ストレートネック(スマホ首)

ストレートネック(スマホ首)

ストレートネックについて

ストレートネックとは、首を横から見たときに、本来みられる頚椎の前方へ向かったカーブが少なくなり、まっすぐに近く見える状態を表す言葉です。

スマートフォンやパソコンを使う時間が増えたことから、「スマホ首」と呼ばれることもあります。

英語ではText Neck(テキストネック)と呼ばれることもあります。

主な症状には次のようなものがあります。

  • 首の痛み
  • 首や肩のこり
  • 首の重さ、だるさ
  • 長時間のデスクワークで疲れる
  • 首を動かしにくい
  • 上を向くと痛む
  • 肩甲骨周辺の痛み
  • 後頭部から頭に広がる痛み
  • 腕や手のしびれ
  • 首を支えていることがつらい

ただし、頚椎がまっすぐに見えることと、首の痛みは必ずしも一致しません。

X線検査でストレートネックを認めても症状がない方もいます。一方で、頚椎のカーブが保たれていても、筋肉、椎間板、椎間関節、神経などの問題によって首の痛みが現れる場合があります。

そのため、「ストレートネックだから痛い」と画像だけで判断するのではなく、症状、身体の動き、神経の状態、仕事や生活での負担などを総合的に確認することが大切です。

実際の当院の治療例はコチラ

「ストレートネック」という診断名について

ストレートネックは、一つの病気を正確に表す正式な診断名というよりも、頚椎の配列や姿勢の特徴を説明するために使われる言葉です。

医療機関では、症状や診察結果に応じて、次のような病名や状態として診断されることがあります。

  • 頚部痛
  • 筋筋膜性頚部痛
  • 頚椎症
  • 頚椎椎間板症
  • 頚椎椎間板ヘルニア
  • 頚椎症性神経根症
  • 頚椎症性脊髄症
  • 外傷性頚部症候群
  • 姿勢に関連した頚部痛

単に頚椎のカーブが少ないというだけでは、どの組織が痛みの原因になっているかは分かりません。

また、首が痛いために筋肉が緊張し、頭や首の位置が変化した結果として、X線上で頚椎がまっすぐに見える場合もあります。

「ストレートネックが原因で首が痛い」という場合だけではなく、「首が痛いことでストレートネックのように見えている」という場合も考える必要があります。

頚椎の正常なカーブ

頚椎は、首を構成する7個の骨からできています。

一般的には、頚椎を横から見ると、中央部分が前方へ緩やかにふくらむ「前弯」というカーブを示します。

このカーブは、次の働きに関係しています。

  • 頭を支える
  • 首を前後左右へ動かす
  • 外力を分散する
  • 前を向いた姿勢を保つ
  • 脊髄や神経を保護する

ただし、頚椎の形には個人差があります。

年齢、体格、胸椎の形、骨盤の位置、頭の向き、撮影時の姿勢などによっても頚椎のカーブは変わります。

頚椎のカーブを一つの理想的な角度へ合わせることが、すべての方に必要なわけではありません。

ストレートネックと前方頭位の違い

ストレートネックと前方頭位は、同じ意味で使われることがありますが、正確には異なる状態です。

ストレートネック

頚椎の前弯が小さくなり、X線などで頚椎がまっすぐに近く見える状態です。

前方頭位

肩や胸郭に対して、頭全体が前方へ移動している姿勢です。

耳の位置が肩より前にあるように見える場合があります。

頚椎後弯(けいついこうわん)

本来の前弯とは反対方向へ頚椎が曲がっている状態です。

軽度の形の変化だけでは症状がない場合もありますが、高度な後弯や神経圧迫を伴う場合には、詳しい検査が必要です。

頭が前へ出ていても頚椎の一部では反りが強くなっていることがあります。

反対に、頚椎がまっすぐに見えても、頭全体が大きく前へ出ていない場合もあります。

そのため、首のカーブだけではなく、頭、頚椎、胸椎、肩甲骨、骨盤を含めた全体の姿勢を確認します。

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首や肩に負担が加わる仕組み

長時間同じ姿勢を続ける

スマートフォンやパソコンを使用していると、頭を下げた姿勢や前へ出した姿勢が長く続くことがあります。

同じ姿勢を続けると、首や肩の筋肉が持続的に働き、疲労やこわばりが生じる場合があります。

問題となりやすいのは、姿勢の形だけではなく、その姿勢を変えずに長時間続けることです。

首周囲の筋肉の疲労

頭を支えるために、次のような筋肉が働いています。

  • 僧帽筋
  • 肩甲挙筋
  • 胸鎖乳突筋
  • 頭板状筋
  • 頚板状筋
  • 後頭下筋群
  • 頚部深層屈筋群

頭が前方へ移動した状態が続くと、首の後ろ側や肩周囲の筋肉が疲れやすくなります。

一方で、首の前方深部にある筋肉をうまく使えなくなる場合があります。

ただし、一つの筋肉が弱いことだけで、すべてのストレートネックや首の痛みを説明できるわけではありません。

胸椎や肩甲骨の影響

背中が丸くなり、胸椎の後弯が強くなると、前を見るために頭を前へ出したり、上位頚椎を反らしたりする場合があります。

また、肩甲骨周囲の筋力や持久力が低下すると、デスクワークや腕を使う作業で、首や肩へ負担が集中することがあります。

首だけを治療するのではなく、胸椎、肩甲骨、肩関節なども含めて評価することが重要です。

痛みによる防御性収縮

首に痛みが生じると、身体は患部を守るために周囲の筋肉を緊張させます。

筋緊張が続くと、首を動かしにくくなり、さらに痛みを感じやすくなる場合があります。

痛みを避けて首を全く動かさない状態が続くと、可動域や筋力が低下し、症状が長引くことがあります。

痛みの感じ方の変化

首の痛みが長期間続くと、筋肉や関節の状態だけではなく、脳や脊髄における痛みの処理が変化する場合があります。

睡眠不足、不安、仕事上のストレス、痛みに対する恐怖などが、症状の強さや回復へ影響することがあります。

これは「気のせい」という意味ではありません。

身体的な負担と、睡眠や心理・社会的な要因が同時に症状へ影響している場合があります。

主な原因・関連要因

スマートフォンの長時間使用

スマートフォンを低い位置で持ち、首を曲げた状態を長時間続けることで、首や肩の筋肉が疲労する場合があります。

スマートフォン自体が悪いのではなく、使用時間、画面の位置、休憩の少なさなどが関係します。

デスクワーク

モニターが低い、身体から遠い、椅子や机の高さが合っていない場合には、頭が前へ出やすくなります。

また、前腕を支える場所がないと、肩や首の筋肉へ負担が加わる場合があります。

長時間の運転

ハンドルから身体が遠い、背もたれを使っていない、前方をのぞき込む姿勢が続くなどによって、首や肩が疲れやすくなります。

運動不足・体力低下

身体活動が少ない状態が続くと、首、肩甲骨、体幹周囲の筋力や持久力が低下し、日常的な作業でも疲れやすくなることがあります。

急激な運動量の増加

筋力トレーニング、ラケット競技、水泳、格闘技などで、首や肩へ急に強い負荷が加わると症状が現れる場合があります。

運動そのものが悪いわけではなく、運動量、フォーム、休養、現在の体力とのバランスが重要です。

枕や睡眠環境

枕が極端に高い、低い、硬いなどの場合には、睡眠中に首が不自然な位置となり、起床時の痛みやこわばりにつながることがあります。

ただし、すべての方に合う特定の高さや形があるわけではありません。

寝る姿勢や体格に合わせて調整します。

外傷

交通事故、転倒、スポーツ中の衝突などによって、首の筋肉、靱帯、椎間板、関節などを痛めることがあります。

外傷後に頚椎がまっすぐに見えても、それだけで損傷の程度を判断することはできません。

骨折、脱臼、神経損傷などがないかを確認する必要があります。

加齢による変化

年齢とともに椎間板が変性し、椎間板の高さが低下したり、骨棘が形成されたりすることがあります。

このような頚椎症性変化は、症状がない方にもみられます。

画像上の変化だけで治療の必要性を判断するのではなく、症状や神経所見と合わせて評価します。

スマホを見る角度と首への負担

主な症状

首の局所的な痛み

首の後ろ、左右どちらか、首と肩の境目などに痛みが現れます。

長時間のデスクワークやスマートフォンの使用後に悪化する場合があります。

首や肩のこり・重だるさ

鋭い痛みよりも、首や肩が重い、張っている、疲れるという症状が中心となることがあります。

首の動かしにくさ

次のような動作で痛みやこわばりを感じる場合があります。

  • 上を向く
  • 下を向く
  • 左右を振り向く
  • 首を横へ倒す
  • 起床後に首を動かす
  • 長時間同じ姿勢を取った後に動かす

肩甲骨周囲の痛み

首の筋肉や頚椎の関節から、肩甲骨の内側や上部へ痛みが広がる場合があります。

肩関節の病気でも肩甲骨周囲に痛みが出ることがあるため、肩の動きも確認します。

頭痛

首の上部や後頭部の筋肉、関節などが関係し、後頭部から頭頂部へ痛みが広がる場合があります。

ただし、頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、脳血管疾患など多くの原因があります。

突然の激しい頭痛や、今までにない頭痛がある場合には、首のこりとして様子をみないでください。

腕や手の痛み・しびれ

首から肩、腕、手指にかけて痛みやしびれが広がる場合には、頚椎神経根の刺激や圧迫を考えます。

筋力低下や感覚低下を伴う場合には、頚椎症性神経根症や頚椎椎間板ヘルニアなどを確認します。

音が鳴ることについて

首を動かしたときに「ポキポキ」「ゴリゴリ」と音が鳴ることがあります。

関節内の気泡、腱や靱帯の移動、関節面の変化などによって音が生じる場合があります。

音がするだけで、頚椎がずれている、軟骨が削れている、ストレートネックが進行しているとは限りません。

ただし、音と同時に強い痛み、しびれ、めまい、筋力低下などが現れる場合には受診してください。

首を自分で強くひねり、繰り返し音を鳴らすことは避けてください。

ほかの病気との違い

筋筋膜性頚部痛

首や肩周囲の筋肉に痛みや圧痛が生じます。

長時間の作業、筋肉の疲労、運動負荷、睡眠不足などが関係する場合があります。

頚椎症

椎間板や椎間関節などに加齢による変化が生じた状態です。

首や肩甲骨周辺の痛み、可動域制限などが現れる場合がありますが、画像上の変化があっても無症状のことがあります。

頚椎症性神経根症

頚椎から腕へ向かう神経根が刺激・圧迫される病気です。

首から肩、腕、手指にかけての痛みやしびれ、感覚低下、筋力低下などが現れます。

首を後ろへ反らすと腕の症状が強くなる場合があります。

頚椎椎間板ヘルニア

椎間板が後方へ突出し、神経根や脊髄を刺激・圧迫する病気です。

腕の痛みやしびれだけではなく、手の動かしにくさや歩行障害が現れる場合があります。

頚椎症性脊髄症

頚椎の中を通る脊髄が圧迫される病気です。

次のような症状に注意が必要です。

  • ボタンを留めにくい
  • 箸を使いにくい
  • 文字を書きにくい
  • 物を落としやすい
  • 両手がしびれる
  • 脚がもつれる
  • 階段で手すりが必要になった
  • 転びやすくなった

首や肩のこりだけではなく、手の細かい動作や歩行に変化がある場合には、早めの評価が必要です。

外傷性頚部症候群

交通事故などで首へ急激な力が加わった後に、首の痛み、肩こり、頭痛、めまい、手のしびれなどが現れる状態です。

外傷後はストレートネックの有無だけではなく、骨折、脱臼、靱帯損傷、神経損傷などを確認します。

胸郭出口症候群

首から腕へ向かう神経や血管が、鎖骨周辺などで圧迫される状態です。

腕を上げたときのしびれ、だるさ、冷感、握力低下などが現れることがあります。

肩関節疾患

肩腱板損傷、肩関節周囲炎などでも、首から肩、上腕に痛みを感じる場合があります。

肩を動かしたときに痛みが強くなる場合には、肩関節も評価します。

感染症・腫瘍・炎症性疾患

頻度は高くありませんが、感染症、腫瘍、関節リウマチなどによって首の痛みが現れることがあります。

発熱、夜間痛、体重減少、がんの既往などがある場合には注意が必要です。

高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニックで行う検査

高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニックでは、首のカーブだけを見るのではなく、痛みの経過、姿勢や動作との関係、腕や手の神経症状などを確認します。

必要に応じてX線検査を行い、MRI検査やCT検査が必要と判断した場合には、提携医療機関をご案内します。

問診

主に次の内容を確認します。

  • いつから症状があるか
  • 急に始まったか、徐々に始まったか
  • 痛む場所
  • どの姿勢や動作で悪化するか
  • スマートフォンやパソコンの使用時間
  • 仕事やスポーツの内容
  • 腕や手に痛みやしびれがあるか
  • 手へ力が入りにくいか
  • 細かい作業がしにくくなっていないか
  • 歩きにくさや転びやすさがないか
  • 頭痛やめまいを伴うか
  • 夜間や安静時にも痛むか
  • 発熱や体重減少がないか
  • 外傷歴があるか
  • 過去の治療歴
  • 睡眠や日常生活への影響

姿勢の確認

立位や座位で、頭、頚椎、胸椎、肩甲骨、骨盤の位置を確認します。

頭が前にあることや肩の高さに左右差があることだけで、痛みの原因とは判断しません。

姿勢を変えたときに症状がどのように変化するかも確認します。

頚椎の動き

前屈、後屈、側屈、回旋などで、痛みやしびれが変化するかを確認します。

動く範囲だけではなく、どの部分が動きすぎているか、どの部分が動きにくいかも評価します。

肩・肩甲骨・胸椎の評価

首の症状には、肩関節、肩甲骨、胸椎の動きが関係している場合があります。

肩を動かしたときの痛み、肩甲骨周囲の筋力、胸椎の動きなどを確認します。

触診

首、肩、肩甲骨周囲の筋肉を触り、次の所見を確認します。

  • 局所的な圧痛
  • 筋肉の緊張
  • 普段の痛みが再現されるか
  • 腫れ、熱感
  • 左右差

触診だけで痛みの原因を確定することはできません。

神経学的検査

腕や手の痛み、しびれがある場合には、次の項目を確認します。

  • 肩、肘、手首、指の筋力
  • 皮膚感覚
  • 上腕二頭筋腱反射
  • 腕橈骨筋腱反射
  • 上腕三頭筋腱反射
  • 手指の細かい動作
  • 病的反射
  • 歩行状態
  • 下肢の反射

手だけではなく、脚の状態も確認することで、脊髄の圧迫がないかを評価します。

画像検査

X線検査

X線検査では、次のような状態を確認できます。

  • 頚椎の配列
  • 前弯の程度
  • 頚椎後弯
  • 椎間板の高さ
  • 骨棘
  • 頚椎症性変化
  • 椎体のずれ
  • 骨折、脱臼
  • 不安定性
  • 先天的な骨の形

筋肉、椎間板、神経、脊髄は、通常のX線では詳しく評価できません。

X線上でストレートネックを認めても、それだけで症状の原因や治療方法を決めることはできません。

頚椎のカーブを評価する主な指標

必要に応じて、X線画像から次のような項目を確認します。

C2–7 Cobb角

第2頚椎と第7頚椎の傾きから、頚椎全体の前弯や後弯を評価する指標です。

角度が小さい場合には、頚椎の前弯が少ないと判断されることがあります。

ただし、測定方法や撮影姿勢によって数値が変わるため、角度だけで治療の必要性を判断しません。

C2–7 SVA

第2頚椎に対して第7頚椎がどの位置にあるかを、水平方向の距離で確認する指標です。

頭や頚椎が前方へ移動している程度を評価するときに使用します。

T1 slope

第1胸椎の上面と水平線が作る角度です。

胸椎と頚椎のつながりや、頚椎に必要となる前弯の程度を考える参考になります。

McGregor slope

頭蓋底の向きと水平線との角度を確認する指標です。

撮影時に頭が上や下を向いていないか、前方を見る姿勢が保たれているかを判断する参考になります。

これらの数値は互いに関係しています。

一つの数値だけを正常値に近づけることを治療の目的にはしません。

MRI検査

MRIでは、次のような状態を評価できます。

  • 椎間板ヘルニア
  • 神経根の圧迫
  • 脊髄の圧迫
  • 脊柱管狭窄
  • 脊髄内の信号変化
  • 感染症
  • 腫瘍
  • 靱帯や軟部組織の異常

次のような場合にMRI検査を検討します。

  • 腕や手の筋力低下がある
  • 感覚障害が進行している
  • 両手や両脚に症状がある
  • 手の細かい動作がしにくい
  • 歩行障害がある
  • 病的反射を認める
  • 強い症状が長期間改善しない
  • 感染症や腫瘍が疑われる
  • 手術治療を検討している

MRIで異常がみられても、症状がない場合があります。

画像所見と診察所見が一致しているかを確認します。

CT検査

CTでは、骨折、骨棘、骨化、椎間孔の狭窄など、骨の状態を詳しく評価できます。

外傷後や、X線だけでは骨の状態を十分に確認できない場合などに検討します。

治療の基本方針

ストレートネックの治療目的は、X線上のカーブを無理に作ることではありません。

主に次のことを目標とします。

  • 首や肩の痛みを軽減する
  • 首を動かしやすくする
  • デスクワークや家事を続けられるようにする
  • 仕事やスポーツへ復帰する
  • 首、肩甲骨、体幹の筋力と持久力を改善する
  • 神経症状の進行を防ぐ
  • 再発しにくい負荷のかけ方を身につける

活動量の調整、薬物療法、リハビリテーション、作業環境の調整などを組み合わせます。

活動量の調整

痛みが強い時期には、長時間のスマートフォン使用、パソコン作業、首を大きく反らす運動などを一時的に減らします。

ただし、首を全く動かさず、長期間安静にする必要はありません。

痛みを大きく悪化させない範囲で、日常生活や軽い運動を続けます。

痛みが完全になくなるまで活動を止めるのではなく、症状を確認しながら段階的に活動量を戻します。

薬物療法

消炎鎮痛薬

首や肩の痛みを軽減する目的で、内服薬や外用薬を使用することがあります。

胃腸障害、腎機能障害、血圧上昇、むくみ、喘息、出血傾向などに注意します。

アセトアミノフェン

患者さまの年齢、症状、基礎疾患などに応じて使用することがあります。

肝機能障害や、風邪薬などに含まれる同じ成分との重複に注意します。

筋緊張を和らげる薬

首や肩周囲の筋緊張が強い場合に使用することがあります。

眠気やふらつきが生じる場合があるため、運転などに注意が必要です。

神経障害性疼痛に対する薬

腕や手に神経痛の特徴がある場合には、頚椎椎間板ヘルニアや神経根症などを評価したうえで使用を検討します。

単純なストレートネックの形だけを理由に使用する薬ではありません。

温熱・冷却

慢性的なこわばりがあり、温めると楽になる場合には、入浴、蒸しタオル、温熱器具などを利用できます。

低温やけどを避けるため、同じ場所へ長時間当てないでください。

急な運動や外傷後で熱感があり、冷やすと楽になる場合には、タオルで包んだ保冷剤を短時間使用できます。

温める方法と冷やす方法のどちらが必ず優れているわけではありません。

症状を悪化させず、心地よく感じる方法を選びます。

リハビリテーション・運動療法

首の痛みが続く場合には、運動療法が治療の中心となることがあります。

特にインナーマッスルを鍛える事を習慣化させるプログラムを組んでおり、ストレートネックに対して積極的なリハビリプランを提供しています。

頚椎だけではなく、胸椎、肩甲骨、肩関節、体幹を含めて評価します。

主な内容には次のようなものがあります。

  • 痛みを悪化させにくい首の動かし方
  • 頚部深層筋(インナーマッスル)の運動
  • 首周囲の筋持久力訓練
  • 肩甲骨周囲筋の筋力訓練
  • 胸椎の伸展・回旋運動
  • 肩関節の柔軟性改善
  • デスクワーク姿勢の調整
  • 腕を使用する動作の練習
  • 歩行や自転車などの有酸素運動
  • 仕事やスポーツ動作の段階的な再開

「首が前にあるから、常に顎を強く引く」という方法が、すべての方に合うわけではありません。

顎を強く引き続けると、首の下部が曲がりすぎたり、首の前側へ力が入りすぎたりする場合があります。

必要な場面で自然に頭を支え、姿勢をこまめに変えられることが重要です。

ストレッチ

首、肩、胸、肩甲骨周囲の軽いストレッチが、こわばりの軽減に役立つ場合があります。

ストレッチは次の点に注意して行います。

  • 反動をつけない
  • 呼吸を止めない
  • 強い痛みが出るところまで伸ばさない
  • 腕や手へしびれが広がる場合は中止する
  • めまいや吐き気が出る場合は中止する
  • 首を強く回し続けない
  • 一方向だけを繰り返さない

強く伸ばせば頚椎のカーブが元に戻るわけではありません。

ストレッチだけではなく、筋力、持久力、作業環境、活動量なども整える必要があります。

マッサージ・徒手療法

マッサージや徒手療法によって、短期的に首や肩の痛み、こわばりが軽減する場合があります。

ただし、マッサージだけで長期的に改善するとは限りません。

運動療法、活動量の調整、作業環境の改善などと組み合わせて行います。

痛みを我慢して強く押す、首を勢いよくひねるなどの施術は避けます。

特に、腕や手の筋力低下、歩行障害、骨粗鬆症、関節リウマチ、頚椎の不安定性などがある場合には、強い頚部操作を行う前に医療機関での評価が必要です。

注射治療

首や肩周囲に強い圧痛があり、ほかの治療で十分に改善しない場合には、状態に応じて局所注射などを検討することがあります。

神経根症による強い腕の痛みでは、専門医療機関で神経根ブロックなどを検討する場合があります。

注射は、ストレートネックの形をまっすぐから前弯へ変える治療ではありません。

出血、感染、薬剤アレルギー、神経損傷などのリスクがあるため、適応を慎重に判断します。

体外衝撃波治療・PRP療法について

体外衝撃波治療やPRP療法は、ストレートネックそのものに対する標準的な治療ではありません。

ただし、肩こりなど長年の症状に対して行う事もあります。

首のカーブを改善する目的で行う治療でもありません。

特定の筋肉、腱付着部、靱帯などに慢性的な痛みがあり、通常の治療で改善しない場合には、痛みの原因や治療部位を十分に確認したうえで適応を検討します。

首の周辺には脊髄、神経、血管、肺など重要な組織があるため、治療部位や方法を慎重に判断する必要があります。

日常生活での注意点

デスクワーク

モニターの上部が目の高さに近くなるように調整します。

画面を身体から遠くしすぎず、文字が見えにくい場合には表示を拡大します。

前腕を机や肘掛けで支え、肩へ力が入り続けないようにします。

一つの姿勢を完璧に保とうとするよりも、30~60分程度を目安に姿勢を変えたり、立ち上がったりすることが重要です。

スマートフォン

スマートフォンを顔の高さに近づけることで、首を深く曲げる時間を短くできます。

ただし、腕を浮かせ続けると肩が疲れるため、反対の手やクッションなどで肘を支えます。

長時間連続して使用せず、定期的に視線と姿勢を変えます。

読書

本やタブレットを机へ平らに置くと、下を向く時間が長くなります。

書見台などを使用して、目線に近い角度へ調整します。

運転

背もたれを利用し、ハンドルへ身体を近づけます。

ヘッドレストの高さを頭に合わせます。

長距離運転では定期的に休憩し、車から降りて身体を動かします。

仰向けでは、顎が上がりすぎず、胸側へ押し込まれすぎない高さに調整します。

横向きでは、頭が大きく左右へ傾かない高さを目安にします。

「ストレートネック専用」と表示された枕が、すべての方に合うとは限りません。

起床時の症状を確認しながら、タオルなどを利用して少しずつ高さを調整します。

自宅でできる対策

  • 同じ姿勢を長時間続けない
  • 30~60分ごとに姿勢を変える
  • 痛みのない範囲で首をゆっくり動かす
  • 肩甲骨や肩を軽く動かす
  • 短時間の歩行や有酸素運動を行う
  • 温めて楽であれば適度に温める
  • スマートフォンやモニターの位置を調整する
  • 首を勢いよく回さない
  • 首を強く押したり、無理に音を鳴らしたりしない
  • 痛みを我慢して強いストレッチを続けない
  • 処方薬と市販薬を重複して使用しない
  • 睡眠時間と休養を確保する
  • 症状が出る姿勢や作業時間を記録する
  • 腕や手の筋力、歩行状態の変化を確認する

腕や手のしびれが広がる、筋力が低下する、めまいや吐き気が出る場合には、運動を中止して医療機関へ相談してください。

仕事・スポーツへの復帰

X線上のストレートネックが完全に改善するまで、仕事やスポーツを休む必要はありません。

次の状態を確認しながら、段階的に復帰します。

  • 日常生活を行える
  • 首を必要な範囲まで動かせる
  • 腕や手に明らかな筋力低下がない
  • 軽い作業や運動の翌日に大きく悪化しない
  • 症状が出たときに負荷を調整できる
  • 神経症状が進行していない

スポーツでは、軽い有酸素運動、基礎的な筋力訓練、競技動作、通常練習の順に負荷を上げます。

痛み止めで症状を隠したまま、急に高負荷の運動へ戻さないでください。

早めに受診すべき症状

次のような場合には、整形外科を受診してください。

  • 首の痛みが数日から数週間たっても改善しない
  • 日ごとに痛みが強くなっている
  • 仕事や睡眠への支障が大きい
  • 腕や手へ痛み、しびれが広がる
  • 肩、肘、手首、指へ力が入りにくい
  • 物を落とすことが増えた
  • ボタンや箸を使いにくい
  • 脚がもつれる、つまずきやすい
  • 交通事故や転倒後から痛む
  • 安静時や夜間にも強く痛む
  • 発熱や悪寒がある
  • 原因不明の体重減少がある
  • がんや感染症の既往がある
  • 骨粗鬆症がある
  • 関節リウマチなどの基礎疾患がある

直ちに救急受診すべき症状

次の症状がある場合には、ストレートネックや肩こりとして様子をみず、直ちに救急受診してください。

  • 手足の麻痺が急速に進行している
  • 急に立てない、歩けない
  • 両手や両脚へ急に力が入らなくなった
  • 尿や便が出にくい、または漏れるようになった
  • 交通事故や転落後に強い首の痛みがある
  • 首を動かせないほど強く痛む
  • 突然、今までにない激しい頭痛が出た
  • 顔のゆがみ、ろれつの回りにくさ、片側の手足の麻痺がある
  • 意識がもうろうとしている
  • 高熱と強い首の痛みがある

ストレートネックでお悩みの方へ

ストレートネックは、頚椎の前弯が少なく、首がまっすぐに近く見える状態を表す言葉です。

ただし、頚椎のカーブと症状は必ずしも一致しません。

首や肩の痛みには、筋肉の疲労、長時間の姿勢、椎間板や関節の変化、神経の圧迫、睡眠や仕事上の負担など、複数の要因が関係します。

腕や手のしびれ、筋力低下、手の使いにくさ、歩行障害などがある場合には、頚椎症性神経根症や頚椎症性脊髄症などが隠れている可能性があります。

高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニックでは、首のカーブだけではなく、症状の経過、姿勢や動作との関係、神経症状の有無を確認します。

必要に応じてX線検査を行い、MRI検査やCT検査が必要と判断した場合には提携医療機関をご案内します。

危険な所見がない場合には、薬物療法、リハビリテーション、活動量の調整、作業環境の改善などを組み合わせ、日常生活や仕事・スポーツへの復帰を目指します。

監修:高輪ゲートウェイ駅前整形外科クリニック 院長 松﨑 時夫