上腕骨外側上顆炎(テニス肘)

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)

上腕骨外側上顆炎(テニス肘)について

上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)は、肘の外側に付着する筋肉の腱に負担がかかり、物を持ち上げる、タオルを絞る、手首を反らすといった動作で痛みを生じる病気です。
一般的には「テニス肘」と呼ばれていますが、実際にはテニスをしていない方にも多くみられます。
パソコンのマウス操作、調理、掃除、育児、荷物の持ち運び、工具の使用など、手首や指を繰り返し使う仕事や日常動作によって発症することがあります。
肘の外側には、上腕骨外側上顆という骨の出っ張りがあります。この部分には、手首や指を反らす複数の筋肉の腱が付着しています。
特に、手首を反らして安定させる「短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)」の腱が傷みやすいと考えられています。
病名には「炎」という字が含まれていますが、症状が長引いている場合には、強い炎症だけではなく、腱の変性や微細な損傷、修復過程の乱れなどが中心となっていることがあります。
そのため、単に痛みを抑えるだけではなく、腱にかかる負担を見直し、前腕の筋力や柔軟性を段階的に回復させることが重要です。

上腕骨外側上顆炎の原因

上腕骨外側上顆炎は、手首や指を反らす筋肉を繰り返し使い、腱の付着部へ負担が集中することで発症します。
一度の強い動作で発症することもありますが、多くの場合は日々の作業やスポーツによる小さな負担が積み重なって症状が現れます。

手首や指の使いすぎ

次のような動作では、肘の外側に付着する腱へ負担がかかります。
・手首を反らしたまま物を持つ
・指に力を入れて物を握る
・タオルや雑巾を強く絞る
・フライパンや鍋を片手で持つ
・重い荷物を手のひらを下にして持ち上げる
・ドライバーや工具を繰り返し使用する
・パソコンのマウスを長時間操作する
・包丁を繰り返し使用する
・子どもを抱き上げる
・剪定ばさみや草刈り器具を使用する
特に、肘を伸ばした状態で手首や指に力を入れると、外側上顆へ大きな負担がかかります。

テニスなどのラケットスポーツ

テニスでは、バックハンドストロークなどの際に手首を固めてラケットを支えるため、前腕の伸筋群へ負担がかかります。
フォームが安定していない、ラケットが重い、グリップの太さが合っていない、ガットの張りが強いなどの要因が症状に関係することがあります。
テニスのほか、バドミントン、卓球、ゴルフなどでも発症することがあります。

仕事による反復動作

大工、塗装、調理、美容、介護、製造業、清掃など、握る、ひねる、持ち上げる動作を繰り返す仕事で発症することがあります。
作業量だけでなく、道具の重さ、持ち方、作業台の高さ、休憩時間なども腱への負担に影響します。

加齢に伴う腱の変化

腱は年齢とともに弾力性や修復力が低下し、小さな負担でも傷つきやすくなることがあります。
上腕骨外側上顆炎は中年以降に多くみられますが、スポーツや仕事の内容によっては若い方にも発症します。

急激な負荷の増加

普段あまり行っていない運動や作業を急に始めたり、仕事量やトレーニング量を増やしたりすると、腱が負荷に対応できず症状が現れることがあります。
引っ越し、庭仕事、大掃除、育児などをきっかけに痛みが始まる場合もあります。

肩や手首の機能低下

肩甲骨、肩関節、手首などの動きや筋力が低下していると、その分を前腕の筋肉で補い、肘に負担が集中することがあります。
肘だけでなく、肩から手までを含めて身体の使い方を確認することが大切です。

上腕骨外側上顆炎の主な症状

肘の外側の痛み

代表的な症状は、肘の外側にある上腕骨外側上顆周辺の痛みです。
痛みは肘の外側だけでなく、前腕の外側へ広がることがあります。
初期には動作時だけ痛みますが、症状が強くなると、動作後にも痛みが残ることがあります。

物をつかんで持ち上げたときの痛み

コップ、やかん、フライパン、バッグなどを持ち上げたときに肘の外側が痛みます。
特に、肘を伸ばし、手のひらを下へ向けた状態で物を持つと痛みが出やすくなります。

タオルを絞る動作での痛み

タオルや雑巾を絞る、ペットボトルのふたを開ける、ドアノブを回すといった動作で痛みが現れます。
手首をひねる動作そのものよりも、強く握りながら手首を固定することで痛みが出る場合があります。

手首を反らしたときの痛み

手首を上へ反らす動作や、反らす方向へ力を入れた際に、肘の外側が痛みます。
パソコンのキーボードやマウスを操作する際に、手首を反らした状態が続くことで症状が強くなることもあります。

握力の低下

痛みのために十分な力を入れられず、握力が低下したように感じることがあります。
ペットボトルを開けにくい、食器を落としそうになる、重い荷物を持てないといった支障が現れることがあります。
腱の機能が完全に失われているというよりも、痛みを避けるために力を抑えている場合が多くあります。

パソコンや細かな作業での痛み

マウス操作、タイピング、筆記、裁縫、調理などを長時間続けると痛みが強くなることがあります。
肘を浮かせたまま手首だけを使う姿勢では、前腕の筋肉が緊張し続けるため負担が増えます。

安静時痛・夜間痛

軽度の上腕骨外側上顆炎では、安静時には痛みがないことが多くあります。
症状が強い場合や長期化している場合には、何もしていなくても痛む、夜間に痛みを感じることがあります。
安静時痛や夜間痛が非常に強い場合には、関節炎、骨折、感染症など、ほかの病気も確認する必要があります。

上腕骨外側上顆炎の経過

上腕骨外側上顆炎は、適切に負担を調整することで徐々に改善することが多い病気です。
ただし、腱は筋肉と比べて血流が少なく、回復に時間がかかることがあります。
痛みがある状態で同じ作業やスポーツを続けると、腱の損傷が繰り返され、症状が数か月以上続くことがあります。
一方、肘を全く使わない状態を長期間続けると、前腕の筋力や腱が負荷に耐える力が低下し、作業を再開した際に再び痛みが出ることがあります。
治療では、痛みを悪化させる動作を減らしながら、症状に応じて少しずつ腱へ負荷をかけ、作業やスポーツへ戻していくことが大切です。

他の病気との違い

肘の外側の痛みは、上腕骨外側上顆炎以外の病気でも起こります。

橈骨神経障害・橈骨管症候群との違い

橈骨神経やその枝が肘の外側付近で圧迫されると、前腕外側の痛みが生じることがあります。
上腕骨外側上顆炎では、外側上顆付近を押したときの痛みが中心です。
橈骨管症候群では、外側上顆よりやや手側の前腕に強い圧痛がみられることがあります。
両者が同時に存在する場合もあるため、痛みの位置や神経学的検査から判断します。

変形性肘関節症との違い

変形性肘関節症では、肘を曲げ伸ばししたときの関節内の痛み、可動域制限、引っかかりなどが現れます。
上腕骨外側上顆炎では、肘の曲げ伸ばしよりも、握る、持つ、手首を反らす動作で痛みが出る傾向があります。

頸椎疾患との違い

頸椎椎間板ヘルニアや頸椎症性神経根症でも、肩から腕、肘周囲に痛みが現れることがあります。
首を動かすと症状が変化する、手指までしびれる、感覚や筋力に異常がある場合には、首からくる症状の可能性も確認します。

外傷・骨折との違い

転倒や衝突後から急に肘が痛くなった場合には、橈骨頭骨折などが隠れている可能性があります。
強い腫れ、皮下出血、肘を動かせないといった症状がある場合には、上腕骨外側上顆炎と自己判断せず、早めに受診してください。

関節リウマチ・感染症との違い

肘関節の腫れ、熱感、朝の強いこわばり、複数関節の痛みがある場合には、関節リウマチなどの炎症性疾患が隠れていることがあります。
強い赤み、発熱、悪寒などがある場合には、感染症の可能性もあります。

高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニックで行う検査

問診・触診

肘のどの部分が痛むか、いつから症状があるか、どの動作で痛みが強くなるかを確認します。
次のような点についても詳しくお伺いします。
・物を持ち上げると痛むか
・タオルを絞ると痛むか
・手首を反らすと痛むか
・パソコンや工具を長時間使用するか
・テニスなどのスポーツを行っているか
・仕事や家事の負担が増えていないか
・外傷や転倒があったか
・腕や手にしびれがあるか
・安静時や夜間にも痛むか
・これまでに受けた注射や治療
上腕骨外側上顆や前腕の筋肉を触診し、圧痛の位置、筋肉の緊張、腫れ、熱感などを確認します。

身体検査

肘、前腕、手首、指の動く範囲と筋力を確認します。
上腕骨外側上顆炎では、次のような疼痛誘発検査を行うことがあります。
Thomsenテスト
肘を伸ばした状態で、診察する人が手首を曲げる方向へ力を加えます。
患者さまに抵抗して手首を反らしてもらい、肘の外側に痛みが再現されるかを確認します。
Chairテスト
肘を伸ばした状態で椅子などを持ち上げてもらい、肘の外側に痛みが出るかを確認します。
中指伸展テスト
中指を上から押さえ、抵抗に逆らって中指を伸ばした際に、肘外側から前腕に痛みが出るかを確認します。
一つの検査だけで診断するのではなく、痛みの位置や複数の検査所見を組み合わせて判断します。
また、橈骨神経の圧迫、肘関節の変形、頸椎疾患などがないかも確認します。

X線検査

上腕骨外側上顆炎では、X線検査で明らかな異常がみられないことも多くあります。
X線検査では、次のような病気がないかを確認します。
・変形性肘関節症
・骨折
・関節内遊離体
・石灰沈着
・骨棘
・そのほかの骨の異常
症状が長期間続いている場合には、腱の付着部周辺に石灰化や骨の変化がみられることがあります。

超音波検査

超音波検査では、外側上顆に付着する伸筋腱の状態を確認できます。
次のような変化を評価します。
・腱の腫れや肥厚
・腱内部の変性
・腱線維の乱れ
・部分的な断裂
・石灰沈着
・腱付着部周辺の血流変化
・肘関節内の液体貯留
・周囲の靱帯や筋肉の異常
診察室で肘や手首を動かしながら、腱の状態を確認できる点が特徴です。
反対側の肘と比較することもできます。
注射治療やPRP療法などを行う場合には、必要に応じて超音波で腱、神経、血管、針先などを確認しながら行います。
ただし、超音波で腱の変化がみられても、それだけで症状の原因と断定することはできません。問診や身体検査の結果を合わせて判断します。

MRI検査

MRI検査では、伸筋腱の変性、部分断裂、周囲の靱帯や関節軟骨などを詳しく確認できます。
次のような場合にMRI検査を検討します。
・治療を続けても痛みが改善しない
・腱の大きな損傷が疑われる
・肘の靱帯損傷が疑われる
・関節内の病気との鑑別が必要である
・手術治療を検討している
・症状と身体検査の結果が一致しない
すべての上腕骨外側上顆炎でMRI検査が必要となるわけではありません。
当院にはMRI装置は設置しておりません。MRI検査が必要と判断した場合には、提携医療機関をご案内し、そちらで撮影を受けていただきます。

神経伝導検査・筋電図検査

腕や手のしびれ、筋力低下などがあり、橈骨神経や頸椎由来の神経障害が疑われる場合には、神経伝導検査や筋電図検査を行うことがあります。
検査が必要と判断した場合には、対応可能な医療機関をご案内します。

血液検査

肘関節に強い腫れや熱感がある場合、朝のこわばりや複数の関節痛がある場合には、感染症や関節リウマチなどを確認するために血液検査が必要となることがあります。
症状に応じて適切な医療機関や診療科をご案内します。

上腕骨外側上顆炎に対する治療

上腕骨外側上顆炎では、多くの場合、手術を行わない保存療法から治療を始めます。
治療では、痛みの軽減だけでなく、腱にかかっている負担を減らし、前腕の筋肉と腱が作業やスポーツの負荷に耐えられる状態へ回復させることを目指します。

高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニックにおいては下記の治療を提案しています。

活動量・作業動作の調整

痛みを引き起こす動作を一時的に減らします。
ただし、日常生活で腕を全く使わないようにする必要はありません。
次のような工夫によって、腱への負担を軽減できます。
・重い物を片手だけで持たない
・荷物を身体の近くで持つ
・肘を伸ばしたまま持ち上げない
・手のひらを上へ向けて両手で持つ
・強く握り続ける作業を減らす
・太いグリップや軽い道具を使用する
・作業の途中で休憩を取る
・マウスやキーボードの位置を調整する
・痛みを我慢してスポーツを続けない
仕事を完全に休むことが難しい場合には、作業時間、道具、持ち方などを調整します。

薬物療法

痛みに対して、消炎鎮痛薬や外用薬などを使用します。
薬物療法は、痛みを軽減して日常生活やリハビリテーションを行いやすくすることを目的としています。
慢性例では腱の変性が中心となっている場合があり、薬だけで腱の状態が元どおりになるわけではありません。
薬の効果や副作用、胃腸・腎臓の状態、ほかに服用している薬などを確認しながら処方します。

装具療法

テニス肘用バンドと呼ばれる前腕バンドを使用することがあります。
肘の少し手前に装着し、筋肉が収縮した際に腱の付着部へ伝わる力を軽減することを目的とします。
手首の動きによって強く痛む場合には、手首を軽く固定する装具を使用することもあります。
装具の位置や締め方が適切でないと、効果が得られにくかったり、神経や血流を圧迫したりすることがあります。
医師や理学療法士の指導を受けて使用してください。
装具だけに頼り、長期間まったく運動をしないと筋力が低下する可能性があります。症状に合わせて運動療法と組み合わせます。

体外衝撃波治療

保存療法を行っても痛みが長期間続いている場合には、体外衝撃波治療を検討することがあります。
体外から腱の付着部へ衝撃波を照射し、慢性的な痛みの軽減や組織の修復反応を促すことを目的とします。
治療中や治療後に、一時的な痛み、赤み、皮下出血などが現れることがあります。
効果には個人差があり、1回の治療ですべての症状が改善するとは限りません。
当院では、診察や超音波検査によって腱の状態を確認し、これまでの治療経過などを踏まえて適応を判断します。
体外衝撃波治療は、上腕骨外側上顆炎に対して保険適用外の自費診療となります。費用や治療回数については診察時にご説明します。

体外衝撃波治療について詳しくはコチラ

PRP療法

PRP療法は、患者さまご自身の血液から血小板を多く含む成分を抽出し、傷んだ腱の周囲へ注射する治療です。
血小板に含まれる成長因子などを利用し、腱の修復環境を整えることを目的とします。
慢性の上腕骨外側上顆炎に対して選択肢となることがありますが、すべての方に同じ効果が得られるわけではありません。
PRPの調製方法、症状の期間、腱の状態などによって結果が異なる可能性があります。
注射後には一時的に痛みが強くなることがあり、効果が現れるまでに時間を要する場合があります。
当院では、症状、超音波所見、これまでの治療、生活や仕事への影響などを確認し、期待できる効果や限界をご説明したうえで適応を判断します。
PRP療法は保険適用外の自費診療です。

PRP療法について詳しくはコチラ

理学療法・リハビリテーション

上腕骨外側上顆炎の治療では、前腕の柔軟性と筋力を整え、腱が日常生活やスポーツの負荷に耐えられる状態を目指します。
当院では、理学療法士が肘だけでなく、手首、肩関節、肩甲骨、姿勢、実際の作業動作などを評価し、一人ひとりに合わせたリハビリテーションを行います。
痛みを悪化させる動作の確認
物の持ち方、手首の角度、握る強さ、作業台の高さなどを確認します。
同じ重さの物でも、肘を伸ばして手のひらを下へ向けて持つより、肘を軽く曲げて両手で持つ方が負担を減らせる場合があります。
仕事や家事で避けられない動作については、道具や作業方法を調整します。
前腕伸筋群のストレッチ
肘を伸ばし、手首をゆっくり曲げることで、前腕外側の筋肉を伸ばします。
痛みを我慢して強く伸ばす必要はありません。
肘外側の痛みが強くなる場合や、しびれが出る場合には、角度や方法を調整します。
筋力トレーニング
症状に応じて、手首を反らす筋肉への筋力トレーニングを行います。
初期には、手首を動かさずに軽く力を入れる等尺性運動から始めることがあります。
痛みが落ち着いてきたら、軽い重りやチューブを使用し、手首をゆっくり下ろす遠心性運動や、上げ下げする運動へ段階的に進めます。
運動中の軽い違和感が許容される場合もありますが、運動後や翌日に強い痛みが残る場合には、負荷が大きすぎる可能性があります。
握力トレーニング
痛みが落ち着いてきたら、柔らかいボールなどを使用し、軽く握る運動を行うことがあります。
痛みを我慢して強く握り込まず、仕事やスポーツに必要な握力へ段階的に戻します。
肩・肩甲骨・体幹のトレーニング
肩甲骨や肩関節の機能が低下していると、手や前腕に負担が集中することがあります。
スポーツや仕事の内容に応じて、肩甲骨周囲、腱板、体幹などの筋力や動きを整えます。
スポーツ・仕事への復帰支援
スポーツでは、フォーム、ラケットの重さ、グリップサイズ、練習量などを確認します。
仕事では、道具の形、重量、作業時間、手首の位置などを調整します。
痛みがなくなった直後に以前と同じ量へ戻さず、時間、回数、重量を少しずつ増やします。

手術治療・専門医療機関への紹介

上腕骨外側上顆炎の多くは、保存療法によって改善を目指します。
次のような場合には、MRI検査や肘関節専門医による評価を行い、手術治療を検討することがあります。
・十分な期間、保存療法を行っても強い痛みが続く
・仕事や日常生活に大きな支障がある
・スポーツへの復帰が困難である
・腱の大きな変性や断裂が疑われる
・ほかの肘関節疾患との鑑別が必要である
・注射やリハビリテーションを行っても改善しない
手術では、変性した腱組織を切除し、必要に応じて健康な腱を骨へ修復します。
皮膚を切開して行う方法のほか、関節鏡を使用して行う方法があります。
手術方法は、腱の状態、関節内病変の有無、症状などによって異なります。
手術を含めた専門的な治療が必要と判断した場合には、肘関節や上肢を専門とする医療機関へご紹介します。

手術後のリハビリテーション

手術後は、処置した腱を保護するため、一時的に装具やシーネを使用することがあります。
手術を行った医療機関の指示に従って、肘や手首の可動域訓練、前腕の筋力トレーニングへ段階的に進みます。
腱が十分に回復する前に、重い物を持つ、工具を強く握る、ラケットを振るといった動作を行うと、修復部へ負担がかかります。
仕事やスポーツへの復帰時期は、痛み、可動域、筋力、実際の動作などを確認して判断します。

自宅でのセルフケア

肘が痛む間は、痛みを引き起こす動作を完全に我慢して続けないことが大切です。
日常生活では、次のような工夫を行いましょう。
・重い物は両手で持つ
・荷物を身体の近くで持つ
・肘を軽く曲げて持ち上げる
・可能であれば手のひらを上へ向けて持つ
・フライパンや鍋を長時間片手で持たない
・強く握り続ける作業を減らす
・マウス操作時に前腕を机で支える
・工具や包丁の柄を握り込みすぎない
・同じ作業を長時間続けない
・スポーツや筋力トレーニングの量を一時的に減らす
運動や作業後に熱感や痛みが強い場合には、タオルで包んだ保冷剤などを短時間当てると、症状が軽くなることがあります。
皮膚へ直接当てたり、長時間冷やし続けたりしないよう注意してください。
市販のテニス肘用バンドを使用する場合には、肘の骨の出っ張りの上ではなく、少し手側の筋肉部分に装着します。
強く締めすぎると、しびれや血流障害を起こす可能性があります。
痛みを我慢して強いストレッチを行ったり、重いダンベルで手首を鍛えたりすると、症状が悪化することがあります。
医師や理学療法士の指導を受け、現在の状態に合った運動を行うことをおすすめします。

上腕骨外側上顆炎でお悩みの方へ

肘の外側の痛みは、上腕骨外側上顆炎だけでなく、橈骨神経障害、変形性肘関節症、靱帯損傷、骨折、頸椎疾患などによっても起こります。
次のような症状がある場合は、早めにご相談ください。
・物を持ち上げると肘の外側が痛む
・タオルを絞ると痛む
・ペットボトルのふたを開けにくい
・手首を反らすと肘が痛む
・パソコンや工具の使用で痛みが強くなる
・握力が低下している
・痛みが数週間以上続いている
・仕事や家事に支障が出ている
・装具や湿布を使用しても改善しない
・スポーツへ復帰できない
また、次のような症状がある場合には、ほかの病気が隠れている可能性があります。
・転倒や事故後から強く痛む
・肘が大きく腫れている
・肘をほとんど動かせない
・腕や手にしびれがある
・指や手首に力が入らない
・夜間や安静時にも強く痛む
・肘が赤く熱を持っている
・発熱や悪寒を伴っている
転倒後の強い痛みや変形、手が冷たい・白い、指を動かせないといった症状がある場合には、骨折や神経・血管損傷の可能性があります。速やかに医療機関を受診してください。
当院では、問診、身体検査、X線検査、超音波検査などによって、伸筋腱の状態と肘外側の痛みの原因を評価します。
MRI検査、神経伝導検査、手術を含めた専門的な治療が必要な場合には、提携医療機関や肘関節・上肢を専門とする医療機関と連携して対応します。
薬物療法、装具療法、注射治療、体外衝撃波治療、PRP療法、リハビリテーション、セルフケア指導まで含め、症状や生活状況に合わせた治療をご提案します。

監修:高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニック 院長 松﨑 時夫