外反母趾

外反母趾

外反母趾について

外反母趾は、足の親指である「母趾」が第2趾の方向へ曲がり、母趾の付け根にある関節の内側が突出する足部の変形です。
母趾が曲がっているだけではなく、母趾につながる第1中足骨が足の内側へ開き、母趾の骨が反対方向である外側へ傾くことで、母趾の付け根が「くの字」のように突出します。
突出した部分は「バニオン」と呼ばれます。
バニオンが靴に当たると、赤み、腫れ、炎症、たこなどが生じ、歩行時や靴を履いた際に痛みます。
変形が進行すると、母趾が第2趾の下へもぐり込んだり、上へ重なったりすることがあります。
母趾によって第2趾が押されることで、第2趾や第3趾にも曲がりや脱臼が生じ、足裏にたこや痛みが現れる場合があります。
外反母趾は、幅の狭い靴やつま先の細い靴、ヒールの高い靴だけが原因となるわけではありません。
生まれつきの足の形、家族歴、扁平足、足部の関節や靱帯の柔らかさ、筋力、年齢、体重、関節リウマチなど、複数の要因が関係します。
幅の狭い靴やヒールの高い靴は、外反母趾を発症・進行させたり、突出部の痛みを悪化させたりする要因となります。
変形の程度と痛みの強さは、必ずしも一致しません。
変形が強くても痛みが少ない方もいれば、軽度の変形でも靴に当たることで強く痛む方もいます。
そのため、治療方法は外見や角度だけでなく、痛みの場所、靴の履きにくさ、歩行への影響、関節の動き、足裏のたこ、ほかの足趾の変形などを含めて判断します。
痛みのない外反母趾に対して、見た目を整えることだけを目的として手術を行うことは一般的ではありません。
一方、靴を変更し、装具やリハビリテーションなどの保存療法を行っても痛みが続き、歩行や日常生活に支障がある場合には、骨の向きを整える手術を検討します。

足部と母趾の構造

足には、片側だけで多数の骨と関節があります。
母趾は、足の内側にある第1中足骨と、母趾の基節骨・末節骨によって構成されています。
第1中足骨と母趾基節骨の間にある関節を「第1中足趾節関節」または「第1MTP関節」と呼びます。
外反母趾の変形が中心となるのが、この第1MTP関節です。
正常な足では、第1中足骨と母趾が、おおむね同じ方向を向いています。
外反母趾では、第1中足骨が足の内側へ開き、母趾が第2趾側へ傾きます。
その結果、第1中足骨の先端が足の内側へ突出して見えます。
突出部は単純に新しい骨が大きく生えたものではなく、骨の位置関係が変わることで目立つようになった部分です。
変形が進むと、関節包、靱帯、腱、筋肉の位置と働きも変化します。
母趾をまっすぐに保つはずの筋肉や腱が、かえって母趾を外側へ引っ張るように働くことがあります。
そのため、進行した外反母趾は体操や指で押すだけでは元の位置へ戻りにくくなります。

足部のアーチ

足には、体重を支え、歩行時の衝撃を吸収するアーチ構造があります。
主なアーチには、次のものがあります。
・足の内側にある内側縦アーチ
・足の外側にある外側縦アーチ
・前足部を横方向につなぐ横アーチ
外反母趾では、第1中足骨が内側へ開き、前足部が横に広がる「開張足」を伴うことがあります。
扁平足を伴う場合には、内側縦アーチも低下します。
横アーチが崩れると、これまで母趾側で受けていた荷重が、第2・第3中足骨頭の下へ移ることがあります。
その結果、足裏の中央付近にたこや痛みが生じます。

種子骨の役割

第1中足骨頭の足裏側には、通常2つの小さな骨があります。
これらは「種子骨」と呼ばれます。
種子骨は腱の中にあり、母趾を動かす筋肉の力を効率よく伝え、歩行時に母趾の付け根へ加わる負担を分散します。
外反母趾が進むと、第1中足骨と種子骨の位置関係がずれます。
実際には種子骨が大きく外へ動くというより、第1中足骨が種子骨の上から内側へずれていくような変化が生じます。
種子骨の位置関係が乱れると、母趾の付け根で体重を支えにくくなり、変形や歩行時痛が進行する場合があります。

外反母趾角と重症度

外反母趾の重症度は、体重をかけて立った状態で撮影したX線画像を用いて評価します。
第1中足骨の軸と母趾基節骨の軸がつくる角度を「外反母趾角」または「HV角」と呼びます。
一般的には、外反母趾角が20度以上の場合に外反母趾と診断されます。
重症度の目安は、次のように分類されます。

軽度

外反母趾角がおおむね20度以上30度未満の状態です。
母趾の傾きや付け根の突出はありますが、第2趾との重なりは少なく、関節の動きも比較的保たれています。
靴を履いたときだけ突出部が痛むことがあります。

中等度

外反母趾角がおおむね30度以上40度未満の状態です。
第1中足骨の内側への開きが大きくなり、母趾が第2趾を圧迫することがあります。
靴の選択が難しくなり、足裏のたこや第2趾の変形を伴う場合があります。

重度

外反母趾角がおおむね40度以上の状態です。
母趾が第2趾の下へもぐり込む、または上へ重なることがあります。
第2趾の脱臼や槌趾変形、足裏の強いたこ、第1MTP関節の変形性関節症などを伴う場合があります。
ただし、角度だけで治療や手術の必要性を決めるわけではありません。
軽度でも強く痛む場合があり、重度でも日常生活への支障が少ない場合があります。

第1・第2中足骨間角

第1中足骨と第2中足骨がどの程度開いているかを示す角度です。
「第1・第2中足骨間角」または「M1M2角」と呼ばれます。
この角度が大きいほど、第1中足骨が内側へ開いていることを示します。
手術方法を選ぶ際には、外反母趾角だけでなく、中足骨間角、関節面の向き、種子骨の位置、関節症の有無などを確認します。

外反母趾の進行と経過

外反母趾は、一般的にはゆっくり進行する変形です。
すべての方が同じ速度で進行するわけではなく、長期間ほとんど変化しない場合もあります。
足の形、靴、年齢、活動量、体重、関節の柔らかさなどによって経過は異なります。

初期

母趾の先が少し第2趾側へ傾き、母趾の付け根の内側が軽く突出します。
普段は痛みがなく、つま先が細い靴や長時間の歩行時だけ痛むことがあります。
靴を脱ぐと痛みが軽減することが多く、変形に気づいていても受診しない方が少なくありません。
この段階では、母趾の変形を手である程度戻せる場合があります。

中期

母趾の傾きと付け根の突出が目立つようになります。
靴の圧迫によって赤み、腫れ、滑液包炎、たこなどが生じます。
母趾で地面を十分に蹴り出せなくなり、第2・第3中足骨頭の下に負担が集中することがあります。
足裏のたこや中足骨頭痛が現れ、長時間の歩行がつらくなる場合があります。
第2趾が持ち上がる、曲がる、母趾と重なるなどの変形を伴うこともあります。

進行期

母趾が第2趾の下へもぐり込む、または上へ重なるほど変形することがあります。
第1MTP関節の位置が大きくずれ、関節を手で戻しにくくなります。
靴を履いていない状態でも痛みが続くことがあります。
第2趾・第3趾にも脱臼や槌趾変形が生じ、足裏の痛みやたこが強くなります。
母趾の付け根に変形性関節症が生じると、関節が硬くなり、歩行時の蹴り出しが難しくなります。

外反母趾の主な原因

外反母趾は、一つの原因だけで起こるものではありません。
足の形や遺伝的な要因に、靴、筋力、体重、病気などが重なって発症・進行すると考えられています。

足に合わない靴

つま先が細い靴や幅が狭い靴では、母趾が第2趾側へ押されます。
突出部が靴の内側へ当たり、炎症や痛みが生じます。
足幅に対して大きすぎる靴でも、靴の中で足が前方へ滑り、つま先が圧迫される場合があります。
靴の表示サイズだけでなく、足長、足幅、甲の高さ、かかとの収まりなどを確認する必要があります。

ハイヒール

ヒールが高い靴では、体重が前足部へ集中します。
足が靴の前方へ滑り、母趾やほかの足趾がつま先部分へ押し込まれます。
ヒールが高く、つま先が細い靴では、前足部への負担と足趾の圧迫が同時に強くなります。

遺伝・家族歴

外反母趾そのものが単純に遺伝するというより、外反母趾になりやすい足の骨格、関節の柔らかさ、扁平足などを受け継ぐことがあります。
家族に外反母趾がある方では、若い年齢から変形が現れる場合があります。

扁平足

内側縦アーチが低下して足部が内側へ倒れると、歩行時に母趾へねじれや外側方向の力が加わることがあります。
扁平足があるから必ず外反母趾になるわけではありませんが、発症・進行に関係する場合があります。

開張足

横アーチが低下し、前足部が横へ広がった状態です。
第1中足骨が内側へ開きやすくなり、母趾が外側へ傾く変形につながることがあります。

母趾や中足骨の形

母趾が第2趾より長い足の形、第1中足骨が長い形、第1MTP関節面の形などが外反母趾の発症に関係することがあります。

関節弛緩性

全身の関節や靱帯が柔らかい方では、第1中足骨が内側へ動きやすく、外反母趾が進行しやすい場合があります。

筋力低下

足趾を開く筋肉や足部アーチを支える筋肉が低下すると、母趾と第1中足骨の位置を保ちにくくなることがあります。
加齢や活動量の低下などによって足部の筋力が低下すると、変形が進行する要因となる場合があります。

体重増加

体重が増えると、立位や歩行時に前足部へ加わる負担が大きくなります。
扁平足や開張足を伴っている場合には、変形や足裏の痛みが悪化することがあります。

加齢

年齢とともに靱帯、筋肉、腱の支持力が低下し、足部アーチが変化することがあります。
長年の靴の圧迫や歩行時の負担も蓄積します。

関節リウマチ

関節リウマチでは、関節や靱帯が損傷し、母趾だけでなく複数の足趾に変形が生じることがあります。
外反母趾に似た変形でも、一般的な外反母趾とは治療方法が異なる場合があります。

神経・筋疾患

筋肉のバランスが変化する神経・筋疾患では、外反母趾やほかの足趾変形を生じる場合があります。

若年性外反母趾

10歳代など、骨の成長が終了する前に発症する外反母趾です。
女子に多く、家族歴、扁平足、関節弛緩性、足の骨格などが関係します。
成人の外反母趾と比べ、母趾の付け根の関節はよく動くことがあります。
痛みが軽い場合には、足に合った靴、足底板、運動療法などを行いながら経過をみます。
成長途中で手術を行うと、成長とともに変形が再発する可能性があります。
そのため、強い痛みが続く場合などを除き、手術は骨の成長が落ち着くまで慎重に検討します。

外反母趾の主な症状

母趾の変形

母趾の先が第2趾側へ傾き、付け根が内側へ突出します。
初期には手で戻せる場合がありますが、進行すると変形が固定されます。

母趾付け根の痛み

突出した部分が靴に当たり、痛みが生じます。
歩行時だけでなく、靴を履いているだけで痛むこともあります。
進行すると、靴を脱いでいる状態でも痛む場合があります。

赤み・腫れ

靴による圧迫と摩擦によって、突出部に赤みや腫れが生じます。
皮膚の下にある滑液包に炎症が起こると、柔らかく腫れて強く痛むことがあります。

バニオン部のたこ・胼胝

突出部への摩擦が続くと、皮膚が厚く硬くなります。
厚くなった部分が靴へ当たり、さらに痛みが強くなることがあります。

母趾のしびれ・感覚異常

突出部付近を通る神経が靴で圧迫されると、母趾の内側にしびれ、ピリピリ感、感覚低下などが生じる場合があります。

母趾の関節可動域制限

第1MTP関節に炎症や変形性関節症が生じると、母趾を上へ反らす、下へ曲げる動きが制限されます。
歩行時の蹴り出しで痛みが出ることがあります。

足裏の痛み

第1中足骨頭で体重を十分に支えられなくなると、第2・第3中足骨頭の下へ荷重が集中します。
足裏の中央付近に痛みやたこが生じます。
この状態は「中足骨頭痛」と呼ばれることがあります。

第2趾・第3趾の痛み

母趾が第2趾を押すことで、第2趾が持ち上がったり、曲がったり、母趾の上へ重なったりすることがあります。
第2MTP関節の関節包や足底板が損傷し、付け根に痛みが生じる場合もあります。

槌趾・ハンマートゥ

第2趾などの関節が曲がったままになり、伸びにくくなった状態です。
曲がった関節の背側が靴に当たり、たこや痛みが生じます。

足趾の重なり

重度の外反母趾では、母趾が第2趾の下へもぐり込んだり、上へ重なったりします。
靴を履くことが難しくなり、趾の間に傷ができることがあります。

歩行時の痛み

母趾は、歩行の最後に地面を蹴り出す役割を持っています。
母趾の変形や痛みによって蹴り出しが弱くなり、歩幅が狭くなることがあります。
母趾をかばって足の外側へ体重をかけると、足首、膝、股関節などへ負担がかかる場合があります。

靴を選べない

変形が進むと、市販の靴が突出部へ当たり、履ける靴が限られます。
見た目の問題よりも、靴を履けないことや歩けないことが治療上の重要な問題となります。

外反母趾に伴う可能性がある状態

バニオン滑液包炎

突出した第1MTP関節と皮膚の間にある滑液包へ炎症が起こった状態です。
赤み、熱感、腫れ、圧痛が現れます。
靴の圧迫を避けることで改善することがありますが、感染との区別が必要な場合もあります。

中足骨頭痛

第2・第3中足骨頭付近の足裏に痛みが出る状態です。
外反母趾によって荷重が母趾側から中央へ移ることが関係します。

胼胝・鶏眼

足裏や足趾に繰り返し圧力・摩擦が加わることで、皮膚が厚くなります。
胼胝は広い範囲の「たこ」、鶏眼は中心に芯を持つ「うおのめ」です。
皮膚だけを削っても、荷重や靴の問題が残っていると再発します。

第2MTP関節不安定症

第2趾の付け根を支える足底板や靱帯へ負担がかかり、関節が不安定になることがあります。
第2趾の付け根の痛みや腫れ、趾が浮く、母趾の上へ重なるなどの症状が現れます。

槌趾変形

第2趾・第3趾などが曲がったままになる状態です。
外反母趾の進行によって足趾同士が圧迫されることや、筋腱バランスの変化が関係します。

種子骨障害

母趾の付け根の足裏側にある種子骨へ負担がかかり、痛みが生じることがあります。
外反母趾による種子骨の位置変化や荷重の偏りが関係する場合があります。

第1MTP関節の変形性関節症

関節軟骨が傷むと、母趾の付け根が硬くなり、動かしたときに痛みが生じます。
外反母趾と強剛母趾が同時にみられることもあります。

モートン病

第3趾と第4趾の間などを通る神経が圧迫され、足趾へしびれや灼熱痛が生じる病気です。
外反母趾や開張足を伴う方にみられる場合があります。

扁平足・成人期扁平足

外反母趾と扁平足を同時に認めることがあります。
成人期扁平足が進行すると足の形や荷重が大きく変化し、外反母趾の治療方法にも影響します。

外反母趾と区別が必要な病気

母趾の付け根の痛みや変形は、外反母趾以外の病気でも生じます。
主に次のような病気との鑑別が必要です。
・強剛母趾
・痛風
・偽痛風
・関節リウマチ
・化膿性関節炎
・種子骨炎
・種子骨骨折
・母趾MTP関節捻挫
・中足骨疲労骨折
・第1中足骨頭の骨壊死
・母趾の腱・靱帯損傷
・神経障害
・糖尿病性足病変
・巻き爪や爪周囲炎
・骨や軟部組織の腫瘍

強剛母趾との違い

強剛母趾は、第1MTP関節の変形性関節症によって母趾の動きが硬くなる病気です。
母趾の付け根の上側に骨の出っ張りができ、歩行時に母趾を反らすと痛みます。
外反母趾は母趾が第2趾側へ傾く変形が中心ですが、強剛母趾では関節の硬さと背側の痛みが中心となります。
両方を同時に認める場合もあります。

痛風との違い

痛風発作では、母趾の付け根が突然赤く腫れ、触れられないほど強く痛むことがあります。
外反母趾による痛みは、一般的には靴の圧迫や歩行によって徐々に悪化します。
ただし、外反母趾がある関節に痛風発作が起こることもあります。
突然の激痛、強い赤み、熱感がある場合には、痛風や感染症を確認する必要があります。

関節リウマチとの違い

関節リウマチでは、母趾だけでなく複数の足趾や手指に腫れ・変形が生じることがあります。
朝のこわばりや左右対称の関節症状を伴う場合があります。
一般的な外反母趾とは手術方法や薬物治療が異なるため、全身の関節症状を確認します。

内反小趾との違い

内反小趾は、足の小指が第4趾側へ曲がり、第5中足骨頭の外側が突出する変形です。
外反母趾とは反対側の足の外縁に痛みが生じます。
外反母趾と内反小趾を同時に認め、前足部全体が広がっている場合もあります。

当院で行う検査

問診

変形に気づいた時期、痛みの場所、靴との関係などを確認します。
主に次のような点をお伺いします。
・いつ頃から母趾の変形に気づいたか
・最近、変形が進行しているか
・母趾の付け根が痛むか
・靴を履いたときだけ痛むか
・靴を脱いでも痛むか
・歩行や立ち仕事で痛みが強くなるか
・赤みや腫れがあるか
・足裏にたこや痛みがあるか
・第2趾や第3趾にも痛み・変形があるか
・母趾にしびれがあるか
・母趾の関節を動かしにくいか
・履けなくなった靴があるか
・仕事で指定の靴を履く必要があるか
・普段履いている靴の形やヒールの高さ
・家族に外反母趾があるか
・子どもの頃から扁平足があるか
・関節リウマチ、痛風、糖尿病などがあるか
・過去に足のけがや手術をしたことがあるか
・治療によって何をできるようになりたいか
手術を検討する場合には、仕事、スポーツ、生活環境、通院可能な期間なども確認します。

視診

立った状態と座った状態で、足の形を確認します。
主に次の点を観察します。
・母趾の外反角度
・第1中足骨頭の突出
・突出部の赤みや腫れ
・母趾の回旋
・第2趾との重なり
・第2趾・第3趾の槌趾変形
・足裏や足趾のたこ
・前足部の幅
・内側縦アーチ
・扁平足の有無
・かかとの向き
・左右差
・皮膚の傷や潰瘍
・爪の変形
体重をかけると変形が強くなる場合があるため、非荷重時だけでなく立位での評価が重要です。

触診

第1MTP関節の突出部、足裏の中足骨頭、種子骨、第2趾の付け根などを触り、痛みの場所を確認します。
突出部が硬い骨によるものか、滑液包の腫れを伴っているかも確認します。
皮膚の温度、赤み、傷、たこの状態なども評価します。

母趾の可動性の評価

母趾を手で動かし、変形をどの程度戻せるかを確認します。
変形が柔らかく矯正できるのか、固定されているのかを評価します。
第1MTP関節を上・下へ動かし、痛み、引っかかり、可動域制限がないかを確認します。
関節が硬い場合には、変形性関節症や強剛母趾を伴っている可能性があります。

第1中足列の安定性

第1中足骨の付け根側の関節が過度に動かないかを確認します。
第1中足列の不安定性が強い場合には、外反母趾の進行や手術方法に影響することがあります。

足部アーチの評価

内側縦アーチと横アーチの状態を確認します。
立位で扁平足や開張足が目立つか、かかとが外側へ傾いていないかなどを評価します。

歩行評価

歩行時に母趾で蹴り出せているか、足の外側へ体重を逃がしていないかなどを確認します。
痛みをかばうことで、歩幅が狭くなったり、身体が左右へ傾いたりする場合があります。

靴の確認

普段使用している靴をお持ちいただき、足の形と靴が合っているかを確認することがあります。
主に次の点を評価します。
・つま先部分の幅
・母趾突出部への圧迫
・靴の長さ
・甲の高さ
・かかとの安定性
・靴底のすり減り方
・ヒールの高さ
・足が前方へ滑っていないか

X線検査

外反母趾の重症度を評価する中心的な検査です。
足の骨は体重をかけた際に位置関係が変わるため、原則として立った状態で撮影します。
主に次の点を確認します。
・外反母趾角
・第1・第2中足骨間角
・第1MTP関節の位置関係
・関節面の適合性
・種子骨の位置
・第1中足骨の長さや形
・第1中足足根関節の状態
・関節軟骨のすり減り
・骨棘の有無
・第2趾・第3趾の変形や脱臼
・扁平足や足部アーチ
・中足骨の配列
・関節リウマチによる変化
・過去の骨折や手術の影響
手術を検討する場合には、X線画像で変形の原因と程度を詳しく評価し、骨切りを行う位置や方法を決定します。

超音波検査

超音波検査では、骨の配列全体を評価することはできませんが、関節や軟部組織の状態をリアルタイムに確認できます。
主に次のような状態を評価します。
・バニオン部の滑液包炎
・第1MTP関節の滑膜炎
・関節液の貯留
・母趾周囲の腱
・種子骨周囲の炎症
・第2MTP関節の滑膜炎
・足底板損傷
・モートン病
・皮下の腫瘤
・神経の圧迫
・痛風結節が疑われる病変
超音波検査だけで外反母趾の重症度や手術方法を決めることはできません。
骨の配列を評価するためには、荷重位のX線検査が重要です。

MRI検査

外反母趾の診断に、通常はMRI検査を必ず行うわけではありません。
次のような場合に検討します。
・第1MTP関節の軟骨損傷が疑われる
・種子骨障害が疑われる
・第2MTP関節の足底板損傷が疑われる
・腱や靱帯の損傷が疑われる
・骨壊死や疲労骨折が疑われる
・神経障害や腫瘤が疑われる
・X線では原因が分からない痛みが続いている
・感染症や腫瘍を除外する必要がある
当院にはMRI装置は設置しておりません。
MRI検査が必要と判断した場合には、提携医療機関をご案内します。

外反母趾に対する治療

外反母趾の治療では、痛みを軽減し、歩行や靴の着用をしやすくすることを目指します。
保存療法では、靴の圧迫、足部の荷重、筋力、関節の柔軟性などを整えます。
すでに生じている骨の配列を、装具や体操だけで永続的に完全な正常位置へ戻すことは困難です。
一方、変形があっても痛みがなければ、必ずしも手術は必要ありません。
治療方法は、痛み、重症度、関節の柔軟性、ほかの足趾の変形、年齢、生活状況などに応じて選択します。

靴の見直し

外反母趾の保存療法で特に重要です。
母趾の突出部や足趾を圧迫しない靴を選びます。
適した靴の主な特徴は、次のとおりです。
・つま先部分に十分な幅と高さがある
・母趾と第2趾を圧迫しない
・足の最も広い部分と靴の広い部分が一致する
・甲が適度に固定される
・かかとが靴の中で大きく動かない
・靴底に適度なクッション性と安定性がある
・ヒールが高すぎない
・足が靴の前方へ滑らない
・縫い目や硬い素材が突出部へ当たらない
表示されているサイズだけで選ばず、実際に立って歩いて確認します。
左右で足の大きさが異なる場合には、大きい側に合わせます。
足は夕方にむくんで大きくなることがあるため、普段むくみやすい方は時間帯も考慮して試着します。
購入時点で強く当たる靴を、履いているうちに伸びることを期待して選ばないようにします。

靴の加工

突出部が靴へ当たる場合には、靴の一部分を伸ばす、柔らかい素材へ変更するなどの調整を行うことがあります。
靴の中敷きを入れることで空間が狭くなり、かえって突出部の圧迫が強くなる場合があります。
足底板を使用する際には、靴の内部に十分な余裕があるかを確認します。

バニオンパッド

突出部を保護するため、シリコンやフェルトなどのパッドを使用することがあります。
靴との摩擦や圧迫を軽減し、痛みを和らげる目的で使用します。
厚すぎるパッドを狭い靴の中へ入れると、突出部への圧力がかえって強くなることがあります。
短時間から試し、赤みや痛みが増えないか確認します。

趾間装具・トースペーサー

母趾と第2趾の間に装具を入れ、母趾の重なりや趾同士の摩擦を軽減します。
変形が柔らかい軽度例では、装着中に母趾の位置が整い、痛みが軽減する場合があります。
装具を外した後も骨の変形が永久に矯正されるわけではありません。
大きすぎる装具や硬い装具は、靴の中で圧迫を強くすることがあります。

夜間装具・外反母趾用サポーター

母趾を内側へ支える装具を、夜間や休息時に使用することがあります。
痛みの軽減や関節の柔軟性維持に役立つ場合があります。
進行した骨の配列を永続的に元へ戻す効果は限定的です。

足底板・インソール

扁平足、開張足、足裏のたこ、中足骨頭痛などを伴う場合には、足底板を使用することがあります。
足部アーチを支え、荷重を分散することを目的とします。
第2・第3中足骨頭の下に負担が集中している場合には、中足骨パッドなどを用いることがあります。
位置が合っていないと痛みが増える場合があるため、足の形や靴に合わせて調整します。
足底板によって進行した外反母趾の骨の配列が完全に戻るわけではありません。

テーピング

母趾の位置や足部アーチを補助し、靴を履いた際の痛みを軽減するために行うことがあります。
皮膚が弱い方では、かぶれや水疱が生じる場合があります。
強く引っ張りすぎると、しびれや血流障害につながることがあります。

薬物療法

痛みや炎症が強い場合には、消炎鎮痛薬、アセトアミノフェン、湿布薬、塗り薬などを使用します。
年齢、胃腸・腎臓・心臓の状態、服用中の薬などを考慮して決定します。
薬物療法は痛みや炎症を軽減するものであり、骨の変形を矯正する治療ではありません。

滑液包炎への対応

突出部に強い赤みや腫れがある場合には、まず靴の圧迫を避けます。
保護パッド、外用薬、短期間の薬物療法などを行うことがあります。
急激な腫れ、強い熱感、傷、膿、発熱などがある場合には、感染症を確認する必要があります。

たこ・うおのめへの対応

皮膚の厚くなった部分を適切に処置し、圧力が集中している原因を調整します。
自分で刃物などを使って深く削ると、出血や感染を起こす可能性があります。
特に糖尿病、血流障害、感覚障害がある方は、自己処置を避けてください。
靴や足底板を調整しなければ、たこだけを削っても再発することがあります。

体外衝撃波治療について

体外衝撃波治療は、外反母趾の骨の向きを元へ戻す治療ではありません。
外反母趾そのものに対する標準的な矯正治療ではなく、原則として靴、装具、足底板、運動療法などを優先します。
足部の腱付着部痛など、外反母趾とは別の慢性疼痛を伴う場合には、痛みの原因を確認したうえで適応を判断します。

体外衝撃波治療について詳しくはコチラ

PRP療法について

PRP療法によって、第1中足骨や母趾の配列を矯正することはできません。
外反母趾の標準的な治療ではなく、変形の改善を目的として行う治療ではありません。
関節軟骨障害などを伴っている場合でも、効果と適応を慎重に判断する必要があります。

PRP療法について詳しくはコチラ

理学療法・リハビリテーション

外反母趾では、母趾だけでなく、足部アーチ、足関節、下肢全体の動きや筋力を評価します。
運動療法によって、進行した骨の変形を完全に元へ戻すことは困難です。
一方、変形が柔らかい軽度例では、関節の柔軟性や足部筋力を維持し、痛みや歩行機能を改善できる場合があります。
・母趾の関節可動域訓練
母趾をゆっくり曲げ伸ばしし、第1MTP関節の柔軟性を保ちます。
強く引っ張ったり、痛みを我慢して無理にまっすぐへ戻したりしないようにします。
関節炎や強剛母趾を伴う場合には、動かしすぎると痛みが悪化することがあります。
・足趾のグー・チョキ・パー運動
足趾を曲げる、母趾とほかの趾を分ける、すべての趾を開く運動です。
足趾の動きと足部筋力を維持する目的で行います。
最初は足趾が十分に動かなくても、痛みのない範囲で繰り返します。
・母趾外転運動
母趾を第2趾から離す方向へ動かします。
母趾を開く筋肉の働きを促す運動です。
母趾を手で無理に引っ張るのではなく、自分の筋力でゆっくり動かします。
・足趾開排運動
足趾同士をできるだけ離すように力を入れます。
外反母趾体操として行われる運動の一つです。
痛みやけいれんが出る場合には無理をしません。
・タオルギャザー
床に置いたタオルを足趾でたぐり寄せます。
足趾を曲げる筋肉や足部内在筋を鍛える目的で行います。
母趾の付け根や足裏の痛みが強い場合には、負荷を調整します。
・ショートフットエクササイズ
足趾を強く曲げずに、母趾の付け根とかかとを近づけるような意識で足部アーチを支える運動です。
足部内在筋を働かせ、立位時の足部安定性を高めます。
・ふくらはぎのストレッチ
ふくらはぎが硬く足関節の背屈が制限されていると、歩行時に前足部へ負担が集中することがあります。
膝を伸ばした状態と軽く曲げた状態で、痛みのない範囲でストレッチします。
・足関節可動域訓練
足首を上へ曲げる動きを整え、歩行やしゃがみ込みで前足部だけに負担が集中しないようにします。
・片脚立ち・バランス訓練
足部アーチと下肢の安定性を高めます。
転倒しないよう、壁や手すりの近くで行います。
・歩行指導
母趾をかばって足の外側だけで歩いていないかを確認します。
踵から接地し、足部全体へ荷重を移し、痛みのない範囲で母趾側から蹴り出す動きを練習します。
・靴の履き方の指導
靴ひもやベルトで甲を適切に固定し、足が靴の前方へ滑らないようにします。
つま先に余裕があっても、甲やかかとが固定されていないと、足が靴の中で動いて突出部へ摩擦が生じることがあります。

日常生活での靴選び

つま先が広い靴を選ぶ

母趾と第2趾が圧迫されず、足趾を軽く動かせる靴を選びます。
足の形に沿った丸みや幅があるものが適しています。

ヒールを低くする

高いヒールでは前足部へ体重が集中します。
必要な場面以外では、安定した低いヒールの靴を選びます。

かかとを安定させる

かかと部分が大きすぎると、歩くたびに足が前方へ滑ります。
かかとを包み込む形で、歩行時に大きく脱げない靴を選びます。

靴ひも・ベルトを活用する

甲を固定することで、足が前へ滑ることを防ぎます。
靴ひもは、つま先側を締めすぎず、甲側で適切に固定します。

左右両方を試着する

足の大きさや形は左右で異なる場合があります。
大きい側の足を基準にし、両足で立って歩いて確認します。

外反母趾に対する手術療法

保存療法を行っても痛みが続き、歩行や靴の着用、日常生活に支障がある場合には手術を検討します。
手術は、見た目の変形だけを理由として行うものではありません。
主に次のような場合が手術の対象となります。
・足に合う靴を選んでも突出部が強く痛む
・歩行距離が制限されている
・仕事や家事に支障がある
・靴を履いていなくても痛む
・第2・第3中足骨頭の下に強い痛みがある
・母趾が第2趾へ重なり、傷ができる
・第2趾の脱臼や槌趾変形が進行している
・第1MTP関節の炎症や変形性関節症が強い
・保存療法を続けても十分に改善しない
・本人が手術の利点、限界、回復期間を理解している

外反母趾手術後に起こる可能性がある問題

腫れ

足部は身体の下にあるため、手術後の腫れが長く続くことがあります。
夕方や長時間歩いた後に腫れやすくなります。

関節のこわばり

第1MTP関節の動きが硬くなることがあります。
手術方法に合わせて、適切な時期から可動域訓練を行います。

変形の再発

骨格、関節の柔らかさ、成長、矯正不足、術後の経過などによって、外反母趾が再発する可能性があります。
手術後も足に合った靴を使用することが大切です。

内反母趾

矯正が強すぎる場合などに、母趾が足の内側へ傾くことがあります。
靴の着用や歩行へ影響する場合には、追加治療が必要になることがあります。

骨癒合遅延・偽関節

骨切り部や関節固定部の骨が治るまで時間がかかる、または十分に癒合しないことがあります。
喫煙、糖尿病、骨の状態、早すぎる荷重などが影響する場合があります。

固定器具による刺激

スクリューやプレートが靴や皮膚へ当たり、違和感や痛みが生じることがあります。
骨が癒合した後、症状によっては抜去を検討します。

神経症状

切開部周囲の神経が刺激され、しびれ、感覚低下、神経痛などが残ることがあります。

感染

傷の赤み、腫れ、熱感、膿、発熱などが現れます。
速やかな診察が必要です。

中足骨頭痛

母趾側の骨の長さや荷重バランスが変化し、第2・第3中足骨頭の下に痛みが生じることがあります。

複合性局所疼痛症候群

通常の経過を超える強い痛み、腫れ、皮膚の色や温度の変化、発汗、関節拘縮などが続くことがあります。

血栓症

手術後にふくらはぎの急な腫れや痛みが出る場合があります。
息苦しさや胸の痛みを伴う場合には、速やかな受診が必要です。

自宅での注意点・セルフケア

足に合う靴を使用する

つま先が広く、甲とかかとを適切に固定できる靴を選びます。
痛い部分を我慢して狭い靴を履き続けないようにします。

ヒールの高い靴を長時間履かない

必要な場面で使用する場合も、移動時には負担の少ない靴へ履き替えるなどの工夫をします。

赤みが残る靴を見直す

靴を脱いだ後に突出部へ強い赤みや圧痕が残る場合には、圧迫が強い可能性があります。

趾間装具を無理に入れない

装具によって母趾や第2趾が強く圧迫される場合や、靴がきつくなる場合には使用方法を見直します。

痛みを我慢して体操しない

体操中に鋭い痛みが出る場合や、運動後に赤み・腫れが増える場合には中止します。

突出部を強く押さない

骨の出っ張りを毎日強く押しても、進行した骨の配列が元へ戻るわけではありません。
皮膚や滑液包の炎症を悪化させる場合があります。

たこを深く削らない

刃物や市販器具で深く削ると、出血や感染につながる可能性があります。
糖尿病や感覚障害がある方は、特に自己処置を避けます。

体重を管理する

体重が多い場合には、無理のない範囲で体重を調整することで前足部への負担を軽減できる可能性があります。

長時間の立位・歩行を調整する

痛みが強い時期には、休憩を取り、靴を履く時間や歩行量を調整します。
完全に動かないのではなく、痛みの少ない運動を継続します。

足部の運動を継続する

足趾運動、足部内在筋の訓練、ふくらはぎのストレッチなどを、痛みのない範囲で継続します。

外反母趾の進行予防

外反母趾の発症や進行を完全に防ぐことは難しいものの、次のような対策が役立つ場合があります。
・足に合った幅の靴を選ぶ
・つま先が細すぎる靴を避ける
・高いヒールを長時間履かない
・靴ひもやベルトで甲を固定する
・足が靴の前方へ滑らないようにする
・足趾を動かす習慣をつける
・足部アーチを支える筋力を保つ
・ふくらはぎの柔軟性を保つ
・体重を適切に管理する
・足裏のたこや痛みを放置しない
・子どもの変形や靴の圧迫を早めに確認する
・関節リウマチなどの基礎疾患を適切に治療する

次のような症状がある場合には早めに受診してください

・母趾が第2趾側へ曲がってきた
・母趾の付け根が靴に当たって痛む
・突出部が赤く腫れている
・靴を変えても痛みが改善しない
・靴を脱いでいる状態でも痛む
・母趾の付け根が動かしにくい
・母趾にしびれがある
・足裏に強いたこや痛みがある
・第2趾が曲がってきた
・母趾と第2趾が重なっている
・履ける靴が限られている
・長く歩けなくなってきた
・変形が急速に進んでいる
・子どものうちから母趾が曲がっている
・関節リウマチなどの持病がある
・保存療法を行っても日常生活へ支障がある

速やかな受診が必要な症状

次のような場合には、痛風、感染症、骨折、血流障害、糖尿病性足病変などが隠れている可能性があります。
・母趾の付け根が突然激しく痛み始めた
・関節が真っ赤に腫れて強い熱を持っている
・発熱や悪寒を伴っている
・傷から膿や液体が出ている
・皮膚が破れて骨や深い組織が見えている
・母趾が急に変形した
・転倒や衝突後から強く痛む
・体重をかけて歩けない
・足趾が白い、青紫色、黒色になっている
・足が冷たい
・足趾の感覚が急に低下した
・糖尿病があり、足に傷や潰瘍ができている
・手術後に傷の赤み、腫れ、膿、発熱がある
・手術後にふくらはぎが急に腫れて痛む
・息苦しさや胸の痛みがある
赤く腫れた部分を自分で針で刺したり、傷を深く削ったりしないでください。
速やかに医療機関を受診してください。

外反母趾でお悩みの方へ

外反母趾は、母趾だけが曲がる病気ではありません。
第1中足骨、種子骨、足部アーチ、関節包、靱帯、腱などの位置関係が変化する複合的な足部変形です。
幅の狭い靴やヒールの高い靴は症状を悪化させる要因となりますが、生まれつきの足の形、家族歴、扁平足、関節の柔らかさ、筋力なども関係します。
母趾の変形があっても、痛みがなく、靴や歩行に問題がなければ、直ちに手術が必要になるわけではありません。
足に合った靴、保護パッド、趾間装具、足底板、運動療法などによって、痛みを軽減できる場合があります。
ただし、装具や体操によって、進行した骨の配列が永久に完全な正常位置へ戻るわけではありません。
靴を変更しても強い痛みが続く、長く歩けない、第2趾にも変形が広がっている、靴を履いていない状態でも痛む場合には、手術を含めた治療を検討します。
外反母趾に似た症状でも、痛風、強剛母趾、関節リウマチ、種子骨障害、感染症など、別の病気が隠れていることがあります。
特に、母趾の付け根が突然赤く腫れて激しく痛む場合には、外反母趾だけが原因とは限りません。
当院では、問診、立位での足部評価、関節可動域検査、歩行評価、靴の確認、X線検査などによって、外反母趾の程度と痛みの原因を評価します。
X線検査では、外反母趾角、第1・第2中足骨間角、種子骨の位置、関節症、ほかの足趾変形、扁平足などを確認します。
超音波検査では、突出部の滑液包炎、関節の滑膜炎、種子骨周囲、第2MTP関節、腱や神経などの軟部組織を評価します。
症状に応じて、靴の指導、薬物療法、保護パッド、趾間装具、足底板、テーピング、リハビリテーション、セルフケア指導などを行います。
MRI検査やCT検査が必要と判断した場合には、提携医療機関をご案内します。
保存療法を行っても痛みや歩行障害が続き、手術が必要と判断した場合には、足の外科や足部手術に対応している医療機関へご紹介します。
母趾の付け根が靴に当たって痛む、履ける靴が少なくなってきた、足裏のたこや第2趾の変形が気になるなどのお悩みがある方は、早めにご相談ください。

監修:高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニック 院長 松﨑 時夫