずしもインソールや矯正靴を使用する必要はありません。
一方、次のような症状がある場合には、詳しい評価が必要です。
・歩くと足や足首が痛む
・運動後に足が強く疲れる
・ほかの子どもと比べて歩きたがらない
・長い距離を歩けない
・片側だけ扁平足が目立つ
・足の動きが硬い
・つま先立ちをしても土踏まずが現れない
・かかとの外反が強い
・足首を繰り返し捻る
・転びやすい
・左右の脚の長さに差がある
・神経や筋肉の病気が疑われる
痛みを伴う扁平足や硬直性扁平足では、足根骨癒合症、垂直距骨、外傷後変形、炎症性疾患、神経・筋疾患などが隠れていることがあります。

子どもの硬直性扁平足について

硬直性扁平足では、立っているときだけでなく、座った状態やつま先立ちでも土踏まずが形成されません。
足部の内外への動きが制限され、足が硬く感じられます。
柔軟性扁平足と異なり、痛み、歩行障害、捻挫の繰り返しなどを伴うことがあります。
子どもや若年者の硬直性扁平足の原因として、足根骨癒合症があります。
足根骨癒合症は、本来は別々になっている足部の骨同士が、骨、軟骨、線維性組織などでつながっている状態です。
幼少期には症状がなくても、成長とともに癒合部が硬くなり、思春期頃から足の痛みや動きの制限が現れることがあります。
足関節捻挫を繰り返す、運動後に足の奥が痛む、足部の内外への動きが硬いといった症状がみられます。
先天性垂直距骨など、生まれつきの骨の配列異常によって、硬い扁平足が生じることもあります。
硬直性扁平足が疑われる場合には、X線検査だけでなく、CT検査やMRI検査が必要になることがあります。

成人期扁平足・進行性扁平足について

成人期扁平足は、成人になってから足のアーチが低下し、足部の変形や痛みが進行する病気です。
以前は、足のアーチを支える後脛骨筋腱の変性や断裂が主な原因と考えられ、「後脛骨筋腱機能不全」と呼ばれていました。
しかし、実際には後脛骨筋腱だけでなく、ばね靱帯、三角靱帯、足底の靱帯、足部の関節など、複数の組織が関係しています。
そのため、現在では進行性扁平足という考え方が用いられています。
初期には、後脛骨筋腱が通る内くるぶしの後方から足の内側に痛みや腫れが現れます。
後脛骨筋腱の機能が低下すると、歩行時にかかとを内側へ戻す力が弱くなり、かかとが外側へ傾くようになります。
さらに、ばね靱帯などが伸びると、距骨頭が内側・下方へ移動し、土踏まずが低下します。
前足部は後足部に対して外側へ向き、後ろから足を見たときに、通常より多くの足趾が外側に見えるようになります。
変形が柔らかい段階では、手で足の位置を戻すことができます。
進行すると関節が硬くなり、手で矯正できない固定性の変形となります。
さらに足首を支える三角靱帯まで傷むと、距骨が足関節内で外側へ傾き、足関節にも変形が広がることがあります。

扁平足の主な原因

成長過程にある足の柔軟性

幼児期には、関節や靱帯が柔らかく、足裏の脂肪組織が厚いため、土踏まずが低く見えます。
多くの場合は成長とともにアーチが形成され、病的な状態ではありません。
家族にも柔軟性扁平足がある場合など、体質的に成人後も土踏まずが低い状態が残ることがあります。
痛みや機能障害がなければ、必ずしも治療対象にはなりません。

後脛骨筋腱の変性・損傷

成人期扁平足の重要な原因の一つが、後脛骨筋腱の変性や損傷です。
後脛骨筋腱は、歩行時に足のアーチを支え、かかとの位置を安定させます。
加齢や繰り返す負担によって腱が変性すると、腱が伸びたり、部分的に断裂したりすることがあります。
後脛骨筋腱の機能が低下すると、かかとが外側へ傾き、足のアーチが低下します。
次のような要因が、後脛骨筋腱への負担に関係することがあります。
・長時間の立ち仕事
・長距離の歩行
・ランニング
・体重増加
・足部の柔軟性が高い
・以前から扁平足がある
・急激な運動量の増加
・足に合わない靴
・足関節周囲の外傷

ばね靱帯などの支持組織の損傷

ばね靱帯は、距骨頭を下から支え、内側縦アーチを保つ重要な靱帯です。
後脛骨筋腱が正常であっても、ばね靱帯が伸びたり断裂したりすると、足のアーチが低下することがあります。
進行性扁平足では、後脛骨筋腱とばね靱帯の両方に異常がみられることも少なくありません。
足底の靱帯や足底腱膜など、ほかの支持組織の緩みも変形に関係します。

加齢

年齢とともに、腱や靱帯の弾力性、筋力、組織の修復力は低下します。
長年の歩行や立ち仕事による負担が蓄積し、後脛骨筋腱や靱帯が徐々に傷むことで、成人期扁平足を発症することがあります。
ただし、成人期扁平足は高齢者だけの病気ではありません。
足部の形、外傷、肥満、スポーツなどによって、中年以前に発症することもあります。

体重増加・肥満

体重が増えると、立位や歩行時に足のアーチを支える腱や靱帯へ大きな負担がかかります。
急激な体重増加をきっかけに、内くるぶし周囲の痛みや足部変形が現れる場合があります。
体重だけが扁平足の原因ではありませんが、症状の悪化や変形の進行に関係することがあります。

関節の柔らかさ・靱帯の緩み

全身の関節が柔らかい方では、足部の靱帯も伸びやすく、立った際にアーチが低下することがあります。
体質的な柔軟性扁平足は、痛みがなければ問題にならないことも多くあります。
一方、長期間の負担によって後脛骨筋腱や靱帯に痛みが現れた場合には、治療が必要になることがあります。

アキレス腱・ふくらはぎの硬さ

ふくらはぎの筋肉やアキレス腱が硬いと、足首を上へ十分に曲げられなくなります。
歩行時に足首の動きが不足すると、かかとが早く浮いたり、足が内側へ倒れ込んだりして、足部のアーチへ負担がかかります。
扁平足の治療では、足の形だけでなく、足首の柔軟性を確認することが重要です。

外傷

足関節捻挫、足部の骨折、リスフラン関節損傷、後脛骨筋腱損傷などをきっかけに、足のアーチが低下することがあります。
外傷によって足部の靱帯が損傷すると、骨同士の配列が変化し、外傷後扁平足となる場合があります。
けがの直後には変形が目立たなくても、時間が経過してから土踏まずの低下や痛みが現れることがあります。

関節リウマチなどの炎症性疾患

関節リウマチなどによって、足部の関節や腱鞘に慢性的な炎症が続くと、靱帯や腱が傷み、足のアーチが低下することがあります。
関節リウマチでは、扁平足だけでなく、外反母趾、足趾変形、前足部痛などを伴うことがあります。
朝のこわばり、複数の関節の腫れ、左右両側の症状などがある場合には、血液検査を行います。

糖尿病・神経障害

糖尿病性神経障害などによって足部の感覚が低下すると、関節や靱帯に強い負担がかかっていても、痛みに気づきにくくなることがあります。
重度の神経障害では、足部の骨や関節が破壊されるシャルコー足を生じ、急速に扁平変形が進む場合があります。
足が赤く腫れて熱を持っているにもかかわらず、痛みが比較的軽い場合には、シャルコー足の可能性を考える必要があります。

足根骨癒合症

足根骨癒合症では、足部の骨同士がつながっているため、足部の動きが制限されます。
周囲の関節へ負担がかかることで、痛みを伴う硬直性扁平足となる場合があります。
子どもや若年者で、足の動きが硬い、捻挫を繰り返す、片側の扁平足が強い場合には注意が必要です。

神経・筋疾患

脳性麻痺、筋ジストロフィー、末梢神経障害などによって、足部を支える筋肉のバランスが崩れ、扁平足を生じることがあります。
筋力、腱反射、感覚、歩き方などを確認し、必要に応じて神経学的な検査を行います。

扁平足の主な症状

土踏まずの低下

立ったときに足の内側のアーチが低くなり、足裏が広く地面へ接します。
左右両側にみられることもあれば、片側だけ変形が強い場合もあります。
子どもの柔軟性扁平足では、座った状態やつま先立ちで土踏まずが現れます。
成人期の進行性扁平足では、初期にはつま先立ちでアーチがある程度戻りますが、進行すると戻りにくくなります。

内くるぶしの後方・下方の痛み

成人期扁平足の初期には、後脛骨筋腱が通る内くるぶしの後ろから足の内側にかけて痛みが現れます。
長時間の歩行や立ち仕事、階段、つま先立ちなどで痛みが強くなります。
後脛骨筋腱に炎症や変性がある場合には、腱の走行に沿って圧痛や腫れがみられます。
症状が進むと、痛みが内くるぶしから舟状骨周辺まで広がることがあります。

内くるぶし周囲の腫れ

後脛骨筋腱や腱鞘に炎症が起こると、内くるぶしの後方から下方が腫れることがあります。
左右を比べると、痛い側だけ腱の周囲が太く見える場合があります。
靴やサポーターが腫れた部分へ当たり、痛みが強くなることもあります。

かかとの外反

立ったときに、かかとの骨が外側へ傾きます。
後ろから見ると、アキレス腱がまっすぐではなく、外側へ弓状に曲がって見えることがあります。
かかとが外側へ傾くことで足が内側へ倒れ込み、内側縦アーチが低下します。

前足部の外転

変形が進むと、前足部が後足部に対して外側へ向きます。
後ろから足を見たときに、小趾側の足趾が通常より多く見えるようになります。
これを「too many toes sign」と呼ぶことがあります。
前足部の外転が強くなると、靴の中で足が収まりにくい、足幅が広くなったように感じるといった変化が現れます。

足の外側の痛み

進行性扁平足では、初期には足の内側が痛みますが、変形が進むと外くるぶし周囲や足の外側に痛みが現れることがあります。
かかとが外側へ傾くことで、踵骨が腓骨や距骨周囲へ接触し、外側インピンジメントを起こすことがあります。
「以前は内側が痛かったが、最近は外側が痛い」という場合には、変形が進行している可能性があります。

足裏の疲れ・だるさ

足のアーチが低下すると、足裏の筋肉や靱帯へ負担がかかり、長時間歩いた後に疲れやだるさを感じることがあります。
土踏まず、前足部、かかとなどに広い範囲の痛みが現れる場合もあります。
足底腱膜炎や中足骨頭痛を同時に発症していることがあります。

長時間歩けない

歩行時に足部が十分に安定せず、地面を効率よく蹴り出せなくなるため、疲れやすくなることがあります。
初期には長時間歩いた後だけ症状が現れますが、進行すると短い距離でも痛みや疲労を感じるようになります。
買い物、通勤、旅行、立ち仕事などに支障が出る場合があります。

片脚でのつま先立ちが難しい

後脛骨筋腱の機能を確認するため、片脚でつま先立ちを行います。
正常では、かかとが持ち上がると同時に、外側へ傾いていたかかとが内側へ戻ります。
後脛骨筋腱の機能が低下している場合には、片脚でかかとを上げられない、上げても低い、かかとが内側へ戻らないといった所見がみられます。
痛みによってできない場合もあるため、ほかの検査と合わせて判断します。

靴の変形・片減り

扁平足では、靴の内側がつぶれる、かかとの内側が強くすり減るといった変化がみられることがあります。
ただし、靴底の減り方だけで扁平足や歩き方の異常を診断することはできません。
靴の形、使用期間、歩行習慣なども含めて確認します。

足幅の増加・靴が合わなくなる

アーチが低下し、前足部が外側へ広がると、以前使用していた靴がきつく感じることがあります。
外反母趾や足趾変形を伴うと、さらに足幅が広くなることがあります。
靴が狭い状態で使用を続けると、胼胝、モートン病、足趾の痛みなどを生じる場合があります。

膝・股関節・腰の負担

扁平足によって歩き方が変化すると、膝、股関節、腰などに負担がかかることがあります。
ただし、膝痛や腰痛がすべて扁平足によって起こるわけではありません。
足部の状態だけでなく、下肢全体の配列、筋力、関節の動きなどを評価します。

成人期扁平足・進行性扁平足の経過

成人期の進行性扁平足は、後脛骨筋腱や靱帯の状態、足の柔軟性、足関節への影響などに応じて、段階的に進行します。

初期

初期には、足のアーチの形が大きく崩れていなくても、後脛骨筋腱に炎症や変性が起こります。
内くるぶしの後方から舟状骨付近にかけて、痛みや腫れが現れます。
歩行、階段、つま先立ちなどで症状が強くなります。
片脚でのつま先立ちは可能でも、痛みや疲れを感じる場合があります。
この段階では、活動量の調整、装具、インソール、短期間の固定、リハビリテーションなどによって改善を目指します。

柔軟性のある変形期

後脛骨筋腱や靱帯の機能が低下すると、土踏まずが低下し、かかとが外側へ傾き、前足部が外側へ向きます。
ただし、足部の関節には柔軟性が残っており、手で変形を戻すことができます。
片脚でのつま先立ちは困難となり、歩行時の痛みや疲労が強くなります。
この段階では、足部の位置を矯正する装具や、複数の組織を修復・再建する手術が検討されることがあります。

固定性の変形期

変形が進行すると、足部の関節に変形性関節症が生じ、足が硬くなります。
手でかかとや前足部の位置を戻すことが難しくなり、固定性の扁平足となります。
足の内側だけでなく、外くるぶし周囲や足の外側にも痛みが現れます。
関節が硬くなった段階では、インソールで変形を完全に矯正することは難しくなります。
症状が強い場合には、関節固定術などが検討されます。

足関節へ変形が広がった段階

進行性扁平足によって足首の内側を支える三角靱帯が傷むと、距骨が足関節内で外側へ傾くことがあります。
足関節の外反変形や変形性足関節症を伴い、足首の痛みや不安定感が現れます。
この段階では、足部だけでなく、足関節を含めた手術が必要になることがあります。
すべての扁平足が同じように進行するわけではありません。
症状が長期間変化しない方もいますが、変形が目立つようになった、痛みの場所が内側から外側へ変化した、歩行能力が低下した場合には、再評価が必要です。

ほかの足部疾患との違い

足底腱膜炎との違い

足底腱膜炎では、かかとの足裏側、とくにやや内側に痛みが現れます。
朝起きたときの最初の一歩や、長く座った後の歩き始めに痛みが強くなることが特徴です。
扁平足でも足裏に痛みが出ることがありますが、成人期扁平足では、内くるぶしの後方に後脛骨筋腱の痛みや腫れがみられることがあります。
扁平足による負担から、足底腱膜炎を併発する場合もあります。

後脛骨筋腱炎との違い

後脛骨筋腱炎では、内くるぶしの後方から足の内側に痛みや腫れが現れます。
変形がまだみられない初期には、後脛骨筋腱炎と成人期扁平足を明確に分けにくいことがあります。
後脛骨筋腱の機能低下や、ばね靱帯などの支持組織の障害によって足部変形が進行した状態を、進行性扁平足として評価します。

足根管症候群との違い

足根管症候群では、内くるぶしの後方を通る脛骨神経が圧迫され、足裏や足趾に痛み、しびれ、灼熱感などが現れます。
成人期扁平足では内くるぶし周囲に痛みが出ますが、通常は足裏へ電気が走るようなしびれは中心ではありません。
扁平足によって脛骨神経が引き伸ばされ、足根管症候群を併発することがあります。

足根骨癒合症との違い

足根骨癒合症では、足部の骨同士がつながり、足の動きが硬くなります。
子どもや若年者に痛みを伴う硬直性扁平足がある場合には、足根骨癒合症を疑います。
足部を内側・外側へ動かしにくい、捻挫を繰り返す、つま先立ちでもアーチが戻らないといった特徴があります。

外反母趾との違い

外反母趾では、母趾が第2趾側へ曲がり、母趾の付け根の内側が突出します。
扁平足では、足のアーチが低下し、かかとや前足部の配列が変化します。
扁平足と外反母趾は別の病気ですが、前足部が広がることで外反母趾を併発する場合があります。

足関節捻挫との違い

足関節捻挫では、足首をひねった直後から、外くるぶしまたは内くるぶし周辺に痛みや腫れが現れます。
扁平足では、明らかな外傷がなく、長時間の歩行や立ち仕事によって徐々に症状が強くなることがあります。
扁平足によって足部が不安定になると、捻挫を繰り返しやすくなる場合があります。

変形性足関節症との違い

変形性足関節症では、足首の関節軟骨がすり減り、歩行時痛、腫れ、可動域制限などが現れます。
進行性扁平足が高度になると、足関節にも外反変形が生じ、変形性足関節症を伴うことがあります。
痛みが足部だけでなく足首にもある場合には、立った状態でのX線検査によって足関節の傾きを確認します。

シャルコー足との違い

シャルコー足は、糖尿病性神経障害などによって足部の骨や関節が破壊される病気です。
足が赤く腫れ、熱を持ち、急速に変形が進むことがあります。
神経障害によって感覚が低下しているため、変形や骨折があるにもかかわらず、痛みが軽い場合があります。
通常の扁平足と思って歩き続けると変形が急速に進行する可能性があるため、早急な固定と治療が必要です。

関節リウマチとの違い

関節リウマチでは、足部の複数の関節や腱鞘に炎症が起こり、扁平足や足趾変形を生じることがあります。
足だけでなく、手指や手首などにも腫れや痛みがあり、朝のこわばりが長く続く場合には、血液検査を行います。

高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニックで行う検査

問診・触診

土踏まずの低下に気づいた時期、痛みの場所、症状が強くなる動作などを確認します。
また、次のような点について詳しくお伺いします。
・子どもの頃から扁平足だったか
・成人後に土踏まずが低くなったか
・片側と両側のどちらに症状があるか
・内くるぶしの後方に痛みや腫れがあるか
・足の外側にも痛みがあるか
・長時間の歩行や立ち仕事で痛むか
・片脚でつま先立ちができるか
・以前より靴が合わなくなっていないか
・足幅が広がったように感じるか
・足裏のしびれがあるか
・足首の捻挫や足部の外傷歴があるか
・体重や運動量が変化していないか
・関節リウマチや糖尿病などの病気があるか
・子どもの場合、歩行や運動に支障があるか
・これまでに使用した靴、インソール、装具
・これまでに受けた薬物療法やリハビリテーション
内くるぶしの後方を通る後脛骨筋腱、舟状骨周囲、ばね靱帯付近、足の外側などを触診します。
圧痛、腫れ、熱感、腱の太さ、骨の突出などを確認します。
足裏の胼胝、皮膚の傷、感覚低下なども確認します。

立位での足部評価

座った状態と立った状態の両方で、土踏まずの高さや足部の配列を確認します。
立った状態では、次のような点を評価します。
・内側縦アーチの高さ
・かかとの外反
・前足部の外転
・足幅の左右差
・アキレス腱の傾き
・足趾の変形
・外反母趾の有無
・左右の脚の長さ
・膝や下腿の配列
後ろから見て外側の足趾が通常より多く見えるかどうかも確認します。

つま先立ちテスト

両脚または片脚でつま先立ちを行い、かかとを持ち上げられるかを確認します。
片脚でのつま先立ちでは、後脛骨筋腱の機能、足部の筋力、痛みなどを評価します。
正常では、かかとを上げると外反していたかかとが内側へ戻り、足のアーチが高くなります。
かかとを上げられない、痛みが強い、かかとが内側へ戻らない場合には、後脛骨筋腱や足部の支持機構の障害が疑われます。
子どもの柔軟性扁平足では、つま先立ちをすると土踏まずが現れます。

足部の柔軟性の評価

かかとや前足部を手で動かし、変形を元の位置へ戻せるかを確認します。
手で矯正できる場合には柔軟性のある変形、戻せない場合には固定性の変形と判断します。
足部を内側・外側へ動かせる範囲も確認します。
硬直性扁平足では、足根骨癒合症や進行した関節症などが疑われます。

足首の可動域検査

膝を伸ばした状態と曲げた状態で、足首を上へ曲げられる範囲を確認します。
膝を伸ばしたときだけ足首の背屈が制限される場合には、腓腹筋の硬さが関係している可能性があります。
膝を曲げても背屈が制限される場合には、ヒラメ筋やアキレス腱、足関節そのものの硬さを確認します。

歩行・動作検査

歩行時のかかとの接地、足の内側への倒れ込み、足裏への体重移動、地面の蹴り方などを評価します。
必要に応じて、次のような動作も確認します。
・片脚立ち
・つま先立ち
・しゃがみ動作
・階段動作
・ランニング
・ジャンプ、着地
・方向転換
足部だけでなく、膝、股関節、骨盤、体幹の動きも確認します。

X線検査

X線検査では、足部の骨の配列、関節の状態、変形の程度などを確認します。
必要に応じて、立った状態で体重をかけて撮影します。
扁平足は荷重によって変形が強く現れるため、体重をかけていない状態の撮影だけでは、変形の程度を十分に評価できないことがあります。
次のような状態を確認します。
・内側縦アーチの低下
・距骨と第1中足骨の配列
・距骨頭の被覆
・前足部の外転
・かかとの外反
・足部関節の変形性関節症
・足関節の傾き
・足根骨癒合症
・過去の骨折や外傷後変形
・外反母趾などの合併変形
正面、側面、斜位、かかとの配列を確認する撮影などを組み合わせます。

超音波検査

超音波検査では、後脛骨筋腱、ばね靱帯、腱鞘、周囲の組織などを確認します。
次のような状態を評価できます。
・後脛骨筋腱の腫れ
・腱鞘炎
・腱の変性
・部分断裂、完全断裂
・ばね靱帯の損傷
・足関節周囲の滑膜炎
・ガングリオンなどの腫瘤
足首や足部を動かしながら、腱の動きや連続性をリアルタイムに確認できる点が特徴です。
注射を行う際にも、必要に応じて超音波で腱、神経、血管、針先の位置を確認します。

CT検査

CT検査では、足部の骨や関節の状態を、X線よりも詳しく確認できます。
次のような場合にCT検査を検討します。
・足根骨癒合症が疑われる
・固定性の変形がある
・足部の関節症を詳しく確認したい
・外傷後の骨変形がある
・骨棘や骨の突出を確認したい
・手術方法を検討している
体重をかけた状態で撮影できる荷重CTが使用されることもあります。
荷重CTでは、立った状態での骨の配列を立体的に評価できます。
CT検査が必要と判断した場合には、提携医療機関をご案内します。

MRI検査

MRI検査では、後脛骨筋腱、ばね靱帯、関節軟骨、骨の内部などを詳しく評価できます。
次のような状態を確認します。
・後脛骨筋腱の変性、部分断裂、完全断裂
・ばね靱帯などの靱帯損傷
・腱鞘炎
・足部関節の炎症
・関節軟骨の損傷
・骨髄浮腫
・疲労骨折
・足根骨癒合症
・腫瘍性病変
・感染症
次のような場合には、MRI検査を検討します。
・後脛骨筋腱の損傷が疑われる
・超音波検査で詳しい評価が難しい
・痛みの原因がはっきりしない
・保存療法を行っても改善しない
・足根骨癒合症が疑われる
・安静時痛や夜間痛がある
・手術治療を検討している
当院にはMRI装置は設置しておりません。MRI検査が必要と判断した場合には、提携医療機関をご案内し、そちらで撮影を受けていただきます。

扁平足に対する治療

扁平足の治療は、年齢、原因、痛みの有無、足部の柔軟性、変形の程度によって異なります。
痛みのない子どもの柔軟性扁平足は、多くの場合、治療を必要としません。
成人の進行性扁平足では、初期から足部への負担を調整し、後脛骨筋腱や靱帯を保護することが重要です。
治療の目的は、見た目だけを変えることではなく、痛みを軽減し、歩行機能を維持し、変形の進行をできるだけ抑えることです。

高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニックにおいては下記の治療を提案しています。

子どもの柔軟性扁平足に対する対応

痛みがなく、運動や日常生活に支障がない場合には、定期的に経過を確認します。
裸足での遊びや、年齢に合った通常の運動を制限する必要はありません。
足の形だけを理由に、運動を禁止したり、長期間強い矯正を行ったりする必要はありません。
インソールや矯正靴によって、成長後のアーチの形が必ず変わるわけではありません。
ただし、足の疲れや痛みがある場合には、クッション性のある靴やインソールによって症状を軽減できることがあります。
アキレス腱やふくらはぎが硬い場合には、ストレッチを行います。

活動量・動作の調整

成人期扁平足で痛みや腫れが強い時期には、後脛骨筋腱へ負担がかかる活動を一時的に減らします。
特に、次のような動作で症状が悪化する場合には調整が必要です。
・長時間の歩行
・長時間の立ち仕事
・ランニング
・坂道や階段
・片脚でのつま先立ち
・ジャンプ、着地
・足場の悪い場所での作業
・重い荷物を持って歩く
完全な安静を長期間続けると、筋力や関節の動きが低下することがあります。
痛みの程度に応じて、自転車、水泳など、足部への負担が比較的少ない運動へ変更します。

一時的な固定

後脛骨筋腱の痛みや腫れが強い場合には、歩行用ブーツや装具を使用し、一定期間足部を保護することがあります。
腱への負担を減らすことで、炎症の軽減を目指します。
固定期間が長すぎると、足首や足部の筋力が低下することがあります。
症状が落ち着いた後は、インソールや装具へ移行し、リハビリテーションを開始します。

靴の変更・調整

かかとが安定し、足のアーチを支えやすい靴を選びます。
靴を選ぶ際には、次の点を確認します。
・かかと部分が硬く安定している
・足の長さと幅が合っている
・足趾を動かせる幅がある
・靴ひもやベルトで甲を固定できる
・靴底に適度な硬さがある
・靴底が内側へ大きくつぶれていない
・インソールを入れる余裕がある
柔らかすぎて足部を支えられない靴や、かかとが固定されないサンダルでは、歩行時に足が大きく内側へ倒れ込む場合があります。
一方、硬すぎる靴や足に合わない靴では、別の場所に圧迫痛が生じることがあります。

足底挿板・インソール

足底挿板やインソールを使用し、足のアーチとかかとの位置を支えます。
柔軟性のある扁平足では、かかとの外反や足部の過度な倒れ込みを抑え、後脛骨筋腱や靱帯への負担を軽減します。
インソールには、市販品と、足の形に合わせて作製する装具があります。
変形の程度、柔軟性、痛みの場所、使用する靴などに応じて選択します。
インソールによって、成人の骨や関節の変形が完全に元の形へ戻るわけではありません。
主な目的は、痛みを軽減し、歩行時の負担を調整することです。
アーチ部分が高すぎたり、硬すぎたりすると、内側の痛みや足裏の圧迫が強くなることがあります。
使用開始時は短時間から装着し、皮膚の赤み、痛み、しびれなどが出ないかを確認します。

足関節装具

変形や不安定性が強い場合には、足首まで支える装具を使用します。
足部とかかとの位置を安定させ、後脛骨筋腱や靱帯への負担を軽減します。
足部に柔軟性が残っている場合には、変形をできる範囲で矯正する装具を使用します。
固定性の変形では、無理に足を矯正するのではなく、現在の形に合わせて足を支え、痛みを減らす装具を選択します。
装具が内くるぶし、外くるぶし、骨の突出部などへ当たっていないかを確認します。

薬物療法

痛みや炎症に対して、消炎鎮痛薬、アセトアミノフェン、外用薬などを使用します。
薬によって痛みを軽減し、歩行やリハビリテーションを行いやすくします。
薬物療法によって、伸びた靱帯や変形した骨の配列が元へ戻るわけではありません。
薬の効果や副作用、胃腸・腎臓・心臓の状態、血圧、ほかに服用している薬などを確認しながら処方します。

体外衝撃波治療

体外衝撃波治療は、扁平足の骨格変形そのものに対する標準的な治療ではありません。
体外衝撃波によって、低下したアーチや傾いたかかとを元の位置へ戻すことはできません。
扁平足に伴って、足底腱膜炎、アキレス腱付着部症、腱付着部の慢性的な痛みなどを発症している場合には、合併病変に対して検討することがあります。
保険適用外の自費診療となります。
痛みの原因を診察や画像検査で確認したうえで、適応を判断します。

体外衝撃波治療について詳しくはコチラ

PRP療法

PRP療法は、患者さんご自身の血液から血小板を多く含む成分を抽出し、患部へ注入する自費診療です。
後脛骨筋腱などの腱障害に対して検討されることがありますが、進行性扁平足に対する標準的な治療として、有効性が十分に確立されているわけではありません。
PRP療法によって、伸びた靱帯や進行した骨格変形を元へ戻すことはできません。
治療を検討する場合には、腱の状態、変形の程度、これまでの治療経過、期待できる効果、治療の限界、費用などをご説明したうえで判断します。

PRP療法について詳しくはコチラ

理学療法・リハビリテーション

扁平足では、足のアーチだけでなく、後脛骨筋腱、ふくらはぎ、足首、膝、股関節、体幹、歩き方などを含めて評価します。
当院では、理学療法士が症状や生活状況を確認し、一人ひとりの状態に合わせたリハビリテーションを行います。

足首・ふくらはぎのストレッチ

ふくらはぎやアキレス腱が硬い場合には、足首を上へ曲げる動きが不足します。
歩行時に足首の動きが不足すると、かかとが早く持ち上がったり、足が過度に内側へ倒れ込んだりすることがあります。
腓腹筋やヒラメ筋を無理のない範囲で伸ばし、足首の動きを改善します。
ストレッチ中に内くるぶしの痛みや足裏のしびれが強くなる場合には、方法を調整します。

後脛骨筋の筋力トレーニング

後脛骨筋を適切に働かせ、歩行時の足部の安定性を高めます。
初期には、座った状態で足をゆっくり内側へ動かす運動や、ゴムバンドを使用した軽い運動から開始します。
症状が落ち着いたら、両脚でのつま先立ち、片脚でのつま先立ちなどへ段階的に進めます。
つま先立ちを行う際には、かかとが外側へ流れず、適切に内側へ戻るかを確認します。
痛みや腫れが強い状態で負荷をかけると、後脛骨筋腱の症状が悪化することがあります。
運動後や翌日の症状を確認しながら負荷を調整します。

足部の筋力トレーニング

足のアーチを支える細かな筋肉を鍛えます。
足趾を強く握り込むのではなく、足趾を自然に伸ばした状態で、かかと、母趾の付け根、小趾の付け根の3点で床を支える練習などを行います。
足趾で床を強くつかむ運動を繰り返すと、足趾の付け根や腱へ負担がかかることがあります。
足の形や痛みの場所に合わせて運動内容を選択します。

かかとの位置を整える運動

立位やつま先立ちで、かかとが過度に外側へ傾かないように練習します。
足のアーチだけを無理に持ち上げるのではなく、足裏全体へ均等に体重をかけ、かかとと下腿の位置を整えます。
固定性の変形では、運動によって骨格の位置を完全に戻すことはできません。
無理に矯正せず、痛みが出ない範囲で安定性を高めます。

膝・股関節・体幹の筋力トレーニング

臀部や大腿部、体幹の筋力が低下すると、片脚で体重を支えた際に、膝と足部が内側へ倒れ込みやすくなります。
股関節周囲や体幹の筋力を整え、下肢全体で身体を支えられる状態を目指します。
スクワットや片脚立ちなどを行う際には、膝や足部の位置を確認し、足の内側だけへ負担が集中しないようにします。

バランストレーニング

足部が不安定な場合には、足裏の感覚や姿勢を保つ能力が低下していることがあります。
両脚立ち、片脚立ち、重心移動などを行い、足部と下肢の安定性を改善します。
転倒の危険がある場合には、壁や手すりにつかまり、安全を確保して行います。
不安定なクッションなどを使用した運動は、症状や変形の程度に合わせて慎重に行います。

歩行・動作指導

歩行時のかかとの接地、足の内側への倒れ込み、足裏への体重移動、地面の蹴り方などを確認します。
足を無理に外側へ向けたり、土踏まずを常に強く持ち上げたりするのではなく、関節の状態に合った歩き方を練習します。
靴、インソール、装具を使用している場合には、実際に装着した状態で歩行を確認します。
長時間の立ち仕事では、休憩を取る、左右へ体重を分散する、作業姿勢を変えるなどの工夫を行います。

スポーツ復帰支援

ランニングや球技などを行っている方では、着地、踏み込み、方向転換、蹴り出しなどを確認します。
痛みが軽くなっただけで急に元の運動量へ戻すと、後脛骨筋腱などへ再び強い負担がかかることがあります。
平地での歩行、自転車、軽いジョギング、短時間の競技練習などへ段階的に進めます。
運動後や翌日の痛み・腫れを確認しながら、練習量や強度を調整します。

手術治療・専門医療機関への紹介

多くの場合は保存療法から治療を開始しますが、次のような場合には手術治療を検討することがあります。
・装具やインソールを使用しても痛みが改善しない
・歩ける距離が短くなっている
・後脛骨筋腱の断裂がある
・足部の変形が進行している
・片脚でのつま先立ちができない
・足の外側にも強い痛みがある
・固定性の変形となっている
・足関節まで変形が広がっている
・日常生活や仕事に大きな支障がある
・希望するスポーツや活動への復帰が難しい
手術方法は、年齢だけでなく、痛みの場所、変形の柔軟性、後脛骨筋腱や靱帯の状態、関節症の有無、活動量などを確認して決定します。

自宅でのセルフケア

扁平足では、痛みや腫れを我慢して同じ負担を続けないことが大切です。
日常生活では、次の点に注意します。
・痛みを我慢して長時間歩かない
・長時間の立ち仕事ではこまめに休憩する
・痛みが強い間はランニングやジャンプを控える
・急に運動量を増やさない
・すり減った靴を長期間使用しない
・かかとが不安定な靴を長時間履かない
・インソールや装具を強く当てすぎない
・痛みを我慢して片脚つま先立ちを繰り返さない
・内くるぶしの腫れた部分を強くもまない
・自己判断で足の形を強く矯正しない
歩行や運動後に内くるぶし周囲の腫れや熱感が強い場合には、タオルで包んだ保冷剤などを使用し、短時間冷やすと症状が軽くなることがあります。
皮膚へ直接保冷剤を当てたり、感覚が鈍い部分を長時間冷やしたりしないよう注意してください。
インソールや装具を使用する場合には、皮膚の赤み、水ぶくれ、圧迫痛、しびれなどがないかを確認します。
糖尿病や感覚障害がある方では、装具による傷に気づきにくいことがあります。毎日、足裏や足趾の皮膚を確認してください。
ふくらはぎのストレッチや足部の運動は、痛みが強くならない範囲で行います。
運動中や運動後に内くるぶしの痛みや腫れが増える場合には、負荷が強すぎる可能性があります。
医師や理学療法士の指導のもとで、足部の状態に合った靴、インソール、装具、運動方法を選ぶことをおすすめします。

扁平足でお悩みの方へ

扁平足は、土踏まずが低いという足の形を示す言葉であり、すべてが病気というわけではありません。
子どもの柔軟性扁平足や、痛みのない体質的な扁平足では、特別な治療を必要としないことがあります。
一方、成人になってから足の形が変わった場合や、痛み、腫れ、歩行障害を伴う場合には、後脛骨筋腱や靱帯の障害による進行性扁平足の可能性があります。
次のような症状がある場合は、早めにご相談ください。
・成人になってから土踏まずが低くなった
・左右で足の形が変わってきた
・内くるぶしの後方が痛む、腫れている
・足の内側から外側へ痛みが広がってきた
・片脚でつま先立ちができない
・長時間歩けなくなった
・足が以前より横へ広がった
・以前履いていた靴が合わなくなった
・かかとが外側へ傾いている
・歩くと足が強く内側へ倒れ込む
・足裏や足趾にしびれがある
・インソールを使用しても症状が改善しない
・仕事、家事、スポーツに支障が出ている
・足部の変形が徐々に進んでいる
子どもでは、次のような場合に詳しい評価が必要です。
・足の痛みを繰り返している
・ほかの子どもと比べて歩きたがらない
・運動後に強く足が疲れる
・片側だけ扁平足が目立つ
・つま先立ちでも土踏まずが現れない
・足の動きが硬い
・足首の捻挫を繰り返す
・転びやすい
・歩き方が急に変わった
また、次のような症状がある場合には、骨折、感染症、シャルコー足、神経・血流障害などの可能性があります。
・外傷後から強い痛みや変形がある
・体重をかけて歩けない
・足が急に赤く腫れ、強い熱を持っている
・発熱や悪寒を伴っている
・糖尿病があり、足が赤く腫れている
・痛みは軽いのに足の変形が急速に進んでいる
・足が冷たい、白い、紫色になる
・足趾を動かしにくい
・足裏の感覚が急に低下した
・傷や潰瘍が治らない
・安静時や夜間の強い痛みが続いている
このような場合には、速やかに医療機関を受診してください。
当院では、問診、身体検査、立った状態でのX線検査、超音波検査などによって、足のアーチだけでなく、後脛骨筋腱、ばね靱帯、かかとの傾き、足関節、歩き方などを含めて評価します。
CT検査、MRI検査、手術を含めた専門的な治療が必要な場合には、提携医療機関や足の外科を専門とする医療機関と連携して対応します。
薬物療法、靴・インソール・装具の調整、リハビリテーション、セルフケア指導まで含め、年齢、原因、変形の程度、生活状況に合わせた治療をご提案します。

監修:高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニック 院長 松﨑 時夫