足関節捻挫

足関節捻挫

足関節捻挫(外側靱帯損傷など)について

足関節捻挫は、足首を強くひねることによって、足関節を支えている靱帯、関節包、腱、軟骨などが損傷した状態です。
一般には「足首の捻挫」と呼ばれます。
スポーツ中の着地や方向転換、段差の踏み外し、転倒などによって起こることが多く、整形外科で診療する外傷の中でも頻度の高いものの一つです。
足関節捻挫の多くは、足の裏が内側を向くように足首をひねる「内反捻挫」です。
内反捻挫では、足関節の外側を支えている外側靱帯が引き伸ばされたり、部分的または完全に切れたりします。
特に、外側靱帯の中にある「前距腓靱帯」が損傷しやすく、外力が強い場合には踵腓靱帯や後距腓靱帯まで損傷することがあります。
一方、足の裏が外側へ向くようにひねった場合には、足関節内側にある三角靱帯を損傷することがあります。
足首を強く外側へねじった場合には、脛骨と腓骨をつないでいる遠位脛腓靱帯を損傷することがあります。この損傷は「遠位脛腓靱帯損傷」や「ハイアンクルスプリン」と呼ばれ、一般的な外側靱帯損傷よりも回復に時間がかかる場合があります。
足関節捻挫という名称から軽いけがと思われることがありますが、実際には靱帯損傷の程度だけでなく、骨折、関節軟骨損傷、腱損傷などを伴っている可能性があります。
受傷直後に歩ける場合や、痛みが比較的軽い場合でも、骨折や重度の靱帯損傷が隠れていることがあります。
また、適切な治療とリハビリテーションを行わずにスポーツへ復帰すると、足首が繰り返しぐらつく「慢性足関節不安定症」へ移行することがあります。
慢性足関節不安定症になると、足首を繰り返しひねる、でこぼこした道で不安定になる、スポーツ中に踏ん張れないなどの症状が続きます。
さらに、関節軟骨や腱へ繰り返し負担が加わり、将来的な変形性足関節症につながる可能性もあります。
治療では、受傷直後の痛みや腫れを抑えるだけでなく、足関節の動き、筋力、バランス能力、ジャンプや着地動作などを回復させ、再発を予防することが大切です。

足関節の構造

足関節は、すねの骨である脛骨と腓骨、足側にある距骨によって構成されています。
脛骨と腓骨の下端によって作られるくぼみに、距骨がはまり込むような構造になっています。
内くるぶしは脛骨の一部であり、「内果」と呼ばれます。
外くるぶしは腓骨の一部であり、「外果」と呼ばれます。
脛骨と腓骨の間は、遠位脛腓靱帯などによって支えられています。
足関節の周囲には複数の靱帯があり、足首が前後・左右・回旋方向へ過度に動くことを防いでいます。
また、足関節の外側には腓骨筋腱、内側には後脛骨筋腱や長母趾屈筋腱などが走行しています。
足関節捻挫では、靱帯だけでなく、これらの腱、関節包、神経、関節軟骨などを同時に損傷する場合があります。

足関節外側靱帯の構造

足関節外側には、主に次の3つの靱帯があります。
・前距腓靱帯
・踵腓靱帯
・後距腓靱帯
これらをまとめて「足関節外側靱帯」と呼びます。

前距腓靱帯

前距腓靱帯は、外くるぶしの前方から距骨へつながる靱帯です。
足関節外側靱帯の中で最も損傷しやすい靱帯です。
足首を下へ伸ばした状態で内側へひねると、前距腓靱帯へ強い負担がかかります。
ジャンプからの着地、段差の踏み外し、方向転換などで損傷します。

踵腓靱帯

踵腓靱帯は、外くるぶしから踵骨へ向かって走行する靱帯です。
前距腓靱帯よりも深い位置にあり、足関節だけでなく、その下にある距骨下関節の安定性にも関係します。
外力が強い場合には、前距腓靱帯と踵腓靱帯を同時に損傷することがあります。
踵腓靱帯まで損傷すると、足首のぐらつきが強くなる場合があります。

後距腓靱帯

後距腓靱帯は、外くるぶしの後方から距骨へつながっています。
3つの外側靱帯の中では比較的強く、一般的な軽度の足関節捻挫で損傷することは多くありません。
足関節脱臼や重度の外傷などで損傷することがあります。

足関節内側の三角靱帯

足関節の内側には「三角靱帯」と呼ばれる強い靱帯があります。
三角靱帯は、内くるぶしから距骨、踵骨、舟状骨などへ広がる複数の線維によって構成されています。
足の裏が外側へ向くように足首をひねる「外反」や、強い回旋力が加わった際に損傷します。
三角靱帯は比較的強いため、損傷時には外くるぶしの骨折や遠位脛腓靱帯損傷を伴っている場合があります。

遠位脛腓靱帯

脛骨と腓骨の足首側は、遠位脛腓靱帯などによってつながっています。
この部分を「脛腓結合」と呼びます。
主な支持組織には、次のようなものがあります。
・前下脛腓靱帯
・後下脛腓靱帯
・骨間靱帯
・下横靱帯
足首を強く外側へねじる、つま先が外側を向いた状態で身体が回るなどの動作で損傷します。
遠位脛腓靱帯損傷では、足首の前方からやや上の部分に痛みが出ます。
歩行や方向転換で脛骨と腓骨の間が開くような力が加わるため、一般的な外側靱帯損傷より症状が長引くことがあります。

足関節捻挫の主な種類

外側靱帯損傷・内反捻挫

足関節捻挫の中で最も多いタイプです。
足の裏が内側を向き、外くるぶし側の靱帯が引き伸ばされます。
前距腓靱帯が最も損傷しやすく、重症になると踵腓靱帯や後距腓靱帯まで損傷します。
外くるぶしの前方や下方に痛み、腫れ、皮下出血が現れます。

三角靱帯損傷・外反捻挫

足の裏が外側を向くように足首をひねり、内側の三角靱帯を損傷した状態です。
内くるぶし周囲に痛みや腫れが現れます。
三角靱帯単独の損傷だけでなく、外果骨折、腓骨高位の骨折、遠位脛腓靱帯損傷などを伴う可能性があります。

遠位脛腓靱帯損傷・ハイアンクルスプリン

脛骨と腓骨をつなぐ靱帯を損傷した状態です。
足首の前方から、くるぶしより少し上の部分に痛みがあります。
足首を外側へひねる、つま先を外へ向ける、歩行時に踏み込むなどの動作で痛みが強くなります。
軽症に見えても回復に時間がかかることがあり、脛腓結合が不安定な場合には手術が必要になることがあります。

距骨下関節捻挫

足関節の下にある距骨と踵骨の間の関節を損傷した状態です。
外くるぶしの下方や、踵の外側付近に痛みが出ます。
一般的な外側靱帯損傷と同時に起こることがあり、足首の不安定感が長引く原因となる場合があります。

足関節捻挫の重症度

足関節外側靱帯損傷は、一般的にGrade 1からGrade 3までの3段階に分類されます。

Grade 1:軽度損傷

靱帯が軽く引き伸ばされ、一部に微細な損傷がある状態です。
靱帯の連続性は保たれており、足関節の明らかなぐらつきはありません。
外くるぶし周囲に軽い痛みや腫れがありますが、歩行できることも多くあります。
軽症に見えても、痛みを我慢して競技を続けると症状が長引くことがあります。

Grade 2:中等度損傷・部分断裂

靱帯線維が部分的に切れている状態です。
痛み、腫れ、皮下出血が目立ち、歩行時に足を引きずることがあります。
徒手検査では、反対側と比較して軽度から中等度のぐらつきが確認される場合があります。
適切な装具による保護とリハビリテーションが必要です。

Grade 3:重度損傷・完全断裂

靱帯が完全に切れている、または骨の付着部から剥がれている状態です。
足首全体が大きく腫れ、広い範囲に皮下出血が現れることがあります。
体重をかけることが難しく、足首が抜けるような不安定感が生じる場合があります。
完全断裂であっても、急性の外側靱帯単独損傷では、装具とリハビリテーションによる保存療法を行うことが多くあります。
ただし、骨折、遠位脛腓靱帯損傷、腱損傷などを伴う場合や、慢性的な不安定性が残った場合には手術を検討します。

足関節捻挫の主な原因

ジャンプからの着地

バスケットボール、バレーボール、体操などで、ジャンプ後に相手選手の足や不安定な場所へ着地すると、足首を内側へひねることがあります。
片脚で着地した場合や、身体のバランスを崩している場合には、強い力が加わります。

方向転換・切り返し

足が地面に固定された状態で身体の向きを急に変えると、足関節へ回旋力が加わります。
サッカー、バスケットボール、テニス、ラグビーなどで起こります。

段差の踏み外し

階段、縁石、道路のくぼみなどを踏み外すことで、足首をひねります。
日常生活で多い受傷原因です。

転倒

滑りやすい床、不整地、階段などで転倒した際に、足首へ強い力が加わります。

人の足を踏む

スポーツ中に相手選手の足の上へ着地すると、足部が不安定な位置で固定され、足首を強くひねることがあります。

接触・タックル

足首の外側や内側へ直接衝撃を受けることで、靱帯損傷や骨折が起こることがあります。

スパイクや靴が地面へ固定される

スパイクと地面の摩擦が強い場合には、足部が残ったまま身体が回転し、足関節へ大きな力が加わることがあります。

ハイヒールや不安定な靴

かかとの高い靴や、足に合っていない靴では足首が不安定になり、段差などでひねりやすくなることがあります。

交通事故

自転車、オートバイ、自動車の事故では、足首へ強い回旋力や圧迫力が加わります。
靱帯損傷だけでなく、足関節果部骨折、距骨骨折、踵骨骨折などを伴う可能性があります。

足関節捻挫が起こりやすい要因

過去の足関節捻挫

一度足首を捻挫した方は、再び捻挫する可能性があります。
靱帯の緩みだけでなく、筋力、バランス能力、反応速度が十分に回復していないことが関係します。

足関節の可動域制限

足首を上へ曲げる背屈の動きが制限されていると、スクワット、着地、方向転換などで足首へ負担が集中することがあります。

腓骨筋の筋力・反応低下

足関節の外側にある腓骨筋は、足首が内側へひねられた際に、外側へ戻すように働きます。
腓骨筋の筋力や反応が低下していると、捻挫を防ぎにくくなることがあります。

バランス能力の低下

片脚立ちで身体を安定させる能力が低下していると、不安定な着地や方向転換で足首をひねりやすくなります。

股関節・体幹の筋力不足

足首だけでなく、股関節や体幹の安定性も着地や方向転換に関係します。
上半身や骨盤を安定させられないと、足首へ負担が集中することがあります。

疲労

練習や試合の後半では、筋力と反応速度が低下します。
着地や方向転換のフォームが乱れ、捻挫の危険が高くなる場合があります。

足部の形・関節弛緩性

足のアーチ、踵の向き、全身の関節の柔らかさなどが、足関節の安定性に影響することがあります。

不適切な靴・用具

靴底の摩耗、サイズが合っていない靴、競技に合わない靴などは、足首の不安定性につながる場合があります。

主な症状

外くるぶし周囲の痛み

外側靱帯損傷では、外くるぶしの前方、下方、後方などに痛みが出ます。
最も多い前距腓靱帯損傷では、外くるぶしの前方を押したときに強い痛みがあります。

内くるぶし周囲の痛み

三角靱帯を損傷した場合には、内くるぶしの下方や前方に痛みが出ます。
内側の強い痛みがある場合には、骨折や遠位脛腓靱帯損傷も確認します。

くるぶしより上の痛み

遠位脛腓靱帯損傷では、足首の前方から外側、くるぶしより上の部分に痛みが出ます。
歩行、方向転換、つま先を外へ向ける動作などで痛みが強くなります。

足首の腫れ

靱帯や関節包などから出血し、受傷後に足首が腫れます。
損傷が強い場合には、外くるぶし周囲だけでなく、足の甲や足趾まで腫れることがあります。

皮下出血

靱帯や周囲の血管が損傷すると、紫色の皮下出血が現れます。
受傷直後には目立たず、数日かけて足の外側、踵、足の甲、足趾へ広がることがあります。

歩行時の痛み

足を地面へつく、蹴り出す、方向転換するなどの動作で痛みます。
重症の場合には、体重をかけられないことがあります。

足首のぐらつき

足首が抜ける、頼りない、外側へ崩れるように感じることがあります。
急性期の痛みによる不安定感と、靱帯の緩みによる構造的な不安定性があります。

足首の曲げ伸ばし制限

痛みや腫れによって、足首を上または下へ動かしにくくなります。
長期間動かさないと、足関節の拘縮につながることがあります。

押したときの痛み

損傷した靱帯、骨、腱などを押すと痛みがあります。
痛む位置は、損傷した組織を推測する重要な手がかりです。

荷重時の不安定感

歩行、階段、不整地などで足首がぐらつくことがあります。
スポーツでは、切り返しや着地時に症状が強くなります。

引っかかり・ロッキング

距骨の骨軟骨損傷や関節内遊離体がある場合には、足首の中で引っかかる、動かしにくいと感じることがあります。

しびれ・感覚異常

強い腫れや周囲の神経損傷によって、足の甲や外側にしびれが出ることがあります。
足が冷たい、色が悪いなどの症状を伴う場合には、血流の確認が必要です。

足関節捻挫に伴う可能性がある損傷

外果骨折

外くるぶしを構成する腓骨が折れる骨折です。
外側靱帯損傷と同じように外くるぶし周囲が痛むため、捻挫と思われることがあります。
骨の後縁や先端を押して強く痛む場合や、体重をかけられない場合にはX線検査が必要です。

内果骨折

内くるぶしを構成する脛骨が折れた状態です。
外反捻挫や回旋外力で起こることがあります。

後果骨折

脛骨の後方にある関節面が骨折した状態です。
遠位脛腓靱帯損傷や足関節脱臼骨折などに伴うことがあります。

第5中足骨基部骨折

足首を内側へひねった際に、足の外側にある第5中足骨の付け根が骨折することがあります。
外くるぶしではなく、足の外側中央付近を押して強く痛む場合には、この骨折を確認します。

舟状骨骨折

足の内側中央にある舟状骨の骨折です。
足首の捻挫と思われて見逃されることがあります。

距骨骨折

距骨は足関節の中心にある骨です。
高所からの転落、交通事故、強いスポーツ外傷などで骨折することがあります。
距骨への血流が損なわれる可能性があるため、早期の診断が重要です。

距骨骨軟骨損傷

足首をひねった際に、距骨の関節軟骨とその下の骨が損傷することがあります。
捻挫後に痛みや腫れが長く続く、足首が引っかかる、深い部分が痛む場合に疑います。
X線で分かりにくいことがあり、MRIやCTが必要になる場合があります。

前方突起骨折

踵骨の前方にある小さな部分が骨折することがあります。
外側靱帯損傷と似た場所が痛むため、見逃されることがあります。

腓骨筋腱損傷

外くるぶしの後方には、長腓骨筋腱と短腓骨筋腱が走行しています。
足首をひねった際に腱が損傷したり、外くるぶしの後方から外れたりすることがあります。
外くるぶし後方の痛み、腱が弾ける感覚、足首の外側へ力を入れにくい場合に確認します。

腓骨筋腱脱臼・亜脱臼

腓骨筋腱を押さえている支帯が損傷し、腱が外くるぶしの前方へ乗り越える状態です。
足首を動かした際に、外くるぶしの後方でパキッと弾ける感覚が現れます。

二分靱帯損傷

足の外側から前方にある靱帯の損傷です。
外くるぶしより前方、踵骨と舟状骨・立方骨周囲に痛みが出ます。

リスフラン関節損傷

足の甲にある中足部の関節・靱帯損傷です。
足首をひねった際に同時に起こることがあります。
足の甲や足裏に強い痛みや皮下出血があり、つま先立ちができない場合には注意が必要です。

アキレス腱損傷

足首の捻挫と思っていても、アキレス腱断裂が隠れていることがあります。
受傷時に後ろから蹴られたように感じた、つま先立ちができない場合には確認します。

神経損傷

強い捻挫によって、腓骨神経や足関節周囲の神経が引き伸ばされることがあります。
しびれ、感覚低下、足首や足趾の動かしにくさがある場合には評価が必要です。

足関節脱臼

足関節の骨の位置関係が外れた状態です。
強い変形、激痛、血流障害を伴う可能性があり、緊急の治療が必要です。

足関節捻挫の経過

急性期

受傷直後から数日程度は、痛み、腫れ、皮下出血などが強くなります。
無理に歩いたり、足首をひねったりすると、腫れや出血が悪化することがあります。
一方、必要以上に長期間完全固定すると、足関節の拘縮、筋力低下、バランス能力低下が起こる可能性があります。
重症度を確認し、装具などで患部を保護しながら、可能な範囲で早期から荷重と運動を開始します。

修復期

腫れや安静時痛が軽減すると、足首の曲げ伸ばし、筋力訓練、歩行訓練などを進めます。
この時期に、痛みが軽くなったからといって方向転換やジャンプを再開すると、再受傷する可能性があります。

回復期

足首の可動域、筋力、バランスが改善した後、ジョギング、ジャンプ、切り返しなどへ段階的に進めます。
スポーツ復帰には、痛みがないことだけでなく、片脚で身体を支えられることや、着地・方向転換を安定して行えることが必要です。

慢性期

捻挫後に足首の痛み、不安定感、腫れなどが長く続くことがあります。
靱帯の緩み、筋力やバランス能力の低下、関節軟骨損傷、腱損傷などが関係している可能性があります。
繰り返し足首をひねる場合には、慢性足関節不安定症を評価します。

慢性足関節不安定症

足関節捻挫後に、足首のぐらつきや再捻挫を繰り返す状態です。
構造的な靱帯の緩みに加えて、筋力、バランス能力、反応速度、足関節の位置感覚などの低下が関係します。
主な症状には、次のようなものがあります。
・足首を繰り返しひねる
・でこぼこした道で不安定になる
・階段を下りるときに怖い
・片脚立ちが不安定である
・スポーツ中の切り返しで足首が抜ける
・長時間歩くと外くるぶし周囲が痛む
・運動後に足首が腫れる
・足首が常に頼りなく感じる
慢性足関節不安定症を放置すると、距骨の関節軟骨や腓骨筋腱などへ繰り返し負担がかかる可能性があります。

高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニックで行う検査

問診

受傷時の状況、足をひねった方向、歩行の可否などを確認します。
主に次のような点をお伺いします。
・いつ、どのように受傷したか
・ジャンプの着地で受傷したか
・段差や人の足を踏んだか
・足の裏が内側と外側のどちらへ向いたか
・受傷時に音や断裂感があったか
・すぐに立ち上がれたか
・受傷後に歩けたか
・現在、体重をかけられるか
・どの部分が最も痛むか
・受傷後どのくらいで腫れたか
・皮下出血が広がっているか
・足首がぐらつく、抜ける感じがあるか
・足首が引っかかることがあるか
・足や足趾にしびれがあるか
・過去にも同じ足首を捻挫したことがあるか
・捻挫後に十分なリハビリを行ったか
・スポーツの種目、ポジション、競技レベル
・仕事で長時間の歩行や不整地作業が必要か
・今後どの活動へ復帰したいか
・骨粗鬆症などの基礎疾患があるか
受傷時の動画がある場合には、損傷の仕組みを確認する参考になることがあります。

視診

足首の腫れ、皮下出血、変形、傷などを確認します。
外くるぶし側、内くるぶし側、足の甲、踵など、腫れている範囲を確認します。
立位や歩行が可能な場合には、足を引きずっていないか、患側へ体重をかけられるかなどを観察します。

触診

外側靱帯、三角靱帯、遠位脛腓靱帯、骨、腱などを慎重に触り、痛みの場所を確認します。
主に次の場所を確認します。
・外くるぶしの前方
・外くるぶしの下方
・外くるぶしの後方
・内くるぶし周囲
・脛骨と腓骨の間
・腓骨の上方
・第5中足骨基部
・舟状骨
・距骨周囲
・踵骨
・腓骨筋腱
・アキレス腱
・足の甲や足裏
骨を押した際の強い痛みがある場合には、骨折を疑ってX線検査を行います。

神経・血流の確認

強い腫れや変形がある場合には、足の神経と血流を確認します。
主に次の点を評価します。
・足の甲や足裏の感覚
・足趾を動かせるか
・足首を上下へ動かせるか
・足の色
・足の温度
・足背や内くるぶし後方の脈拍
・爪を押した後に色が戻るまでの時間
足が冷たい、白い、青紫色になっている、脈を触れにくい場合には緊急の対応が必要です。

前方引き出しテスト

前距腓靱帯の損傷や足関節前方の不安定性を評価する検査です。
下腿を固定し、踵を前方へ引き出して、距骨がどの程度前へ移動するかを確認します。
反対側と比較し、移動量や止まり方を評価します。
受傷直後は痛みや筋肉の緊張が強く、正確に評価できないことがあります。
腫れが落ち着いた後に再評価する場合があります。

内反ストレステスト・距骨傾斜テスト

足首を内反方向へ傾け、踵腓靱帯などの損傷を評価します。
反対側よりも大きく傾く場合には、外側靱帯の緩みが疑われます。
受傷直後に強い力を加えると痛みが悪化するため、状態に合わせて慎重に行います。

外旋ストレステスト

足部を外側へ回旋させ、遠位脛腓靱帯へ負担を加える検査です。
足首の前方からくるぶしより上に痛みが出る場合には、遠位脛腓靱帯損傷が疑われます。

スクイーズテスト

下腿の脛骨と腓骨を上方で圧迫し、遠位脛腓靱帯周囲に痛みが出るかを確認する検査です。
遠位脛腓靱帯損傷の評価に用います。

腓骨筋腱の検査

足首を外側へ動かす力を確認し、外くるぶし後方の腱に痛みや脱臼がないかを評価します。
足首を動かしたときに腱が弾ける場合には、腓骨筋腱脱臼を疑います。

アキレス腱の検査

ふくらはぎを圧迫して足首が動くかを確認し、アキレス腱断裂がないか評価します。

歩行・片脚動作の評価

急性期を過ぎて歩行できるようになった後は、片脚立ち、スクワット、つま先立ちなどを確認します。
足首のぐらつき、痛み、左右差などを評価します。

X線検査

靱帯は通常のX線検査には直接写りません。
X線検査では、主に骨折、脱臼、関節の位置関係などを確認します。
次のような場合には、X線検査が必要となる可能性があります。
・くるぶしの骨を押すと強く痛む
・第5中足骨基部を押すと痛む
・舟状骨を押すと痛む
・受傷直後や診察時に体重をかけて歩けない
・足首が大きく腫れている
・明らかな変形がある
・高齢者や骨粗鬆症がある
・強い外力が加わっている
・小児や成長期である
X線検査では、次の点を確認します。
・外果骨折
・内果骨折
・後果骨折
・第5中足骨基部骨折
・舟状骨骨折
・距骨骨折
・剥離骨折
・関節のずれ
・遠位脛腓間の開き
・足関節脱臼
・成長軟骨の損傷
・そのほかの骨の異常

ストレスX線検査

足関節へ一定の力を加えながらX線撮影を行い、距骨の前方移動や傾き、遠位脛腓間の開きなどを評価することがあります。
慢性足関節不安定症や遠位脛腓靱帯損傷の評価に用いる場合があります。
急性期に強い痛みがある場合には、必要性を慎重に判断します。

荷重位X線検査

立った状態で撮影し、体重をかけた際の足関節の位置関係や関節裂隙を確認することがあります。
慢性的な不安定性、変形性足関節症、アライメント異常などの評価に役立ちます。

超音波検査

超音波検査では、足関節周囲の靱帯、腱、関節液、血腫などをリアルタイムに確認できます。
主に次のような状態を評価します。
・前距腓靱帯の腫れや断裂
・踵腓靱帯損傷
・三角靱帯損傷
・遠位脛腓靱帯損傷
・靱帯付着部の剥離
・靱帯周囲の血腫
・関節液の貯留
・腓骨筋腱損傷
・腓骨筋腱脱臼
・アキレス腱損傷
・足関節周囲の神経
・骨表面の不整
足首を動かしたり、軽くストレスを加えたりしながら、靱帯の緩みや腱の動きを確認できることが特徴です。
一方、距骨の関節軟骨、骨挫傷、骨内部の損傷などを超音波だけで十分に評価することはできません。

MRI検査

MRI検査では、靱帯、腱、関節軟骨、骨の内部などを詳しく評価できます。
次のような場合に検討します。
・重度の外側靱帯損傷が疑われる
・遠位脛腓靱帯損傷が疑われる
・三角靱帯損傷が疑われる
・距骨骨軟骨損傷が疑われる
・腓骨筋腱損傷が疑われる
・骨挫傷が疑われる
・X線で分からない骨折が疑われる
・足首の引っかかりやロッキングがある
・適切な治療後も痛みや腫れが続いている
・慢性足関節不安定症がある
・手術方法を検討している
すべての足関節捻挫にMRI検査が必要となるわけではありません。
当院にはMRI装置は設置しておりません。MRI検査が必要と判断した場合には、提携医療機関をご案内し、そちらで撮影を受けていただきます。

CT検査

CT検査では、骨折の形、骨片の位置、関節面などをX線より詳しく評価できます。
次のような場合に検討します。
・距骨骨折が疑われる
・足関節果部骨折がある
・関節内骨折がある
・骨軟骨片の位置を確認したい
・X線で骨折が分かりにくい
・遠位脛腓靱帯損傷に伴う骨の位置関係を確認したい
・手術方法を検討している
CT検査が必要と判断した場合には、対応可能な提携医療機関をご案内します。

足関節捻挫と区別が必要な病気

足首をひねった後の痛みは、靱帯損傷以外でも起こります。
主に次のような病気や損傷との鑑別が必要です。
・外果骨折
・内果骨折
・後果骨折
・脛骨高位の腓骨骨折
・第5中足骨基部骨折
・舟状骨骨折
・距骨骨折
・踵骨骨折
・距骨骨軟骨損傷
・踵骨前方突起骨折
・脛骨遠位端骨端線損傷
・腓骨遠位端骨端線損傷
・腓骨筋腱損傷
・腓骨筋腱脱臼
・アキレス腱断裂
・二分靱帯損傷
・リスフラン関節損傷
・足根洞症候群
・足関節インピンジメント
・痛風・偽痛風
・感染性関節炎
・複合性局所疼痛症候群
受傷状況、痛みの場所、腫れ方、身体検査、画像検査を組み合わせて診断します。

受傷直後・受診までの対応

スポーツや作業を中止する

痛みが軽くても、そのまま競技や作業を続けないでください。
損傷した靱帯がさらに傷ついたり、骨折や軟骨損傷を悪化させたりする可能性があります。

患部を保護する

サポーター、テーピング、添え木などを用いて、足首が再び内側や外側へひねられないように保護します。
明らかな変形がある場合には、自分で元へ戻そうとしないでください。

無理に体重をかけない

歩行時の痛みが強い場合には、患側へ無理に体重をかけません。
杖や松葉杖を使用し、早めに医療機関を受診します。

冷却する

受傷直後に腫れや熱感がある場合には、タオルで包んだ保冷剤などを短時間当てます。
冷却は痛みを一時的に軽減する目的で行います。
皮膚へ直接当てたり、感覚がなくなるまで長時間冷やしたりしないでください。

軽く圧迫する

弾性包帯やサポーターで軽く圧迫すると、腫れを抑えられる場合があります。
足趾がしびれる、冷たい、白い、青紫色になる場合には、すぐに緩めてください。

脚を高くする

横になる際には、枕やクッションを使用し、足首を心臓より高い位置に保ちます。
腫れの軽減につながる場合があります。

強くもまない

受傷直後に患部を強くもむと、出血や腫れが悪化することがあります。
温める、飲酒する、激しい運動をすることも、急性期には腫れを強くする場合があります。

指輪やきつい靴を外す

足の腫れが強くなる前に、靴や足首周囲の装飾品を外します。
無理に引っ張らなければ外れない場合には、そのまま医療機関へ相談してください。

足関節捻挫に対する治療

治療方法は、次のような点を考慮して決定します。
・損傷した靱帯
・損傷の重症度
・骨折の有無
・遠位脛腓靱帯損傷の有無
・腱や軟骨などの合併損傷
・足関節の不安定性
・年齢
・スポーツや仕事の内容
・過去の捻挫歴
・患者さんが希望する活動レベル
急性の外側靱帯損傷では、完全断裂であっても、多くの場合は装具とリハビリテーションによる保存療法を行います。
ただし、治療は単に安静にするだけではありません。
損傷部を適切に保護しながら、可能な範囲で早期から荷重、可動域訓練、筋力訓練を進めます。

活動量の調整

受傷直後は、ジャンプ、ランニング、方向転換など、痛みを引き起こす動作を中止します。
歩行時の痛みが軽減した後も、次のような動作は足首の機能を確認してから再開します。
・片脚ジャンプ
・連続ジャンプ
・ダッシュ
・急停止
・切り返し
・横方向への移動
・不整地での走行
・接触プレー
・高所での作業
完全に運動を休む期間を必要以上に長くせず、症状に合わせて負担の少ない運動から再開します。

装具療法

足首が内側または外側へひねられることを防ぐため、足関節装具やサポーターを使用します。
急性期には、左右の動きを制限しながら足首の曲げ伸ばしができる装具を使用することがあります。
重度の損傷では、短期間、より固定力の強い装具やギプスを使用する場合があります。
装具を長期間使用するだけでなく、足首の筋力とバランス能力を回復させることが重要です。

テーピング

テーピングによって足首の内反や外反を制限し、再受傷を予防します。
スポーツ復帰時に使用する場合があります。
時間の経過や発汗によって固定力が低下するため、正しい方法で巻き直す必要があります。
皮膚のかぶれやしびれが出た場合には使用を中止します。

松葉杖・杖

体重をかけると強く痛む場合には、松葉杖や杖を使用します。
痛みと歩き方を確認しながら、非荷重、部分荷重、全荷重へ段階的に進めます。

短期間の固定

重度の靱帯損傷では、受傷初期に短期間の固定を行うことがあります。
ただし、長期間完全固定すると、関節拘縮、筋力低下、バランス能力低下が起こる可能性があります。
固定期間と運動開始時期は、損傷の程度に応じて判断します。

薬物療法

痛みや炎症を軽減するため、消炎鎮痛薬、アセトアミノフェン、外用薬などを使用します。
年齢、胃腸・腎臓・心臓の状態、服用中の薬などを確認して処方します。
薬物療法は痛みを軽減するものであり、断裂した靱帯を直接つなぎ直す治療ではありません。

体外衝撃波治療

体外衝撃波治療は、急性足関節靱帯損傷の標準的な治療ではありません。
断裂した靱帯の不安定性を直接改善する治療でもありません。
捻挫後に腱付着部痛や慢性的な軟部組織痛が残っている場合には、痛みの原因を確認したうえで検討することがあります。
体外衝撃波治療は、保険適用外の自費診療となります。

体外衝撃波治療について詳しくはコチラ

PRP療法

PRP療法は、患者さんご自身の血液から血小板を多く含む成分を抽出し、損傷部周囲などへ注入する治療です。
足関節靱帯損傷に対して行われることがありますが、急性外側靱帯損傷の標準的な治療は、装具による保護と段階的なリハビリテーションです。
PRP療法によって、完全断裂した靱帯が必ず元の強度へ戻ることや、慢性的な不安定性が解消することを保証するものではありません。
適応と効果には個人差があり、損傷部位、重症度、受傷からの期間、不安定性などを評価して判断します。
PRP療法は保険適用外の自費診療です。

PRP療法について詳しくはコチラ

理学療法・リハビリテーション

足関節捻挫では、痛みと腫れが軽減した後も、可動域、筋力、バランス能力、動作を回復させる必要があります。
歩けるようになった時点で治療を終了すると、再捻挫や慢性足関節不安定症につながることがあります。
当院では、損傷の程度と回復段階に合わせてリハビリテーションを行います。
痛みと腫れの管理
急性期には、活動量の調整、圧迫、挙上、必要に応じた冷却などを行います。
腫れが強い状態では、足関節周囲の筋肉が働きにくくなることがあります。
足趾の運動
足首を十分に動かせない時期も、足趾をゆっくり曲げ伸ばしします。
腫れや循環の改善、足部の筋力低下予防につながります。
足関節可動域訓練
痛みのない範囲で、足首を上へ曲げる背屈、下へ伸ばす底屈などを行います。
受傷初期には、損傷した靱帯を強く引き伸ばす方向の運動を避けます。
腫れや痛みの状態に合わせて、少しずつ動かす範囲を広げます。
背屈可動域の改善
足首を上へ曲げる背屈が制限されると、歩行、階段、スクワット、着地などに影響します。
ふくらはぎの柔軟性や足関節の動きを確認し、必要に応じてストレッチや関節運動を行います。
腓骨筋の筋力訓練
足首を外側へ動かす腓骨筋を鍛えます。
ゴムバンドなどを用いて、足部を外側へ動かす運動を行います。
足首が内側へひねられた際に素早く反応できる状態を目指します。
前脛骨筋・後脛骨筋の筋力訓練
足関節と足部の安定性を高めるため、すねの前側や内側にある筋肉も鍛えます。
ふくらはぎの筋力訓練
両脚でのつま先立ちから始め、状態に応じて片脚のつま先立ちへ進めます。
歩行、走行、ジャンプ、着地に必要な筋力を回復させます。
足部内在筋の訓練
足趾や足のアーチを支える小さな筋肉を鍛えます。
足部の安定性を高め、立位や着地時に足首へかかる負担を調整します。
バランス訓練
両脚立ちから片脚立ちへ進み、足首の位置を感知して身体を安定させる能力を高めます。
安定した床で行った後、クッションなどの不安定な場所、上肢運動、ボール動作などを加えます。
再捻挫予防に重要な訓練です。
歩行訓練
痛みを避けて足の外側や内側へ偏って歩いていないかを確認します。
踵から接地し、足部全体へ体重を移動し、つま先で蹴り出す動きを練習します。
スクワット動作の指導
足首、膝、股関節をバランスよく曲げます。
踵が浮く、足部が過度に内側へ倒れる、膝が内側へ入るなどの動きを確認します。
片脚動作の訓練
片脚立ち、片脚スクワット、段差昇降などを行い、足首だけでなく膝、股関節、体幹を含めた安定性を高めます。
ランニング訓練
歩行、つま先立ち、片脚立ちなどが安定した後、直線での軽いジョギングから開始します。
走行後や翌日に痛みや腫れが増えないか確認します。
ジャンプ・着地訓練
両脚での小さなジャンプから開始し、前後・左右のジャンプ、片脚ジャンプへ進めます。
着地時に足首が内側へ崩れないか、膝や体幹が不安定になっていないかを確認します。
方向転換・切り返し訓練
直線走行が安定した後、緩やかな方向転換から開始します。
その後、横移動、急停止、切り返し、反応動作などを段階的に行います。
競技別トレーニング
サッカーでは、ランニング、ボール操作、キック、切り返し、対人動作などを進めます。
バスケットボールやバレーボールでは、ジャンプ、着地、横移動、連続ジャンプなどを行います。
競技特有の動作を疲労した状態でも安定して行えるか確認します。

スポーツ・仕事への復帰

復帰時期は、損傷の重症度、合併損傷、スポーツ種目、仕事の内容などによって異なります。
軽症では比較的早期に復帰できることがありますが、重度の靱帯損傷や遠位脛腓靱帯損傷では、数週間から数か月以上かかる場合があります。
復帰は日数だけで決めず、主に次の点を確認します。
・安静時と歩行時に痛みがない
・足首の腫れがほとんどない
・足関節の可動域が回復している
・片脚でつま先立ちができる
・片脚立ちが安定している
・患側の筋力が健側に近づいている
・両脚と片脚のジャンプができる
・着地時に足首が内側へ崩れない
・ダッシュと急停止ができる
・方向転換で足首が抜けない
・競技練習後や翌日に痛みや腫れが増えない
・再受傷への強い恐怖がない
・医師や理学療法士から復帰を許可されている
復帰初期には、テーピングや足関節装具を使用することがあります。

手術療法

急性の外側靱帯損傷では、重度の損傷であっても、まず保存療法を行うことが多くあります。
ただし、次のような場合には手術を検討します。
・遠位脛腓靱帯損傷によって脛骨と腓骨が不安定である
・足関節脱臼や不安定な骨折を伴っている
・大きな剥離骨折を伴っている
・腓骨筋腱脱臼などの手術を要する損傷がある
・関節内に修復または摘出が必要な骨軟骨片がある
・適切な保存療法を行っても足首のぐらつきが残る
・捻挫を繰り返し、スポーツや日常生活へ支障がある
・慢性足関節不安定症に対する十分なリハビリで改善しない
・変形性足関節症へ進行する危険が高い不安定性がある
手術が必要と判断した場合には、足の外科、スポーツ整形外科、足関節手術に対応している医療機関へご紹介します。

足関節捻挫後に起こる可能性がある問題

慢性足関節不安定症

足首のぐらつきや再捻挫を繰り返す状態です。
靱帯の緩みだけでなく、筋力やバランス能力の低下も関係します。

足関節拘縮

腫れや固定によって、足首を上へ曲げにくい、下へ伸ばしにくい状態が残ることがあります。

筋力低下

活動量の低下によって、ふくらはぎや腓骨筋などが弱くなります。
筋力低下が再捻挫の原因になる場合があります。

距骨骨軟骨損傷

捻挫時の衝撃によって距骨の軟骨が傷つき、痛み、腫れ、引っかかりが続くことがあります。

足関節インピンジメント

捻挫後の瘢痕組織、滑膜、骨棘などが関節内で挟まり、足首の前方や後方に痛みが生じることがあります。

腓骨筋腱障害

捻挫後に腓骨筋腱の炎症、断裂、脱臼などが残ることがあります。

足根洞症候群

外くるぶしの前下方にある足根洞周囲へ痛みや不安定感が残る状態です。
距骨下関節の損傷や瘢痕が関係することがあります。

変形性足関節症

慢性的な不安定性や関節軟骨損傷が続くと、足関節の軟骨がすり減り、痛みや変形が生じる可能性があります。

複合性局所疼痛症候群

通常の経過を超える強い痛み、腫れ、皮膚の色や温度の変化、発汗、関節拘縮などが続くことがあります。
早期の評価と治療が重要です。

神経症状

腫れや瘢痕、神経の牽引によって、足の甲や外側にしびれや痛みが残ることがあります。

自宅での注意点・セルフケア

痛みを我慢して歩かない

歩行時に足を大きく引きずる場合や、体重をかけると強く痛む場合には、杖や松葉杖を使用します。
無理に歩き続けると、腫れや痛みが悪化することがあります。

装具やテーピングを正しく使用する

装具が緩すぎると十分に足首を保護できません。
強く締めすぎると、しびれや血流障害が生じることがあります。
指示された位置と強さで装着します。

痛みが軽くなっても急に走らない

歩けるようになっても、バランス能力や筋力が十分に回復していないことがあります。
ジョギング、ダッシュ、ジャンプ、方向転換の順に段階的に進めます。

足首を動かさなさすぎない

医師から固定を指示されている期間を除き、必要以上に長期間足首を動かさないと、拘縮や筋力低下につながります。
許可された範囲で足趾や足首を動かします。

無理にストレッチしない

急性期に足首を強く内側や外側へひねるストレッチを行うと、損傷した靱帯へ負担がかかります。

運動後の腫れを確認する

運動中に痛みが少なくても、運動後や翌日に足首が腫れることがあります。
症状が増える場合には、運動量を減らしてください。

足を長時間下げたままにしない

受傷後は、足を長時間下げていると腫れが強くなることがあります。
休む際には脚を高くします。

入浴・飲酒に注意する

受傷直後に長時間温めたり、多量に飲酒したりすると、腫れや痛みが強くなることがあります。

靴を見直す

かかとが安定し、足に合った靴を選びます。
靴底がすり減っている場合には交換を検討します。

再発予防

足関節捻挫の再発予防には、次のような取り組みが重要です。
・足関節の可動域を回復させる
・腓骨筋とふくらはぎを鍛える
・足部の筋力を整える
・片脚立ちなどのバランス訓練を行う
・ジャンプと着地動作を練習する
・方向転換と急停止のフォームを見直す
・股関節と体幹の筋力を整える
・練習量を急に増やさない
・疲労が強い状態で無理に競技を続けない
・競技や路面に合った靴を使用する
・復帰初期には装具やテーピングを使用する
・過去に捻挫した側だけでなく、両側を訓練する
・競技復帰後もバランス訓練を継続する

次のような症状がある場合には早めに受診してください

・足首をひねってから痛みが続いている
・外くるぶしまたは内くるぶし周囲が腫れている
・皮下出血が広がっている
・歩くと足を引きずる
・足首がぐらつく、抜ける感じがある
・過去にも同じ足首を何度も捻挫している
・捻挫後に足首の動きが戻らない
・運動後に毎回足首が腫れる
・足首の中に引っかかりを感じる
・外くるぶしの後方で腱が弾ける
・足首より上の部分が痛む
・第5中足骨基部や足の甲が痛む
・数週間経過しても症状が改善しない
・スポーツや仕事へ支障が出ている

速やかな受診が必要な症状

次のような場合には、骨折、脱臼、血管・神経損傷、重度の靱帯損傷などが隠れている可能性があります。
・足首が明らかに変形している
・骨が見えている
・足首周囲に傷や出血がある
・体重をまったくかけられない
・くるぶしの骨を押すと激しく痛む
・受傷後、短時間で足首が著しく腫れた
・足が冷たい
・足趾が白い、青紫色になっている
・足の脈を触れにくい
・足や足趾の感覚がない
・足首や足趾を動かせない
・激しい痛みが急に悪化している
・ふくらはぎや腓骨の上部まで痛む
・足裏に強い皮下出血がある
・足首が完全に動かない
・足首が赤く腫れ、発熱を伴っている
足首が変形している場合には、自分で引っ張ったり元へ戻そうとしたりしないでください。
痛みの少ない位置で足を支え、速やかに医療機関を受診してください。

足首の痛みや不安定感でお悩みの方へ

足関節捻挫は、スポーツ中の着地、方向転換、段差の踏み外し、転倒などによって起こります。
多くは足首を内側へひねる外側靱帯損傷ですが、三角靱帯損傷、遠位脛腓靱帯損傷など、異なる損傷が含まれます。
足首をひねった後に歩ける場合や、痛みが軽い場合でも、骨折や骨軟骨損傷が隠れていることがあります。
特に、骨を押したときに強く痛む、体重をかけられない、足首より上が痛む、足の外側や足の甲が痛む場合には、画像検査が必要です。
また、捻挫後に痛みが軽くなっただけでスポーツへ復帰すると、再び足首をひねることがあります。
外側靱帯の緩みだけでなく、足関節の可動域、腓骨筋の筋力、片脚バランス、ジャンプや着地動作などを回復させることが重要です。
足首のぐらつきや再捻挫を繰り返している場合には、慢性足関節不安定症、距骨骨軟骨損傷、腓骨筋腱損傷などが隠れている可能性があります。
当院では、受傷状況の確認、視診・触診、神経・血流の確認、靱帯の徒手検査、X線検査、超音波検査などを行います。
超音波検査では、前距腓靱帯、踵腓靱帯、三角靱帯、遠位脛腓靱帯、腓骨筋腱などを動かしながらリアルタイムに確認します。
症状に応じて、薬物療法、装具療法、テーピング、松葉杖の指導、リハビリテーション、スポーツ復帰指導、セルフケア指導などを行います。
MRI検査やCT検査が必要と判断した場合には、提携医療機関をご案内します。
不安定な骨折、遠位脛腓靱帯損傷、骨軟骨損傷、腓骨筋腱脱臼、慢性足関節不安定症などによって手術が必要と判断した場合には、足の外科やスポーツ整形外科に対応している医療機関へご紹介します。
足首をひねった後の腫れや痛みが強い、足首がぐらつく、捻挫を繰り返している、スポーツへ復帰できないなどのお悩みがある方は、早めにご相談ください。

監修:高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニック 院長 松﨑 時夫