足底腱膜炎

足底腱膜炎

足底腱膜炎(足底筋膜炎)について

足底腱膜炎は、足の裏にある「足底腱膜」に繰り返し負担がかかり、主にかかとの足裏側に痛みが生じる病気です。
一般には「足底筋膜炎」と呼ばれることもありますが、足底にある組織は筋肉ではなく、強い線維性の組織であるため、医学的には「足底腱膜炎」という名称が用いられます。
足底腱膜は、かかとの骨である踵骨から足趾の付け根まで扇状に広がり、足のアーチを支えています。
歩行、ランニング、ジャンプ、長時間の立ち仕事などでは、足底腱膜に引っ張る力と圧迫する力が繰り返し加わります。
運動量の急な増加、長時間の立位、体重増加、ふくらはぎの硬さ、足関節の動きの制限、扁平足や凹足、合わない靴などが重なると、足底腱膜の付着部へ負担が集中します。
主な症状は、かかとの足裏側に生じる痛みです。
特に、朝起きて最初に足をついたときや、長く座った後に歩き始めたときに強く痛み、しばらく歩くと少し軽くなるという特徴があります。
一方、長時間歩いた後、立ち仕事の後、運動後などに再び痛みが強くなることがあります。
「炎」という名称が使われていますが、症状が数か月以上続く慢性例では、単純な炎症だけでなく、足底腱膜の線維構造の乱れ、肥厚、微細な損傷、修復不全などの変性が関係しています。
そのため、「足底腱膜症」と表現されることもあります。
足底腱膜炎は、適切な負荷調整、靴の見直し、ストレッチ、筋力訓練、足底板などによって改善することが多い病気です。
ただし、足底腱膜にかかる負担は日常生活で完全になくすことが難しく、改善までに数か月以上かかる場合があります。
痛みを我慢して走ったり、硬い床を裸足で歩き続けたりすると、症状が長引くことがあります。
一方で、長期間まったく足を使わずにいると、ふくらはぎや足部の筋力が低下し、活動を再開した際に再び痛みが出ることがあります。
治療では、足底腱膜への負担を一時的に減らしながら、足が日常生活やスポーツに必要な負荷へ耐えられるよう、段階的に機能を回復させることが大切です。

足底腱膜の構造

足底腱膜は、かかとの骨である踵骨から始まり、足の裏を前方へ走行して、足趾の付け根付近まで広がっています。
大きく次の部分に分けられます。
・内側部
・中央部
・外側部
このうち、中央部は厚く強い構造をしており、足底腱膜炎の痛みに深く関係します。
足底腱膜の後方は、踵骨の足裏側にある「踵骨内側結節」付近に付着しています。
足底腱膜炎では、この踵骨付着部の内側寄りに痛みが出ることが多くあります。
足底腱膜の前方は、複数の線維に分かれて足趾の付け根付近へつながっています。
母趾を含む足趾を反らすと、足底腱膜が巻き上げられ、土踏まずが高くなります。
この働きを「ウィンドラス機構」と呼びます。

足底腱膜の主な役割

足部アーチを支える

足には、内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチがあります。
足底腱膜は、特に土踏まずを形成する内側縦アーチを下から支えています。
立ったり歩いたりすると体重によって足のアーチがわずかに低下しますが、足底腱膜が引っ張られることで、足が過度に広がることを防ぎます。

歩行時の衝撃を吸収する

踵が地面へ接地すると、足部のアーチがわずかに変形して衝撃を吸収します。
足底腱膜は、足の骨、靱帯、筋肉、腱などと協力し、身体に加わる衝撃を分散しています。

歩行時の蹴り出しを助ける

歩行の後半で足趾が反ると、足底腱膜が巻き上げられてアーチが高くなります。
足が柔らかく衝撃を吸収する状態から、硬く安定した状態へ変化し、効率よく地面を蹴り出せるようになります。

足部の骨格を安定させる

足底腱膜は、踵骨から前足部を結ぶ強い組織として、足の骨がばらばらに広がることを防ぎます。

足底腱膜炎が起こりやすい場所

踵骨付着部

足底腱膜炎で最も痛みが出やすい場所です。
かかとの骨の足裏側で、やや内側寄りを押すと痛みます。
朝の一歩目や歩き始めに強く痛むことが多くあります。

足底腱膜中央部

土踏まずに沿った中央部分に痛みが出ることがあります。
足底腱膜全体の緊張が強い場合や、部分的な損傷がある場合にみられます。

足底腱膜外側部

頻度は高くありませんが、かかとの外側から足裏外側にかけて痛むことがあります。
外側の痛みでは、踵骨の骨折、神経障害、腓骨筋腱障害など、ほかの病気との区別が必要です。

足底腱膜断裂

強いジャンプやダッシュ、急な方向転換などによって、足底腱膜が部分的または完全に切れることがあります。
足底腱膜炎がある方に急激な負荷が加わった場合や、足底腱膜周囲へのステロイド注射後などに起こることがあります。
断裂すると、足裏に突然の激痛、断裂音、腫れ、皮下出血などが現れます。
通常の慢性足底腱膜炎とは対応が異なるため、早めの検査が必要です。

足底腱膜炎の進行と経過

初期

朝の一歩目や、長時間座った後の歩き始めに痛みが出ます。
数分歩くと痛みが軽くなり、日中はあまり気にならない場合があります。
ランニングや仕事を続けることができるため、治療せずに経過をみる方も少なくありません。
しかし、活動後や翌朝の痛みが徐々に強くなることがあります。

中期

歩き始めだけでなく、長時間の立位、歩行、階段、運動後などにも痛みが出ます。
かかとをかばって歩くようになり、足の外側や前足部へ体重を逃がすことがあります。
仕事やスポーツに支障が出始め、活動後の痛みが翌日まで残る場合があります。

慢性期

数か月以上にわたって痛みが続きます。
起床時だけでなく、日中の歩行や立位でも痛みが出ることがあります。
足底腱膜が肥厚し、線維構造の乱れや血流変化などがみられる場合があります。
ふくらはぎや足部の筋力低下、足関節の可動域制限、歩き方の変化などが加わり、症状が治りにくくなることがあります。

難治性足底腱膜炎

靴の調整、活動量の見直し、ストレッチ、運動療法、足底板などを一定期間適切に行っても、痛みが十分に改善しない状態です。
診断が正しいか、神経障害、疲労骨折、炎症性疾患など別の病気が隠れていないかを再評価します。
体外衝撃波治療、注射療法、手術などを検討する場合があります。

足底腱膜炎の主な原因・発症要因

運動量の急な増加

ランニングを始めた、走行距離を増やした、練習日数が増えた、合宿や大会が続いたなど、短期間で負荷が増えると発症しやすくなります。
運動の時間だけでなく、速度、坂道、ジャンプ回数、路面などの変化も関係します。

長時間の立ち仕事・歩行

接客業、医療・介護職、工場作業、配送業など、長時間立ったり歩いたりする仕事では、足底腱膜への負担が繰り返されます。
硬い床での作業や、安全靴など指定された靴の影響を受けることもあります。

ランニング・ジャンプ

着地時には、体重を上回る力が足部へ加わります。
ランニング、バスケットボール、バレーボール、サッカー、陸上競技などで発症することがあります。

急な体重増加

体重が増えると、立位や歩行のたびに足底腱膜へかかる力が大きくなります。
妊娠に伴う体重や身体の変化が関係する場合もあります。

ふくらはぎの柔軟性低下

腓腹筋やヒラメ筋が硬いと、足首を上へ曲げる背屈の動きが制限されます。
歩行時に足首が十分に曲がらないと、かかとが早く浮き、足底腱膜へ強い張力が加わることがあります。

足関節背屈制限

過去の足関節捻挫、骨折、長期間の固定などによって足首の動きが硬くなっている場合も、足底腱膜への負担が増えることがあります。

扁平足

土踏まずが低く、体重をかけた際に足部が内側へ大きく倒れると、足底腱膜が引き伸ばされやすくなります。
扁平足があるから必ず足底腱膜炎になるわけではありませんが、発症要因の一つとなる場合があります。

凹足・ハイアーチ

土踏まずが高く、足が硬い場合には、着地時の衝撃を十分に吸収できず、かかとや前足部へ負担が集中することがあります。

足部の筋力低下

足趾や足部アーチを支える筋肉、ふくらはぎの筋肉などが弱いと、歩行や運動時の負担を足底腱膜だけで受けやすくなります。

股関節・体幹の機能低下

歩行やランニングでは、股関節や体幹も衝撃吸収と姿勢の安定に関係します。
お尻や体幹の筋力が不足していると、下肢の動きが乱れ、足部へ負担が集中することがあります。

硬い床・路面

コンクリート、アスファルト、硬い体育館などで活動量が増えると、着地時の衝撃が大きくなることがあります。

靴の問題

次のような靴は、症状に関係することがあります。
・靴底が薄く硬い
・クッション性が著しく低下している
・かかとが不安定である
・足に対して大きすぎる
・足幅や甲の高さが合っていない
・長期間使用して靴底が偏って摩耗している
・仕事や競技に適していない
・急に裸足や薄底靴へ変更した
高価な靴であれば必ず予防できるわけではなく、足の形や活動内容に合っていることが重要です。

裸足での硬い床の歩行

症状が強い時期に、フローリングやタイルなどを裸足で歩くと、かかとへ直接的な負担が加わります。

加齢

年齢とともに足底腱膜や筋肉の柔軟性、組織の修復力が低下することがあります。
かかとの脂肪体が薄くなり、衝撃を吸収しにくくなる場合もあります。

糖尿病・代謝性疾患

糖尿病などでは、腱や腱膜の性質が変化し、足部障害を生じやすくなる場合があります。
糖尿病がある方では、感覚障害、血流障害、傷や感染の有無にも注意が必要です。

炎症性疾患

強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎などでは、足底腱膜の付着部に炎症が起こることがあります。
両側のかかとが痛む、腰痛や朝のこわばり、ほかの関節症状を伴う場合には、全身性の病気を確認します。

足底腱膜炎の主な症状

朝起きた直後の一歩目の痛み

足底腱膜炎に特徴的な症状です。
睡眠中に足底腱膜やふくらはぎが短くなった状態から、起床後に急に体重がかかることで強く痛みます。
数分歩くと、足底腱膜が徐々に伸ばされて痛みが軽くなることがあります。

長時間休んだ後の歩き始めの痛み

車の運転、デスクワーク、映画鑑賞などで長く座った後、最初に立って歩くときに痛みます。

かかとの足裏側の痛み

踵骨の足裏側、やや内側寄りに痛みが出ることが多くあります。
指で押すと、限局した強い痛みを感じる場合があります。

長時間立った後の痛み

立ち仕事や家事を続けると、かかとが徐々に痛くなります。
休憩後に再び歩き始めた際にも痛みが強くなることがあります。

長時間歩いた後の痛み

歩き始めは軽くても、歩行距離が増えると痛みが強くなることがあります。

運動後の痛み

ランニング中よりも、運動を終えた後や翌朝に痛みが強くなる場合があります。
運動中に痛みが軽くても、足底腱膜への負担が適切とは限りません。

土踏まずの痛み

足底腱膜に沿って、かかとから土踏まずへ痛みや張りが広がることがあります。

つま先立ちでの痛み

つま先立ちでは足底腱膜が緊張するため、かかとや土踏まずが痛むことがあります。
アキレス腱障害や後脛骨筋腱障害でも痛むため、痛みの位置を確認します。

足趾を反らしたときの痛み

母趾などを上へ反らすと、足底腱膜が巻き上げられ、付着部の痛みが再現されることがあります。

かかとのこわばり

朝や休憩後に、かかとから足裏が硬く突っ張るように感じることがあります。

歩き方の変化

痛いかかとを避けて、つま先、足の外側、反対側の脚へ体重を逃がすことがあります。
歩き方が変わることで、前足部、足首、膝、股関節、腰などに痛みが生じる場合があります。

踵骨棘との関係

足底腱膜炎のX線検査では、踵骨から足趾方向へ伸びる骨の突出が見つかることがあります。
これを「踵骨棘」と呼びます。
長期間にわたり足底腱膜の付着部へ牽引力が加わることで形成されると考えられています。
ただし、踵骨棘がある方のすべてに痛みがあるわけではありません。
痛みのない方のX線にも、踵骨棘がみられることがあります。
反対に、強い足底腱膜炎の痛みがあっても、踵骨棘がない場合があります。
そのため、踵骨棘が見つかっただけで、それが痛みの原因と決めつけることはできません。
症状の場所、身体検査、超音波所見などを合わせて判断します。
また、踵骨棘を削らなければ足底腱膜炎が治らないというわけではありません。
多くの場合は、骨棘を残したままでも保存療法によって痛みの改善を目指します。

足底腱膜炎に伴う可能性がある状態

足底腱膜の肥厚

慢性化すると、足底腱膜の付着部が反対側より厚くなることがあります。
超音波検査やMRI検査で確認されます。

足底腱膜の部分断裂

腱膜の一部が切れている状態です。
急激に痛みが強くなった場合や、皮下出血を伴う場合には部分断裂を確認します。

踵周囲の滑液包炎

かかとの周囲にある滑液包が炎症を起こし、圧迫時に痛むことがあります。

踵部脂肪体障害

かかとの足裏側には、衝撃を吸収する脂肪体があります。
脂肪体が薄くなる、傷む、位置がずれるなどすると、かかとの中央部に痛みが生じます。
足底腱膜炎よりも、硬い床へかかとを直接ついたときに痛みやすい傾向があります。

神経の圧迫

足根管症候群、内側踵骨神経障害、外側足底神経の第1枝の絞扼などによって、かかとに痛みが生じることがあります。
焼けるような痛み、しびれ、電気が走るような痛みを伴う場合があります。

足底腱膜炎と区別が必要な病気

かかとの痛みは、足底腱膜炎以外の病気でも生じます。
主に次のような病気との鑑別が必要です。
・踵骨疲労骨折
・踵骨骨折
・踵部脂肪体障害
・足根管症候群
・内側踵骨神経障害
・外側足底神経第1枝の絞扼
・アキレス腱付着部症
・アキレス腱周囲炎
・踵骨後部滑液包炎
・後脛骨筋腱障害
・成人期扁平足
・足底腱膜断裂
・踵骨骨端症
・痛風
・関節リウマチ
・脊椎関節炎
・感染性骨髄炎
・感染性関節炎
・骨や軟部組織の腫瘍
・腰椎から生じる神経痛
・糖尿病性神経障害
・複合性局所疼痛症候群

踵骨疲労骨折との違い

踵骨疲労骨折は、ランニングやジャンプなどの繰り返し負荷によって、踵骨に小さな骨折が生じた状態です。
活動量を急に増やした後に発症することがあります。
足底腱膜炎では踵骨の足裏内側に限局した痛みが多くみられますが、疲労骨折では、かかとの両側をつまむように圧迫すると痛む場合があります。
歩行や安静時にも強く痛むことがあります。
初期にはX線で分からない場合があり、MRI検査が必要になることがあります。

踵部脂肪体障害との違い

踵部脂肪体障害では、かかとの中央部分に痛みが出ます。
硬い床を裸足で歩く、かかとを直接ぶつけるなどの動作で痛みやすくなります。
足底腱膜炎に特徴的な朝の一歩目の痛みが目立たない場合もあります。

足根管症候群との違い

内くるぶしの後方にある足根管で神経が圧迫される病気です。
足裏や足趾へしびれ、灼熱痛、電気が走るような痛みが広がることがあります。
足底腱膜炎では、通常、明らかなしびれや感覚低下は生じません。

アキレス腱付着部症との違い

アキレス腱付着部症では、かかとの後方に痛みがあります。
足底腱膜炎では、かかとの足裏側が中心です。
両方を同時に認める場合もあります。

踵骨骨端症との違い

踵骨骨端症は、成長期の子どもに起こるかかとのスポーツ障害です。
セーバー病とも呼ばれます。
走る、跳ぶなどの動作で、かかとの後方から側面に痛みが出ます。
成人に多い足底腱膜炎とは、年齢、痛みの位置、画像所見などが異なります。

炎症性疾患との違い

両側のかかとが痛む、腰や背中が朝にこわばる、複数の関節が腫れる、皮膚症状がある場合には、脊椎関節炎や関節リウマチなどの全身性疾患を確認します。

高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニックで行う検査

問診

痛みが始まった時期、痛みが出る時間帯、仕事や運動の内容などを確認します。
主に次のような点をお伺いします。
・いつから痛みがあるか
・急に痛くなったか、徐々に痛くなったか
・朝起きた最初の一歩が痛むか
・長く座った後の歩き始めが痛むか
・歩いていると軽くなるか
・長時間歩いた後に悪化するか
・運動中と運動後のどちらが痛むか
・かかとの中央、内側、外側のどこが痛むか
・土踏まずまで痛みが広がるか
・しびれや灼熱感があるか
・安静時や夜間にも痛むか
・最近、歩行量や運動量を増やしたか
・ランニングの距離、速度、路面を変更したか
・仕事で長時間立っているか
・職場の床が硬いか
・普段どのような靴を履いているか
・裸足で過ごす時間が長いか
・最近体重が増えたか
・過去に足関節捻挫や骨折をしたことがあるか
・扁平足や外反母趾を指摘されたことがあるか
・糖尿病、関節リウマチなどの持病があるか
・両側に症状があるか
・日常生活や仕事、スポーツにどの程度支障があるか
ランニングをしている方では、週の走行距離、練習日数、シューズの使用期間、大会予定なども確認します。

視診

立位と非荷重の両方で、足の形や腫れを確認します。
主に次の点を観察します。
・かかとや足裏の腫れ
・皮膚の赤み
・傷や水疱
・足部アーチの高さ
・扁平足または凹足
・かかとの向き
・足趾の変形
・外反母趾
・左右の足の形
・靴底の摩耗状態
・ふくらはぎの筋肉量
・歩行時の体重のかけ方
皮膚の赤みや傷がある場合には、感染症や糖尿病性足病変などにも注意します。

触診

踵骨の足裏側、足底腱膜、土踏まず、踵骨の両側などを触り、痛みの場所を確認します。
足底腱膜炎では、踵骨内側結節付近に限局した圧痛がみられることが多くあります。
次の部分も確認します。
・踵部脂肪体
・アキレス腱付着部
・内くるぶし後方
・足根管
・後脛骨筋腱
・足底腱膜中央部
・中足骨
・足趾
・ふくらはぎ
かかとを両側から圧迫して強く痛む場合には、踵骨疲労骨折などを疑います。

足関節可動域検査

足首を上へ曲げる背屈の角度を確認します。
膝を伸ばした場合と曲げた場合の両方で評価し、腓腹筋とヒラメ筋のどちらの硬さが強いかを確認します。
足関節背屈が制限されている場合には、歩行やランニングで足底腱膜へ負担が集中している可能性があります。

筋力検査

主に次の筋力を確認します。
・ふくらはぎ
・後脛骨筋
・腓骨筋
・足趾屈筋
・足部内在筋
・股関節周囲筋
・体幹筋
両脚・片脚でのつま先立ちができるかも確認します。

神経学的検査

しびれや灼熱痛がある場合には、足裏の感覚、筋力、腱反射などを確認します。
内くるぶし後方を軽くたたき、足裏へしびれが広がるかを確認することがあります。
必要に応じて、腰椎からの神経症状も評価します。

歩行・動作評価

歩行、片脚立ち、スクワット、つま先立ちなどを確認します。
ランナーやスポーツをしている方では、状態に応じてランニングや着地動作を評価します。
主に次の点を確認します。
・踵から接地できているか
・痛みを避けて足の外側へ体重を逃がしていないか
・足部が内側へ過度に倒れていないか
・かかとが早く浮いていないか
・母趾で蹴り出せているか
・片脚立ちが安定しているか
・膝や股関節が内側へ入っていないか

X線検査

足底腱膜そのものは、通常のX線検査には直接写りません。
X線検査では、主に次のような状態を確認します。
・踵骨棘
・踵骨骨折
・踵骨疲労骨折を疑う変化
・足部アーチ
・扁平足や凹足
・関節症
・骨の変形
・石灰化
・骨腫瘍などの異常
症状と必要性に応じて、立った状態で荷重位撮影を行います。
踵骨棘が見つかっても、骨棘だけを痛みの原因と判断することはありません。

超音波検査

超音波検査では、足底腱膜と周囲組織をリアルタイムに確認できます。
主に次の状態を評価します。
・足底腱膜の厚さ
・足底腱膜線維の乱れ
・踵骨付着部の変化
・部分断裂
・腱膜周囲の液体貯留
・血流の増加
・石灰化
・踵部脂肪体の状態
・滑液包の腫れ
・神経周囲の異常
・骨表面の不整
反対側と比較することで、肥厚や左右差を確認できます。
超音波画像上の変化と痛みの強さは、必ずしも一致しません。
画像所見だけで治療方法を決めず、症状と身体検査を合わせて判断します。

MRI検査

典型的な足底腱膜炎では、必ずしもMRI検査が必要となるわけではありません。
次のような場合に検討します。
・適切な治療を行っても改善しない
・安静時痛や夜間痛がある
・足底腱膜の部分断裂が疑われる
・踵骨疲労骨折が疑われる
・神経障害が疑われる
・骨髄炎や腫瘍を除外する必要がある
・痛みの位置が典型的でない
・手術を検討している
MRI検査では、足底腱膜の肥厚、線維構造、周囲の浮腫、踵骨内部の変化、神経周囲などを確認します。
当院にはMRI装置は設置しておりません。
MRI検査が必要と判断した場合には、提携医療機関をご案内します。

足底腱膜炎に対する治療

足底腱膜炎の治療では、単に痛みを一時的に抑えるだけでなく、足底腱膜へかかっている負荷を調整し、足部と下肢が必要な活動へ耐えられる状態を目指します。
症状の期間、仕事、スポーツ、足の形、筋力、柔軟性、体重などに応じて、複数の治療を組み合わせます。

活動量の調整

足底腱膜へ加わる負荷が、組織の回復する力を上回っている場合には、運動量や立位時間を一時的に減らします。
調整する内容には、次のようなものがあります。
・ランニングの距離
・ランニングの速度
・坂道練習
・ジャンプ回数
・練習日数
・長時間の立位
・連続した歩行時間
・硬い床での作業時間
・裸足での移動
・高負荷のつま先立ち運動
必ずしもすべての活動を中止する必要はありません。
痛みの少ない自転車、水泳、上半身トレーニングなどへ一時的に変更することがあります。

完全な安静について

痛みが強い場合には、一時的にランニングやジャンプを休みます。
しかし、長期間まったく体重をかけず、運動を行わない状態が続くと、足部やふくらはぎの筋力が低下します。
症状が落ち着いた後は、歩行や運動療法から段階的に負荷を戻します。

靴の見直し

靴は治療上重要な要素です。
主に次の点を確認します。
・かかとが安定している
・足長と足幅が合っている
・甲を適切に固定できる
・靴底が著しくすり減っていない
・活動内容に必要なクッション性がある
・靴底が柔らかすぎず、安定性がある
・足が靴の中で前後左右へ大きく動かない
症状が強い時期には、薄底の靴、硬い革靴、かかとのないサンダルなどで痛みが強くなる場合があります。
特定の靴がすべての方に適しているわけではなく、足の形と生活内容に合わせて選びます。

室内履き

硬い床を裸足で歩くと痛む場合には、クッション性と安定性のある室内履きを使用します。
柔らかすぎて足が不安定になる履物や、脱げやすいスリッパは注意が必要です。

ヒールカップ・ヒールパッド

かかとの下にパッドを入れ、着地時の衝撃を和らげます。
左右の高さが変わることで身体のバランスに影響する場合があるため、使用方法を確認します。
踵部脂肪体障害を伴う場合にも検討します。

足底板・インソール

足底板によって足部アーチを支え、足底腱膜やかかとへ加わる負担を分散します。
市販品を使用する場合と、足の形に合わせて作製する場合があります。
扁平足、凹足、荷重の偏り、靴などを評価して選択します。
足底板だけで足底腱膜炎を治すのではなく、ストレッチや筋力訓練などと組み合わせて使用します。
厚い足底板を入れると靴の中が狭くなり、別の場所が圧迫されることがあります。

テーピング

足部アーチを支えるようにテーピングし、足底腱膜へかかる負担を一時的に軽減します。
短期間の痛みの軽減や、足底板の効果を予測する目的で使用することがあります。
皮膚のかぶれ、水疱、しびれがある場合には使用を中止します。

夜間装具

朝の一歩目の痛みが強く、症状が数か月続いている場合には、足首と足趾を軽く反らした位置で保つ夜間装具を検討します。
睡眠中に足底腱膜とふくらはぎが短くなることを防ぎ、起床時の急激な伸張を軽減します。
装具によって睡眠が妨げられる場合や、しびれ・圧迫感がある場合には調整が必要です。

薬物療法

痛みが強い場合には、消炎鎮痛薬、アセトアミノフェン、湿布薬、塗り薬などを使用します。
年齢、胃腸・腎臓・心臓の状態、服用中の薬などを考慮して決定します。
慢性例では、単純な炎症だけが原因ではないため、薬だけで十分に改善しない場合があります。
痛み止めによって症状が軽くなっても、急に運動量を戻さないことが大切です。

冷却

運動後に熱感や痛みがある場合には、タオルで包んだ保冷剤などを短時間当てると楽になることがあります。
皮膚へ直接当てたり、長時間冷やし続けたりしないでください。
冷却は痛みを一時的に軽減する方法であり、足底腱膜の負荷に耐える力を直接高める治療ではありません。

温熱

慢性期に足やふくらはぎのこわばりが強い場合には、入浴などで温めると動かしやすくなることがあります。
赤み、強い腫れ、熱感、急性外傷がある場合には、自己判断で強く温めないようにします。

PRP療法

患者さんご自身の血液を採取し、血小板を多く含む成分を足底腱膜周囲へ注入する治療です。
長期間の保存療法を行っても改善しない慢性足底腱膜症に対して検討されることがあります。
効果には個人差があり、すべての方に同じ効果が得られるわけではありません。
注射後に、一時的に痛みや腫れが強くなることがあります。
治療後も段階的な運動療法が必要です。
PRP療法は保険適用外の自費診療です。

PRP療法について詳しくはコチラ

体外衝撃波治療

靴の調整、ストレッチ、足底板、運動療法などを一定期間行っても痛みが続く難治性足底腱膜炎では、体外衝撃波治療を検討することがあります。
体外から痛みのある付着部へ衝撃波または圧力波を照射し、痛みの軽減や組織修復反応を促すことを目的とします。
治療中に痛みを感じることがあり、治療後に一時的な赤み、腫れ、皮下出血、痛みの増加などが生じる場合があります。
すべての方に同じ効果が得られるわけではありません。
体外衝撃波治療を受けても、運動量、靴、柔軟性、筋力などを見直さなければ、症状が残ったり再発したりする可能性があります。
体外衝撃波治療は、リハビリテーションや負荷管理と組み合わせて行います。
難治性足底腱膜炎に対する集束型体外衝撃波疼痛治療術は、所定の条件を満たす場合に保険診療の対象となることがあります。
使用する機器、症状の期間、これまでの治療、施設基準などにより取り扱いが異なるため、実際の適用については診察時に確認します。

体外衝撃波治療について詳しくはコチラ

理学療法・リハビリテーション

足底腱膜炎では、痛む部分だけでなく、足関節、ふくらはぎ、足部アーチ、股関節、歩行・ランニング動作などを評価します。
ストレッチだけではなく、段階的な筋力訓練を行い、足底腱膜が必要な負荷に耐えられる状態を目指します。
痛みと負荷量の評価
歩数、立位時間、走行距離、運動内容、翌朝の痛みなどを確認します。
運動中だけでなく、運動後や翌日の症状を基準に負荷を調整します。
足底腱膜のストレッチ
座った状態で母趾を含む足趾を手前へ反らし、足底腱膜を伸ばします。
足裏に適度な張りを感じる範囲で行います。
朝ベッドから立つ前や、長時間座った後に行うと、最初の一歩の痛みを軽減できる場合があります。
鋭い痛みやしびれが出るほど強く反らさないようにします。
腓腹筋のストレッチ
膝を伸ばし、かかとを床につけたまま身体を前へ移動して、ふくらはぎ上部を伸ばします。
腰を反らしたり、足が外側へ向いたりしないようにします。
ヒラメ筋のストレッチ
膝を軽く曲げた状態で、かかとを床につけてふくらはぎ下部を伸ばします。
腓腹筋とヒラメ筋の両方を整えることで、足関節背屈の改善を目指します。
足関節可動域訓練
足首を上へ曲げる動きが制限されている場合には、痛みのない範囲で可動域訓練を行います。
過去の捻挫や骨折による関節の硬さがある場合には、状態に応じて徒手療法を組み合わせます。
徒手療法
足関節や足部の関節、ふくらはぎなどの動きが制限されている場合に、理学療法士が徒手的に動きを整えます。
痛む足底腱膜を強く押し続けるのではなく、足部全体の動きと症状を確認して行います。
足部内在筋の筋力訓練
足趾や足部アーチを支える小さな筋肉を鍛えます。
ショートフットエクササイズ、足趾の開閉運動などを行います。
ショートフットエクササイズ
足趾を強く丸めず、母趾の付け根とかかとを近づけるような意識で土踏まずを軽く持ち上げます。
足部アーチを支える筋肉を働かせる運動です。
足趾へ力を入れすぎたり、足の外側へ体重を逃がしたりしないようにします。
足趾の筋力訓練
足趾のグー・チョキ・パー運動、タオルギャザーなどを行います。
タオルギャザーで足底に強い痛みが出る場合には、負荷を減らすか別の運動へ変更します。
ふくらはぎの筋力訓練
両脚でのつま先立ちから開始し、症状に合わせて片脚のつま先立ちへ進めます。
ゆっくりかかとを上げ下げし、ふくらはぎと足底腱膜へ段階的に負荷を加えます。
足底腱膜への段階的負荷訓練
慢性例では、足趾を軽く反らした状態でつま先立ちを行うなど、足底腱膜へ計画的に負荷を加える運動を行うことがあります。
軽い負荷から開始し、痛みや翌日の反応を確認しながら回数、負荷、片脚動作へ進めます。
自己判断で急に高負荷を行わず、状態に合った方法で進めます。
後脛骨筋・腓骨筋の筋力訓練
足部アーチと足関節を安定させるため、すねの内側・外側にある筋肉を鍛えます。
股関節・体幹の筋力訓練
お尻や体幹の筋力を整え、歩行やランニングで足部へ負担が集中しない身体の使い方を目指します。
バランス訓練
両脚立ちから片脚立ちへ進み、足部と下肢を安定させる能力を高めます。
壁や手すりの近くで安全に行います。
歩行指導
痛みを避けて足の外側やつま先だけで歩いていないかを確認します。
歩幅、接地位置、蹴り出しなどを調整し、足部全体で負担を分散できる歩き方を練習します。
ランニングフォームの評価
ランナーでは、接地位置、歩幅、ピッチ、身体の傾き、足部・膝・股関節の動きなどを確認します。
フォームだけでなく、走行距離や練習頻度も合わせて調整します。
仕事動作の調整
立ち仕事では、休憩の入れ方、マット、靴、作業姿勢などを確認します。
同じ場所に立ち続けず、可能であれば定期的に姿勢や作業内容を変えます。

運動・スポーツへの復帰

復帰は、一定の日数が経過したことだけで決めません。
主に次の点を確認します。
・朝の一歩目の痛みが軽減している
・日常歩行で強い痛みがない
・歩いた後や翌日に症状が大きく悪化しない
・足関節の可動域が改善している
・片脚で安定して立てる
・片脚でつま先立ちができる
・軽いジャンプで強い痛みがない
・ジョギング後に症状が悪化しない
・左右の筋力差が改善している
・医師や理学療法士から許可されている
最初は平らな場所で短時間のジョギングから始めます。
距離、速度、坂道、連続練習の順に負荷を増やします。
一度に複数の要素を増やさないことが大切です。

足底腱膜炎後に起こる可能性がある問題

慢性的な踵痛

負荷の調整が不十分な場合や、別の病気が見逃されている場合には、痛みが長期間続くことがあります。

歩行の代償

痛いかかとを避けることで、足の外側、前足部、反対側の脚へ負担が移ります。

前足部痛

かかとを避けてつま先側へ体重をかけると、中足骨頭痛や足趾の痛みが生じることがあります。

足関節・膝・股関節・腰への負担

歩き方が変わることで、足首、膝、股関節、腰などに二次的な痛みが現れることがあります。

足底腱膜断裂

まれではありますが、変性した足底腱膜へ強い負荷が加わると断裂することがあります。

活動量の低下

歩行や運動を避けることで、筋力や体力が低下し、体重が増える場合があります。
体重増加によって、さらに足部への負担が増えることがあります。

自宅での注意点・セルフケア

朝、立ち上がる前に足を動かす

ベッドから立つ前に、足首をゆっくり曲げ伸ばしします。
足趾を手前へ反らして足底腱膜を軽く伸ばしてから立つと、最初の一歩の痛みを軽減できる場合があります。

硬い床を裸足で歩かない

症状が強い時期には、フローリングやタイルを裸足で歩くことを避け、安定性のある室内履きを使用します。

運動量を記録する

歩数、走行距離、立位時間、痛みの強さなどを記録します。
どの程度の負荷で症状が悪化するかを把握しやすくなります。

翌朝の痛みを確認する

運動中の痛みが軽くても、翌朝の一歩目が明らかに悪化している場合には、前日の負荷が強すぎた可能性があります。

痛む場所を強く押しすぎない

ボールや器具で足裏を強く押し続けると、痛みが悪化することがあります。
足底をほぐす場合も、鋭い痛みやしびれが出ない程度にします。

凍らせたボトルを強く転がしすぎない

冷却と足裏のマッサージを兼ねてボトルを転がす方法がありますが、強く体重をかけると付着部を刺激することがあります。
短時間、軽い圧力で行います。

ストレッチを反動で行わない

ふくらはぎや足底腱膜のストレッチは、反動をつけずゆっくり行います。
しびれや鋭い痛みがある場合には中止します。

靴底を確認する

靴底の片側だけがすり減っている、かかとが潰れている、クッション性が低下している場合には、交換を検討します。

急に裸足運動へ変更しない

裸足運動や薄底靴は、足部筋力を使う一方で、移行が急すぎると足底腱膜への負担が大きくなります。
行う場合には、短時間から段階的に増やします。

体重を調整する

体重が多い場合には、無理のない範囲で体重を調整すると足部への負担を軽減できる可能性があります。
足が痛くて歩けない場合には、水中運動や自転車など、足への負担が比較的少ない運動を検討します。

痛み止めで無理に運動しない

薬で痛みが軽くなっていても、足底腱膜の負荷への耐久性が回復しているとは限りません。

再発予防

足底腱膜炎の再発予防には、次のような取り組みが大切です。
・運動量を急に増やさない
・走行距離と速度を同時に増やさない
・練習の間に休養日を設ける
・ふくらはぎの柔軟性を保つ
・足関節背屈の動きを保つ
・足部とふくらはぎの筋力を維持する
・股関節と体幹の筋力を整える
・足に合った靴を使用する
・靴底が摩耗したら交換する
・硬い床での裸足歩行を調整する
・長時間立つ際には休憩を入れる
・体重を適切に管理する
・症状が軽くなった後も運動療法を継続する

次のような症状がある場合には早めに受診してください

・朝起きた最初の一歩でかかとが痛む
・長く座った後の歩き始めが痛む
・かかとの足裏内側を押すと痛む
・長時間立つと痛みが強くなる
・歩行やランニング後に痛む
・土踏まずまで痛みが広がる
・痛みをかばって歩き方が変わっている
・靴を変えても改善しない
・ストレッチを続けても改善しない
・数週間から数か月以上痛みが続いている
・両側のかかとが痛む
・しびれや灼熱感を伴う
・安静時や夜間にも痛む
・仕事やスポーツへ支障が出ている

速やかな受診が必要な症状

次のような場合には、足底腱膜断裂、骨折、感染症、神経障害、血流障害などが隠れている可能性があります。
・運動中に足裏へ突然激痛が生じた
・「ブチッ」という音や断裂感があった
・足裏に急な腫れや皮下出血が現れた
・転倒や事故後から強く痛む
・体重をまったくかけられない
・安静にしていても激しく痛む
・夜間に痛みで目が覚める
・かかとが赤く大きく腫れている
・発熱や悪寒を伴っている
・足に傷、潰瘍、膿がある
・足裏の感覚が急に低下した
・足趾を動かしにくい
・足が冷たい
・足趾が白色や青紫色になっている
・糖尿病があり、足に傷や腫れがある
・痛みが急速に悪化している
急な断裂や骨折が疑われる場合には、無理にストレッチやマッサージを行わず、患部へ体重をかけないようにして受診してください。

かかと・足裏の痛みでお悩みの方へ

足底腱膜炎は、朝起きた最初の一歩や、長く休んだ後の歩き始めに、かかとの足裏側が痛む代表的な病気です。
ランニングやジャンプなどのスポーツだけでなく、長時間の立ち仕事、歩行量の増加、体重増加、ふくらはぎの硬さ、扁平足、凹足、合わない靴など、さまざまな要因が関係します。
「炎」という名称がついていますが、慢性例では単純な炎症だけでなく、足底腱膜の変性や修復不全が関係している場合があります。
そのため、薬や安静だけでは十分に改善しないことがあります。
一方、かかとの痛みがすべて足底腱膜炎とは限りません。
踵骨疲労骨折、踵部脂肪体障害、神経障害、アキレス腱付着部症、炎症性疾患、感染症など、別の病気が隠れていることがあります。
しびれや灼熱痛、安静時痛、夜間痛、強い腫れ、発熱などがある場合には、詳しい検査が必要です。
また、X線検査で踵骨棘が見つかっても、骨棘自体が痛みの原因とは限りません。
骨棘の有無だけで治療方法や手術の必要性を判断せず、痛みの場所、足部の機能、超音波所見などを含めて評価します。
当院では、痛みが出る時間帯や活動内容の確認、触診、足底腱膜の伸張テスト、足関節可動域、筋力、足部アーチ、歩行動作などを評価します。
X線検査では、踵骨棘、骨折、足部アーチ、関節や骨の状態などを確認します。
超音波検査では、足底腱膜の厚さ、線維構造、部分断裂、付着部、踵部脂肪体などをリアルタイムに評価します。
症状に応じて、薬物療法、靴の指導、ヒールカップ、テーピング、足底板、夜間装具、リハビリテーション、体外衝撃波治療、PRP療法、セルフケア指導などを行います。
MRI検査やCT検査が必要と判断した場合には、提携医療機関をご案内します。
十分な保存療法を行っても強い痛みが続き、手術が必要と判断した場合には、足の外科や足部手術に対応している医療機関へご紹介します。
朝の一歩目にかかとが強く痛む、長時間の立ち仕事やランニングで症状が悪化する、数か月治療しても改善しないなどのお悩みがある方は、早めにご相談ください。

監修:高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニック 院長 松﨑 時夫